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語彙学習の盲点(2)

『子供は自然に(=)ことばを覚えていくのだから、大人もそうすればよい。懸命に暗記するなどおもしろくないからすぐ飽きてしまい効果がない』という人が相変わらずいます。

いったい、子供はそんなに楽々とことばを覚えているのだろうか?

この問に関連して、「母語ならびに第2言語習得との関わりにおける児童文学を研究課題として取り組む」ドミニク・チータム氏はその著書『リチュウニング英語習得法(ちくま書房)』のなかで以下のように述べています(段落及び太字処理は k.y.)。

(引用開始)子どもはどのように言葉を学ぶか?
まずこの疑問に対する答えとして一般的なのは、次のようなものだろう。

子どもは言葉をあっと言う間に、そしていとも簡単に学んでいく。....

しかしこれらの答えは間違っている。

子どもは言葉をあっと言う間に学び取ることはないし、簡単に学ぶわけでもない。...

言語学者や児童心理学者の間でほぼ意見の一致を見ているのは、子どもが母語の基本的な文法を学ぶのに、約五年かかるという事実だ。

そして十歳か十二歳頃には、文法の細かいチューニングができるようになり、大人が手にしているレヴェルの文法もほぼマスターする

さらに二十歳代前半になると、一人前の大人が持つボキャブラリーを身につける

そして一生を通じて新しい言葉を学び続け、自分のものとした文法も変化と発達を続けていく。言語の他のパターンを学ばない点はびっくりするほどだが、かなりはっきりしていることは、よりむずかしいパターンの中には、年齢を重ねるまで十分に身につかないものがある点だ。ここで思い出すのは、日本人の若者が敬語を使えるようになるのが、そこそこ年齢を経てからのことだという事実だろう。

ボキャブラリーと談話のパターンを当面考えに入れなければ、母語の文法を学ぶのには十年以上の月日を必要とするわけだ。しかもこの十年は単なる語学学校での十年間でもないし、時どき思い出したように勉強しただけの十年間でもない。毎日倦(う)まずたゆまず学び続けた十年間なのである。...忘れてならないのは、母語を学び取る際に人間は信じられないほどの時間をそれに費やしているという事実だろう。
(引用終止)

こんなことが大人にできると思いますか? できません。

文法を習得するのに十年間。1日8時間母語に接しているとして約3万時間。子どもと同じ方法で1日2時間文法の勉強をすると、習得に要する日数は40年を超える! 

続く...


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