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アーサー・ビナード氏(38歳)―翻訳は究極の読書―

日本語学習・翻訳・読書読頁 / 読語

このアメリカ人も徹底して独自の方法で日本語を習得している。

言語習得に一般論はない

一般論=模倣からスタートして独自の方法を見出し、それを窮めることが成功に直結する。

たとえ同じ方法に見えても、真剣であれば、個性はおのずと色濃く現出する。あるいは、あらゆる個性のベースに模倣があるとも言える。独創性は突然現れるものではない。無から生じることはない。モーツアルトは模倣の天才であった。必要なのは没頭である。

本題に入る。日本語詩人・アーサー・ビナード氏の日本語歴である。まず、引用 ― 季刊誌『考える人2004年冬号』より ― から始める。省略・太字・(ふりがな)はk.y.。

(引用開始)...九十年の六月、日本にやってきて間もないころから、家の近所の池袋図書館に通い続けています。はじめはひらがなとカタカナしか読めなかったので、この《児童室》にいりびたって、日本の昔ばなしやいろいろな絵本を手当たり次第に読んでいた。
 ...日本にきてまだ一年くらいのころ、日本語学校の先生に小熊秀雄の『焼かれた魚』という童話を教わりました。生き物に共通する悲しみというものを、うまく掬(すく)いとって、秋刀魚(さんま)に託して語っている。その悲しみの深さと自然さに感銘をうけて、辞書と首っ引きで訳し始めた。物語に惚(ほ)れ込んで、何とか盗んで自分のものにしたいという気持ちで英語に訳しました。
 集中して読む、深く読む、さらに掘り下げて読むという作業が、翻訳なんじゃないかな。読んで、読み直して、自分が書いた文章と同じくらいまで徹底的にかかわって、異なる言葉でもういちど創作する。翻訳は究極の読書だと思います
 菅原克己の詩に初めて出合ったときも、自分のものにしたい衝動にかられた。「わだば菅原克己になる」(笑)。最初から、日本語でなにか詩のようなものが書けたらと思ってはいたんですが、菅原さんの詩の英訳と同時に、ぼくの日本語の試作もはじまった気がする。
 読みたい本はいっぱいあるんですけど、たくさん分量を読むよりは、じっくりと、ある一章、ある一ページ、一行を凝視していくタイプの読書ですね。へたをすると、読書というより「読頁」「読語」みたいになる。本当の名句には、一冊分の重みがあるでしょう。そんなふうだから、ぼく自身も小説ではなく詩を書いているのかな。どっちかといえば、ぼくの詩はかなり長めですけれど(笑)。
 でも、無駄なことばは使いたくないし、読みたくない。要らない言葉をそぐための包丁は、ユーモアだと思う。『ひょっこりひょうたん島』という作品はとても饒舌(じょうぜつ)だけれど、むだな言葉は一切ない。『ひょっこり』は最高の日本語教室でもあります。啄木の歌がガバチョ流に生まれ変わったり、四文字熟語も漢詩も平気でとびだして、日本語を謳歌(おうか)している。子供のころ、デトロイトのTVで「ウルトラマン」はよくみてたんです。でも三十を前にして初めてトラヒゲを知り、なんだか恵まれない子供時代をすごしたなあ、と思いました(笑)。(引用終止)

アーサー・ビナード氏の場合、模倣はつまり翻訳(=究極の精読)であり、それを徹底的に窮めて日本語を習得しながら独自の境地を見出し、詩の創作に至った

示唆に富む話だった

みなさんは、いかがですか?

なお、上記季刊誌によれば、アーサー・ビナード氏は詩集『釣り上げては』で中原中也賞を受賞。エッセイ集に『空からやってきた魚』。絵本の翻訳も多数。 

日本語のプロ作家ですね。

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