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「才能」(15)

俳句と数学

御茶ノ水女子大学教授・藤原正彦氏は、『...日本の理系で一番強いのは数学なんです。私の考えでは、あらゆる学芸の中で、国際水準からみて日本がもっとも強いのは文学なんですね。それから何歩か遅れて数学なんです。数学のすごさは、物理や化学や生物などよりはるかに上です。江戸時代の和算の頃からそうです。鎖国の中で関孝和や弟子の建部賢広など大天才が輩出しました。大正時代中期には高木貞治という天才が、類体論という壮大な理論を樹立して世界のトップに並んじゃった。第一次大戦により大先進国ドイツからの文献が途絶えた時期に、まったく独立でやってしまった。なんで、日本人が数学的にすごいかといいますと、美的感覚が優れているからなんです。二十数年前に亡くなられた、天才数学者の岡潔先生は、日本に俳句があるからだとおっしゃる。大自然をたった五七五でビシッと表現しつくすと。子どものころから、そういう五七五に慣れていて、たった十七文字からまわり全体、地球全体、宇宙全体を想像するようになっている。たとえば「荒海や佐渡に横たふ天河(あまのかわ)」とかね。目の前の荒海を見て、向こうの佐渡を見て、そして天の川という宇宙までいっちゃうというようなイマジネーションを、子どものころから鍛えていると。岡先生は、このイマジネーションは数学におけるオリジナリティーと同じだとおっしゃるんですね...』と『世にも美しい数学入門』という対談集で語っておられます。

藤原氏は、こうした観点からも、いろいろな機会に小学校における日本語教育の充実を主張され、反面で英語授業の導入には真っ向から反対しておられます。

日本の古代以来の優れた文学にしても創造性豊かな数学にしても、日本語があればこその成果でしょう。

多数の国民が文学に親しみ俳句に興じるという層の厚い文化環境を背景に独特の美意識に支えられた文学や数学が生み出される。また、その繊細な美的感覚は文字文化や数学だけに限って発揮されるものでもない。日本語及び日本文学の研究者ドナルド・キーン氏は、バスの運転手の頭上にさりげなく花を挿したり、デパートの商品を見事に包装したりする日本独特の美意識も指摘しておられる。

日本のユニークな才能を育てる豊かな土壌が日本語だと言えるでしょう。私たちは日本語があるからこそ日本人なのです。

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