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各自に異なる語彙状況

① 覚えても「無駄な語彙」とは何か?

答えはしごく簡単です。

人はそれぞれ、自分の生存に適した語彙を持っています。その他の
語彙は「当面」無駄になります。

普通の日本人であれば、日本語の語彙数は1万5千~6万になる。
英語の語彙暗記のベースになる日本語の語彙数が各人で非常に異なります。それぞれに最適語彙を獲得した結果、各自の語彙水準にかなりばらつきが生じています。

だから、他の人が、「この語彙は無駄だから覚える必要はありませ
ん」などと断定できません。ある人にとっては無駄でも他の人にと
っては必須であることが少なくないのです。

② 記憶可能な語彙水準は?

記憶することの可能な英語の語彙もその人の日本語の語彙範囲に限られます。日本語で自分なりに理解できない概念は英語でも暗記できないからです。この状況も各人各様です。

③ だから、英語の語彙を暗記する際には、自分が日本語で分かる
語彙をターゲットにすれば「無駄でもなく不可能でもない」わけで
す。

言い換えれば、人それぞれに目標語彙数は異ならざるを得ないとい
うことです。

あとは、根気根気根気.....根気根気根気です。

英語のネイティヴの語彙状況も同じです。人によって語彙数はピン
からキリまであります。そんな人たちに語彙の質問をしたりするの
は実は危ないのです。もちろん、すぐに役に立つ場合もありますか
ら、大いに参考にはすべきでしょう。信じ込んではいけません。信
じ込む人が無きにしもあらずです。「ネイティヴでも知らないと言
っている」というような基準は、だから、無意味です。

最低限5千語前後、できたら1万5千語はぜひとも覚えたい語彙数
になると思います。各自語彙状況が異なるとはいえ、この程度なら
どんな人にとっても無駄ではないし暗記可能な範囲に含まれる語彙
数です。

1万5千語あれば、日本の英英新聞なら不自由なく読めるし、辞書
があれば欧米の雑誌でも解読可能でしょう。英検1級は十分射程内
ですし、TOEIC超高得点も夢ではなくなります。

④ 数万語以上なら、最も信頼できる暗記教材は辞書です。

私は、3万語程度までは英和辞典を利用しましたが4万5千語以上
は英英辞典を主体に暗記しています。

英語の定義がそのまま頭に入っている語彙もあれば、自分の英語に
まとめなおして覚えている語彙もあります。

ただし、日本語で知っている動植物名など ― 英英辞典に掲載され
ている数はなぜか極めて少ないですが ― は「日本語を用いる」方
がイメージの定着に好都合ですし、その他の場合でも「日本語も用
いる」方が覚えやすい語彙もあります。犬と猫の説明を英英辞典で
読んでも判然としません。bilingual の強みは最大限活かすべき
で、何が何でも英英で通すのは得策ではないでしょう。

英英で暗記するひとつの利点は、たとえば、high-minded の類義
語が high-principled, principled, honorable, moral,
upright, upstanding, right-minded, noble, good, honest,
decent, ethical, righteous, virtuous, worthy,
idealistic であり、反意語が unprincipled であるというよう
な意味の web が自分の頭の中で徐々に整理されていくことです。

もうひとつの利点は、英英辞典を暗記するためにはまずそれを読ま
ざるを得ないのですが、そのこと自体が英語を読むことになってい
て、結果として英英で思考する機会を享受できることです。

⑤ 他方、翻訳を行う場合は日英表現のニュアンスの異同を鋭く意
識せざるを得ません。専門用語などは厳格に訳語が決まっている場
合もあります。プロとしてお金をいただく世界はまた別の世界で
す。

そして、「語彙の道」は果てしなく続く。呆けるまで続く...

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