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記憶媒体としての情報カード

暗記媒体としては情報カードが最善だと思います。「アンチ・バベルの塔の建設法」で私が書いたカードをぜひ試してください。

安価なカードですし、まず試されるよう強くお勧めします。使ってみなければ便利さが実感できないと思いますが、たいへんな優れものです。また、使っているうちに、独自の自分にあったカードの利用法も案出できるでしょう。

情報カードの他にない利点は、「物理的な区切り」を明確にできることです。本のように綴じた形式では不可能なことです。

暗記法などはありません。真っ向から覚える「正攻法」です。ただし、自分なりにどんな方法でも試してみたら楽しいですね。また、コーヒーの染みがついた単語なども記憶しやすくなります。

私は、夢の中でしゃべる言葉の半分が英語で、語彙カードもよく夢の中に登場します。語彙の列が、覚えている順番に、映画のフィルムのように、ゆるやかに回転するのです。つまり、私の脳は夢の中でも復習をしているわけです。最初はびっくりしましたが今は楽しみになりました。

私は、音声ツールはほとんど使いません。発音記号を見れば完璧に発音できるからです。

発音記号をマスターされていないなら(=すべてのスペルを発音記号で表記できないのであれば)音声ツールを併用して発音記号を徹底的にマスターしましょう。発音に関しては「英語耳(松澤喜好 著)ASCII刊」が好著です。

カードはパンチで穴を開け、リングで50~100枚単位でまとめて持ち歩くといいです。復習などの区切りは色の「ふせん」を張っておくと便利です。

最初は50枚ほど貯まるまで毎日復習しましょう。完璧に覚えたら、10日間ほど復習の間隔を置いても大丈夫です。最終的に1ヶ月程度の間隔までもっていければいいでしょうが、私もまだそこまで踏み切れません。

どうしてもやる気のしないときや時間のないときは「復習だけ」にしましょう。復習さえしておけば、たとえ6ヶ月や1年の間新規の記憶が途切れても、復習している分だけは確実に脳内に蓄積されていますから、また再開できます。時間は貴重ですぞ!

記憶の定着していない語彙を1週間以上放置するとちょっとやばいですよ。

Have fun!

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こわい文法知識の欠落

著名な翻訳家でも、基本的な文法知識を欠いているためにとんでもない誤訳をしでかす場合がありま
す。しかもご本人は永久に気付かない! 恐ろしいことです。

実例:

http://www.alc.co.jp/eng/hontsu/book/0204/02.html

宮脇孝雄さんは「庭に出て飼鶏に穀物を投げ与えていた彼女は、自
分が初めて鶏に餌をやっていることに思い当たった」と翻訳してい
ますが remember ~ing は「~したことを覚えている/思い出す」
という意味になることをご存じないわけです。だから、おそらく自
分でも変だと感じながら、自分の知識を過信して辞書や文法書をチ
ェックしなかった。それでズッコケた....『あれ、英語は読みにく
くないのに文意がつかめない、と思った人もいらっしゃるだろう』
と書いてありますが、これは自分の気持ちだったのでしょう。

正しい訳は「庭に出て飼鶏に穀物を投げ与えていた彼女は、自分が
初めて鶏に餌をやった時のことを思い出した」となります。これで
意味がすっきりと通ります。

私など、非常に怖いですから、ちょっとでも変だと思ったら、自分
の知識など信用せずに、必ず辞書や文法書をチェックします。

日本語の辞書ももちろん綿密に調べます。

辞書も文法書も20点以上あります。不安のかたまりです。「文法
は大丈夫だ」なんて絶対思いません。分かったときはもちろん快哉
(かいさい)を叫びます。それも楽しいのです。

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コメントにお答えする(1)

修験者候補生さんへ

コメントをいただき本当にありがとうございます。わが人生の少なからぬ時間と資金を投入(独学ですが)して獲得した「アンチ・バベルの塔」方式をみなさんに知っていただきたくて発表したコラムですから真摯な反応をいただけることはこの上なくうれしいことです。いただいたコメントに関する感想をいくつか箇条書きにして述べてみます。

① ネイティヴの語彙数は6万前後だと書きましたが、この語彙レベルはもちろん派生語なども含んだ数字です。だいたい4万から8万ぐらいで、知識人の場合は12万程度になると思います。

英和辞典に当てはめると、たとえば「ニューヴィクトリーアンカー英和辞典」がそれに近いレベルだろうと考えています。

「ニューヴィクトリーアンカー英和辞典」は約46000語の単語・成句を収録し、その内見出し語が約25300、成句が約5500、語形変化・派生語などが約15200となっています。6万語よりはかなり少ないですがネイティヴの下層レベルには十分達しているでしょう。

