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単語学習(5)― 語彙暗記の闇と光 ―

サブタイトルは― 語彙暗記の闇と光 ― で、闇(やみ)が光より先になっています。

語彙暗記の場合、夜が明けて十分に光が射すまで、闇の期間が長く続くからです。真っ暗闇というのではありません。夜明けがなかなか訪れないのです。

それでも、勉強を続けていると闇は少しずつ薄くなっていきます。明るい月夜ぐらいになってくる。

そうすると、だんだん目が慣れてきて(=脳が適応してきて)、あまり不自由を感じなくなってくる。英語を読んでも聞いてもだんだん分かるような気がしてくる。月夜なのに昼のように感じるようになる! 人の適応能力はすごいのです。

そんな人たちのなかから ― あまり好きな言葉ではありませんが ― 「英語の達人」が出現してきます。

「英語の達人」たちは語彙に関してもいろいろな発言をします。共通しているのは「語彙ばかりそんなに覚えられるはずがないし実際必要な語彙は限られている」という ― はっきり言ったり言わなかったりしますが ― 主張です。自分の日本語の語彙が5~6万以上であり、英語のネイティヴの語彙も同程度であることは無視します。「5~6万はどうしても必要でそれが自然な語彙数なのだ」という厳然たる事実(参考記事: http://www.geocities.jp/kinzo6/eigo01.html )にはまったく触れず、自身の英語の語彙数もせいぜい2~3万です。

そんな達人たちの言うことを、こともあろうに、本当に信じる人たちもいます。「語彙だけではどうにもならない」とか言いながらますますボキャビルを軽視します。「語彙だけではどうにもならない」のではなく「語彙がなければそれこそどうにもならない」ことに気づかない。月夜になれて、なれればなれるほど、自分に対する語彙の要求水準が低下する。「いわゆる英会話」あるいは「絵本や児童用図書」に永住することもある。

他方、「語彙など数千語で十分だ」とは信じていなくても、「いわゆる英会話」あるいは「絵本や児童用図書」に永住する人もいます。英語世界の一端を気楽に楽しみながら人生を豊かにする。それはそれですばらしいことです。私も、植物画やラテン語は、そんな風に優雅に楽しみたいと思っています。

私にとって英語はそうではなかった。まず、何でも読めるようになりたかった。高校3年生の時に図書室で「西洋哲学物語(ウィル・デュラント著)」という翻訳本を見つけました。どこの出版社だったか忘れましたが、確か表紙がピンク色のハードカヴァーの美装本でした。ふっと、「いつか英語で読んでみたい」と思いました。そして今ならちゃんと読めます。私の英語が、そうした意味では、やっと高校時代の日本語に接近してきたわけです。「The Story of Philosophy」は「There is a pleasure in philosophy, and a lure even in the mirages of metaphysics, which every student feels until the coarse necessities of physical existence drag him from the heights of thought into the mart of economic strife and gain. Most of us have known some golden days in the June of life when philosophy was in fact what Plato calls it, "that dear delight"; when the love of a modestly elusive Truth seemed more glorious, imcomparably, than the lust for the ways of the flesh and the dross of the world.」ということばで始まりますが、これを読むといつもあの静かな図書館のひと時を思い出します。

この Will Durant の "that dear delight" という表現は、私にとっては、「The Story of Philosophy」を読めるようになった悦(よろこ)びでもあります。

もはや、月夜ではありません。夜が明けたのです。

続く...

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