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マルコムXは英英辞典を暗記した!(2)

マルコムはここで辞書に出会う!(前回はここまで書きました)

コロニーの学校に頼んで、「一冊の辞書」と「ノート」と「鉛筆」を手に入れる。

マルコムは、作家・アレックス・ヘイリーの多大な協力によって出版した自伝に、次のように書いている(翻訳 k.y.)。

『私は、2日間、その辞書のページを分けも分からずめくった。こんなに多くの語彙があるとは! どのことばを覚えたらいいのか見当もつかない。とにかく、何かしなければと思って、転写を始めた。
 のろのろと、苦労して、ギクシャクした字で、まず最初のページを―句読点もそのまま―丸々転写した。
 それに1日費やしたと思う。次に、自分が紙に書いたものを全部声を出して読み直した。何回も何回も自分の字を音読した。
 次の朝、目が覚めたとき、途方もなく誇らしく思った。あんなにたくさんの、しかもこの世で全く知ることのなかった語彙を、一度に、書き上げたのだ。しかも、その語彙の意味も、ちょっと考えるだけでけっこう思い出すことができた。意味を思い出せなかった語彙は復習した。今ふりかえってすぐに思い出すのは、愉快なことに、最初のページの"aardvark"である。辞書にその絵があった。尻尾が長く、耳も長く、穴を掘るアフリカの哺乳類で、アリ食いのように舌を突き出しシロアリを捕食して生きている。
 私は、すっかり夢中になって、次のページを転写した。手ごたえは変わらなかった。次々とページをこなすうちに、歴史上のいろいろな人物や場所やできごとも知るようになった。その辞書は、だから、ミニ百科辞典のようだった。ついにAの項が終了してノートが1冊いっぱいになる。次にB、Cと続けているうちに結局最後まで写してしまった。慣れてくると書くのがどんどん速くなる。私は、ノートに写したり手紙を書いたりして、入所中に100万語ほどの語彙を書いた。
 語彙が拡大するにつれて、当然、読む本も理解できるようになった。だれでも、たくさん本を読めば、新たな世界が開けたように感じるものだ。それからというもの、私は、出所するまでの間、寸暇を惜しんで本を読んだ。図書館で読み、寝台でも読んだ。梃子(てこ)でも本を手放さなかった。ムハンマド氏の教えを受けたり、手紙のやり取りをしたり、訪問者(たいていはエラとレジナルド)があったり、読書をしたりしながら、収監されていることさえ忘れて月日が経っていった。あんなに心から自由を味わったことはそれまで決してなかった。

ノーフォーク犯罪者コロニーの図書館は校舎の中にあった。いろいろな授業があってハーヴァード大学やボストン大学から講師が来ていた。毎週、仲間のチーム対抗でディベートも行われた。人は、有罪判決を受けた囚人たちが「赤ちゃんは授乳されるべきか?」などという討論に熱を上げていると知ったら、びっくりだろう。』

かくして、マルコムXはイライジャ・ムハマド師に毎日1枚のはがきを書くために猛烈な独習を続けた。

一般の歴史書、デュラントの『文明史』、ウェルズの『世界の歴史』、ウッドスンの『黒人の歴史』、デュボイスの『黒人の魂』、ロジャースの『性と人種』などを読んで、黒人に対する抑圧、白人が白人のための作ってきた歴史を知り、ショーペンハウエル、カント、ニーチェなどを読んで白人のロジックを考え、スピノザが黒人の血を引いていたことを知って感動する。

歴史に名を残す黒人開放運動のリーダーの知的武装が着々と進行していた。

すべて、1冊の英英辞典の暗記から始まったのだ!

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