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リンカーンの演説(14)

私は、リンカーンの演説(3)において、次のように書きました。

> government of the people, by the people, for the people

> このリンカーンの言葉 ― リンカーが創作したものではなくもっと古くからある言葉ですが ― の意味を取り違えている原因は2つあると思います。

> それは、① 構文と ② 歴史的な背景 の誤解です。

今回からは、② 「歴史的な背景の誤解」について考えてみます。

「人民を、人民が、人民のために統治すること」と解釈することは、government of the people, by the people, for the peopleということばの歴史的な意味を考えた場合でも間違いであることを検証します。

まず、「people」という単語の意味を確認しておきます。

下記の people の定義は『小学館ランダムハウス英和辞典』によるものです。

【1】 (世間一般の)人々

【2】 (集まったあるグループの)人々,(ある数の)人々

【3】 (動物と区別して)人,人間(human beings)

【4】 国民(nation), 民族(race), 種族(tribe)

【5】 (1) (金持ち・貴族・有力者と区別して)庶民,平民,一般人
(2) (聖職者と区別して)俗人(the laity)

【6】 (支配者・統率者・雇用者に対して)臣民,人民,民衆;従者,家来,お供;手の者,(お抱え)弁護士;従業員;(高級船員に対して)乗組員(crew):

【7】 (1) (自治体・国家の)選挙権を持つ市民,有権者,公民,人民,国民.
(2) (共産圏諸国で)人民

【8】 家族,身内,(特に)両親;親類縁者;祖先,先祖:

【9】 (特定の種(族)の [環境に住む]) 動物,生き物

【10】 (人間に似た)超自然的存在:

【11】 法律「(刑事裁判での)検察[検事]側,訴追側

【12】 人,(特に)見知らぬ人.

【13】 (大量の麻薬を扱う)麻薬の売人

リンカーンのことば government of the people, by the people, for the people を歴史的に考察する場合、重要になるのは、【5】 (1) (金持ち・貴族・有力者と区別して)庶民,平民,一般人 (2) (聖職者と区別して)俗人(the laity) 及び 【7】 (1) (自治体・国家の)選挙権を持つ市民,有権者,公民,人民,国民. (2) (共産圏諸国で)人民 という2種類の定義です。

さらに、これからの議論に直接関係するのは、① 俗人 と ② 平民選挙権を持つ市民 という定義です。

①が重要になるのは、歴史上始めて聖書の英訳に着手して「宗教改革の明けの明星」と称されるジョン・ウィクリフが、聖職者に対する「俗人」の主体性を強調して、the government of the people, by the people and for the people ということばを最初に使ったからです。

ウィクリフは、弟子が完成した「英訳聖書」の巻頭に「This Bible is for the government of the people, by the people and for the people」 と記したのです。

次回はこのウィクリフのことばがもつ意味を吟味します

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