② 日本では米国の週刊誌TIMEを特別視して時には崇拝さえしかねない傾向がありますが、なぜそうなるのか不思議です。米国ではだれでも読んでいるありふれた雑誌です。決して低級ではありませんが特に高級でもありません。数多い雑誌のひとつに過ぎません。

私は、今はTIMEであっても日経であっても同じように読めます。ただ、固有名詞や現地にいないとわからない事情や芸能ネタなどがからむと分からないことがあります。しかしそれは日本の雑誌でも同じです。

③ 私がこんなに語彙数にこだわるのは以下の2つの理由があります。

1 私は若いときから英語の本を日本語同様に読めるようになることが夢でした。しゃべることはネイティヴにかなうわけがない(日常の会話やニュースを聞いたりすることにまったく不自由はありませんが)と思っていますが、本を読むことにかけては同等以上の力をつけることが可能だと感じています。

それに書物を通す場合は英語界の俊秀や天才たちとも精神的な交流を持つことができます。会話でこんな機会を持つことはほぼ不可能ですし、吟味されつくした書物でこそ味わえるような深い議論に接することもないでしょう。そんな著者の語彙力は10万語を超えます。背景知識や教養も必須ですが何と行っても語彙力がなければだめです。分からない語は前後関係から類推すればよいとか概略さえ分かればよいとか言う人も多いですが、それはごまかしに過ぎません。日本語の書物を読むときにそんな読み方をしますか? 私はしません。ざっと読み飛ばす場合は別にして、緻密な本であれば精読します。かなりの語彙量がないとそれはかなわぬことです。

2 Reader’s Digest に Word Power というコーナーがあります。もちろん、ネイティヴ用のクイズで、問題数は20問(20語)です。私はこのクイズの Vocabulary ratings で Excellent や Exceptional の評価を常に得られるようになりたいのです。5万語では無理で10万語前後の語彙力が必要です。

「アンチ・バベルの塔」の画像は10万語を達成してから掲載します。目下、ボキャビルの完成バージョン(10万語達成ヴァージョン)として Cambridge Advanced Learner’s Dictionary(1883ページ)に取り掛かっています。今はBの項目を覚えています。1~2年で終了する予定です。

これからもときどきコメントくださればうれしいです!

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語彙獲得法としての辞書暗記

もっと優れた方法があるのではないかという指摘もあります(そう
思っている人のほうが圧倒的に多い)ので私の意見を述べます。

私も、和洋書を問わずいろいろ関連する書籍や資料その他研究報告
などを渉猟しました。確かに「研究」は進んでいますし、語彙獲得
教育の専門研究者の数も増えているようです。

Chomsky派の理論言語学者も語彙への関心を高めており、その他の
学派も統語論よりも意味論中心にトレンドが急速に変わってきてい
るようです。

ただし、日常語の獲得は別にして、5~10万語の外国語の語彙力
を獲得する具体的な方法論もその成功例も皆無でした。そんな語彙
は不必要だとする議論もありますが、私はそんな考え方は実は妥協
に過ぎないと認識していますので興味がありません。

さて、そんな研究者のなかで自ら外国語の語彙を5~10万語マス
ターした人も皆無でした。周囲の人(研究対象も含む)はもちろん
自分がしたこともなくかつ自分の研究に基づいて実際に成果を上げ
た例もないことを議論しても半ば無意味ではないかと「私は」認識
しています。

さらに皆さん無視されているのは最近の英英辞典のすばらしさで
す。巨大なコーパスの構築とその精細な分析に基づいた現行の英英
辞典は(英和辞典もすばらしくなっていますが)、昔日の辞典とは
似て非なるものです。実にたのもしい道具なのです!

また、語彙獲得の主なツールは所定の辞典ですが、他にGoogle(た
とえばターゲット語彙の図像をイメージで検索して単語カードにプ
リントするなど)や、その他書斎にふんだんにある書籍や資料、あ
らゆる用途で利用するインターネットの活用もサプリメントになり
ます。

本業の翻訳や読書で頻繁に遭遇する語彙は、学習語彙の実に効果的
なコンテクストを提供します(辞典自体にも優れた例文が豊富にあ
ります)。

しかしです。何と行っても本人が楽しくて仕方がないのですからこ
れ以上に強い状況はないでしょう。宿題でも試験対策でもまったく
ない。

もっと正直に言えば、「There's no accounting for taste」だ
と思いますが...

読んでいただきありがとうございました。

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