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リンカーンの演説(15:付録)

前回は、ウィクリフが聖職者(及び一部の学者など)しか読むことのできなかったラテン語の聖書を一般の人たちも読める英語に翻訳したことを話しました。

キリストは誰にも分かる大衆のことばで説いたのに、中世の聖職者はその神のことば(聖書)を自分たちにしか分からないラテン語で独占していた。

ウィクリフは聖書を俗人に戻そうとした。

ウィクリフ及びその支持者たちの運動は、結局、協会の猛烈な弾圧にあってつぶされてしまいます。

ウィクリフはカトリック公会議によって異端者とされ(1415年)、聖なる墓から遺骨が掘り出されて焼かれてしまいました(1428年)。これで、当時の風習として、ウィクリフは永遠の命を得ることを否定されたわけです。

英訳聖書は焚書(ふんしょ)になり、聖書はまたラテン語のままになりました。

それでも英訳聖書は ― 当時としては ― 教会の弾圧にもかかわらずベストセラーとなり、焚書を生き延びた写本が170冊現存します。

英語は、信仰のことばとして新たな力を与えられ、発展をとげていきます。

今回は、ウィクリフの英訳聖書の「創世記」の冒頭を引用し、それを現代英語と比較しておきます。

ウィクリフの英語は中世英語ですからずいぶん趣(おもむき)がちがい、おもしろです。

出所:http://faithofgod.org/PentJona/Gen.htm 及び http://www.asahi-net.or.jp/~zm4m-ootk/1sozou.html


1:1 In the bigynnyng God made of nouyt heuene and erthe.

1:1 In the beginning God created the heaven and the earth.

1:1 初めに、神は天地を創造された。


1:2 Forsothe the erthe was idel and voide, and derknessis weren on the face of depthe; and the Spiryt of the Lord was borun on the watris.

1:2 And the earth was without form, and void; and darkness was upon the face of the deep. And the Spirit of God moved upon the face of the waters.

1:2 地は混沌であって、闇が深淵の面にあり、神の霊が水の面を動いていた。


1:3 And God seide, Liyt be maad, and liyt was maad.

1:3 And God said, Let there be light: and there was light.

1:3 神は言われた。「光あれ。」こうして、光があった。


1:4 And God seiy the liyt, that it was good, and he departide the liyt fro derknessis; and he clepide the liyt,

1:4 And God saw the light, that it was good: and God divided the light from the darkness.

1:4 神は光を見て、良しとされた。神は光と闇を分け、


1:5 dai, and the derknessis, nyyt. And the euentid and morwetid was maad, o daie.

1:5 And God called the light Day, and the darkness he called Night. And the evening and the morning were the first day.

1:5 光を昼と呼び、闇を夜と呼ばれた。夕べがあり、朝があった。第一の日である。


ウィクリフの英訳聖書で初めて使われた語彙も多くあり、既存の概念にも別の視点が開かれ、まったくあらたな概念も導入されました。

英語の世界をさらに飛躍させる契機となったわけです。

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