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英語における核語彙・基本語彙・成人語彙

議論が混乱するといけないので、まず3つのターム①と②と③に「私が与えた定義」を書いておきます。

なお、「核語彙」や「成人語彙」というタームは私の発明です。

① 核語彙:「ニューヴィクトリーアンカー英和辞典」において中学必修語とされている語彙(507語)

② 基本語彙:「ジーニアス英和大辞典」においてAランクとBランクに分類されている語彙(約8900語)で、①の核語彙を含む。

③ 成人語彙:「Random House Webster's Intermediate English Dictionary」におけるすべての語彙(約45000語)
で①の核語彙及び②の基本語彙を含む。

ただし、この定義は無用な議論(=当人は気付かないままに、実は定義の違いだけにこだわってそれ以上進展しない堂々巡りの議論)を避けるためのものなので、各タームが意図する語彙数は厳密なものではありません。核語彙が500、基本語彙が10000、成人語彙が50000としてもかまいません。だいたいのイメージを抱くことができればよいと考えています。


成人語彙について

成人語彙を45000語とした根拠は、上記 「Random House Webster's Intermediate English Dictionary」の巻頭に記されている「This dictionary covers the most common words and phrases in the English language.」ということばです。従って、成人語彙とは「the most common words and phrases (誰でも知っている語彙)」を意味します。

私が言う「成人」とは20歳以上の英語のネイティヴを指します。

最近出版された「小学館 日本語新辞典」の編集方針の冒頭に、「本辞典は、特に、日本語の豊かな表現に役立つ国語辞典をめざし、現代生活に必要な約六万三千語を、現代語を中心に収録した」と記されています。この約六万三千語も日本人が日本語の成人語彙として習得の目標にできる語彙群だと考えます。

この「小学館 日本語新辞典」は、さらに注目すべき特徴を備えています。この辞典の編集を指揮された松井栄一先生は「序」において、「...振り返ってみると、これまでの国語辞典の利用者は、大半が幼いときから日本語を使って育ってきた日本人であった。だから、そのことばに当てる漢字表記や簡単な意味の記述が示されていればそれでよいと考えられてきた。しかし、現在では、日本語を学ぶ外国人が使用することも考慮に入れる必要があるし、類似の意味のことばの違いを外国人に聞かれたときに、答えることができるような配慮も必要である。本書は、こういう要求に少しでも応じられるようなものにしたいととの趣旨で編まれた...」と書いておられます。

日本の成人語彙のモデルたるべき辞典が、私たち日本語ネイティヴのためだけではなく、非ネイティヴの日本語学習者も念頭に入れるようになったことは、実に楽しくうれしいことだと思います。

参考のため、以下に、堀紘一氏の成人語彙(5万語)に関するコメントを引用しておきます。

出所: http://www.dreamincubator.co.jp/info/article/fr_publish19.html

(引用開始) 英語を学ぶという点では、現在の日本はおそらく、世界最高の環境にあると思う。英語がしゃべれず、そのことに劣等感を持ち、何とか英語ができるようになりたいという人が実に多い。そのため英語教育に必要な場所も教材も、完璧にそろっているといえるだろう。ただし注意しておきたいところもある。巷に溢れる英語学校に入ればそれで英語がうまくなるかといえば、僕はそうは思わない。日本人には、ひどい英語教育を受けてきた反動として、極端なネイティブ・スピーカー信仰がある。ネイティブと話せばきっと英語がうまくなる、だから学校へ行くのだと。しかし言葉を教えるということは、そんなに簡単なことじゃない。我々日本人に英語を教える教師には、英語学の知識はもちろん、外国人に教える場合の技術など、さまざまな知識と能力が求められる。単なるアルバイト的な講師では無理なんだね。だから、これから英語を学ぶ人にとっては、英語学校に通うことの優先順位は高くないと、僕は思うわけだ。
 では何から始めればいいのか。話は簡単だ。語学の基本はボキャブラリーだ。知っている単語が並んでいれば、文法などわからなくても内容はかなり理解できる。逆に、いくら文法を知っていても、単語の意味を知らなかったら何もわからない。不自由なく仕事をこなすためのボキャブラリーの目安は5万語。これは英語に限った話ではない。これが基本として必要になるボキャブラリーで、そこに数千の、業界における専門的ボキャブラリーが追加されると考えてほしい。
 5万語というのは、大学を卒業するレベルのボキャブラリー数で、専門学部の用語などを除いた基本語彙だ。先にも述べたが、英語、フランス語、ドイツ語などでは、難しい単語になるほど綴りも意味も共通ということがある。そのためひとつの言語を身につけてしまえば、後は比較的簡単だ。しかし日本語の場合はそうはいかない。基本的にすべての単語を学んでいかなくてはならない。これは生易しいことではない。そこで僕がまずお勧めしたいのは、NHKのテレビやラジオで放送されている英語の番組だ。テキストは週刊誌並みに安く、先生も優秀。基礎から会話までコースもいろいろある。かつては放送の時刻にテレビの前にいなくてはならなかったが、今なら1週間分をビデオで録画しておいて、週末にまとめて勉強することができる。テープ代なんてただみたいなものだろう。これを継続していくことが、一番いいのではないかと思う。 ビデオを何回も観るのも、いい方法だ。例えば、映画なら2,3回も観ればストーリーや展開はすっかり頭の中に入ってしまうから、そこから先は音声を英語だけにして繰り返し観る。無味乾燥ではないし、楽しい。もうひとつは、自分の英語力に見合った英語の本を読むこと。ここで注意したいのは、いわゆる英文解釈において正確を期すことに集中すると、進みが遅くなって、それこそ続かない。飽きてしまう。だから、わからない単語のひとつやふたつは飛ばしてどんどん読み進めていくことが大事になる。自分の英語力に見合う本というのは、つまり、辞書を引かなくても何とか読み進められる本ということだ。英字新聞や雑誌も同じようなレベルのものを見つけるのがいいと思う(引用終了)

堀氏は、私が「成人語彙」とする五万語を「基本語彙」としている。しかし、5万語の位置づけはまったく変わらない。ぜひ必要な語彙であるという点でぴったり一致している。

異なるのは「5万語の習得法」である。堀氏の方法では永久に五万語を獲得できない。堀氏自身がそんな方法で5万語を獲得したわけでもまったくない。

つまり、私が5万語を達成した「辞書暗記」の他に、口だけの提案は山ほどあるが、「実際に成功した方法の具体例」は聞いたことがない。


核語彙について

たとえば、米国の主婦は友だちと電話で2時間ほどしゃべりまくっても使っている語彙は500語程度の場合があるそうです。この500語はまさに核語彙で、それを自在に駆使できるのはネイティヴだけです。make や give が頻繁に登場し、to や in も軽々と動き回ります。熟語やそれに準じる表現もなめらかに活躍します。見事な核語彙の乱舞です。妙に硬い表現やちぐはぐで分かりにくい構文も登場しない。

この核語彙は日常会話のまさに主役となる語彙群です。日本人が最もマスターしにくい語彙群でもあります。

この核語彙にできるだけなじむ方法は4つあると思います。

① 実際にネイティヴと話してことばをやりとりするなかで各語彙のニュアンスを実感し把握する

② SSS多読法を通じて、まとまった文脈の中での核語彙の機能を理解する。

続く...

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