« 絶対必要な英・語彙1万語( 2/365 ) | Main | 英単語物語 »

語彙学習の盲点(4)続続続

もう少し、「繰り返し」について。

私が「アンチ・バベルの塔」=「情報カードの継続的活用」のヒントを得たアイデアは、ジャン・マケーレブ氏の『ネイティブ感覚の英文法』という本にありました。最後に「付録」があってそこに書かれていたことです。ジャン・マケーレブ氏がどのようにして日本語が話せるようになったかという具体的な方法を記してあります。

この記述の要点は文法や語彙の暗記ではなく、話せるようになるための練習法ですが、「繰り返し」を大変うまく取り入れた方法ですので、少し長くなりますが、以下に引用しておきます(太字・段落処理及び( )内の文句は私)。

ちなみに、英語を話す練習をしたい人には、そのまま生かせる有力な方法でしょう。

(引用開始)■子供の言語習得法に学ぶ
 それは「ネイティブ接近法」とも言うべき、できるだけ早くネイティブ・スピーカーの英語能力に近いものを身に付ける方法です。どんな言葉でも、その国の子供は5才にもなればべらべら話せるようになります。大人の話はもちろんできませんが、それは話す能力がないからではなく、知能がそこまで発達していないからです。言い換えれば、思考力がまだ成長中の5、6才の幼児でも、難しい話をするのに必要とされる、ネイティブ・スピーカーとしてのグラマー体系は頭の中にほぼすでにできあがっているということです。母親や周りの人の話を聞いたり真似したりしているうちに、意思や意見をちゃんと伝えられる能力を支えるグラマーが形作られるという過程は子供の言語習得時の特徴です。日本で育つ子供には日本語を支えるグラマーができていき、アメリカやイギリスで育つ子供は英語を支えるグラマーが形作られるわけです...
 子供は言語習得過程においては文法も習わず暗記もせず、つまり大人が必要と思うようなことを何もしないで、ただ耳に入ってくる言葉を真似しているだけです。しかも、そのプロセスを楽しんでさえいます。そして、分かること、自分から言えることが増えるにつれて、頭の中にグラマーの体系が知らず知らず形作られていくのです。言葉を短期間に集中的に詰め込んで覚えるのではなくて、毎日の繰り返しで覚えるのです。その観察から2つの学習原理が見出せます。両方とも教育心理学の研究で立証されていることですが、まず1つは、学習が楽しくできれば上達が早いということです。もう1つは長期に渡る記憶のためには繰り返しが大事だけれども、その1つ1つの繰り返しの間に脳に情報消化の期間を与える必要があるということです。要するに、語学を能率的にやるには、できるだけそのプロセスを楽しくすること、それから、覚えたいことを1日2日で無理やりに詰め込もうとすると最初は思い出せても日にちがたつにつれて記憶が薄れてしまうので、何年たってもさっと言えるようにするには毎日軽く1,2回でもいいから何日か続けて繰り返すということです...
 さて、具体的なハウツーですが、何しろ毎日英語を話してくれる母親はいないわけですから、テープレコーダーを使うことになります。子供の世界に入ったかのように、使いたいままのセンテンスなどをなるべく自然に耳に流し込むことが目的ですから、アメリカ人の知り合いや仕事仲間がいれば頼んで身に付けたい言い方を吹き込んでもらってもいいし、いなければ既成のテープを使ってもいいでしょう。
 問題は何日続けて同じセンテンスを繰り返せば、ネイティブのように自分のものになるかです。人によって違うかもしれませんが、私がこのやり方を日本語を身につけるために考え出した時は、試行錯誤の結果、一番能率的なのは大体20日というところに落ち着きました。つまり、同じ言い方を20日声を出して(自分が必要なだけ)繰り返せば、意識的に覚えようとしなくても記憶に定着し、しかもネイティブのように記憶から適宜取り出せる技術として身に付くわけです。何十年も前にそうやって覚えた日本語を、私は今でもほとんど忘れていません
 あとは1日に取り上げる新しいセンテンスの数ですが、これも試行錯誤を繰り返しました。1つから出発して1つずつ6つまで増やしたのですが、6つは多すぎました。時間もかかるし、負担になると楽しくなくなるので、5つに戻しました。それで私の「ネイティブ接近法」の方式は半分はできあがりました。すなわち、
 新表現法5センテンス×20日間=100センテンス
というわけです。同じ表現を繰り返す日数は20日と決めておきましたので、1日に繰り返す数は100センテンスを超えずに定着しました。21日前にやりだした一番古いセンテンス5つは消化済みで数から落としていくからです。
 新しいセンテンスの学び方はいろいろやってみてから、次の3段階方式に落ち着きました。私の場合は日本語でしたが、英語に置き換えて説明しましょう。

1) まず英語のセンテンス1つをなるべく日本語を考えないで何回か聞く。無理は禁物。最初だから理解が完璧でなくてもいい。
2) その次に、そのセンテンスを正確に言えるまで、何回かテープの後について声を出して言う。覚えようとしないで、言えればいいという気持ちで。
3) 言えたと思ったら、今度は発音やイントネーションを確かめるため、もう一度言ってからテープを流す。

 同じ要領で2つ目のセンテンスから5つ目までやります。これが1日目。次の日は新しいセンテンス5つを同じやり方でやってから、前の日のセンテンスを同じ要領で復習します。そうやって毎日5つずつ足していくと、最終1日100センテンスに達するわけですが、100でもそんなに大変ではありません。やっているうちに、いちいち意味を考えなくても感覚的に分かるようになりますから。そこまできたら1)を省く。同様に、テープを聞かなくても正確に言えるようになったら2)を省く。発音やイントネーションを確かめなくても大丈夫だという自信もそのうち付きますから、そうしたら3)を省く。要するに同じ5つのセンテンスを何日かやっているうちに、ほとんどテープレコーダーなしですらすら言えるようになりますから、最初の日に5分か10分かかったセンテンスでも、最後には2,3秒の復習ですんでしまうことになります...

私は2年間、このやりかたで日本語を「勉強」ではなく楽しくやりました。おかげで、日常のことはほとんど不自由なく話せるようになり、本当にうれしく思ったのを覚えています。しかも、自分の母語である英語に頼らずに話ができたのです。面白いことに、2年間ずっとそうやって続けたために、自分の頭の中に2つの回路ができていたようです。1つは小さい時からの英語の回路、もう1つは日本語の回路です。(引用終止)

いかがですか?

私はこのやりかたから、大きなヒントを得ました。もちろん、まったく異なる部分もいくつかありますが、たいへん、参考になりました。

また、英語の好きな文体になじみたい時などには、ジャン・マケーレブ氏のやりかたをほとんどそのまま借用しています。


 
 

|

« 絶対必要な英・語彙1万語( 2/365 ) | Main | 英単語物語 »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/47849/2479428

Listed below are links to weblogs that reference 語彙学習の盲点(4)続続続:

« 絶対必要な英・語彙1万語( 2/365 ) | Main | 英単語物語 »