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単語学習(3)

● 単語の理解に語源や造語法を利用する。

辞書には「語源その他単語のパーツが持つ意味」の説明があります。だから、「アンチ・バベルの塔」を実行すればそうした事項も語彙知識の一環として当然ながら頭にインプットされます。

「長くて覚えにくい単語はたいてい語源でかたづけると楽に覚えられます(渡辺照宏『外国語の学び方』岩波書店、1962。p.80~81)」 → そんなに楽なわけではありません。文章を読んでいて未知の単語が出てきた場合に語源の知識があれば即座に適切な意味を類推できるかと言えば必ずしもそうではありません。

語源ではとうてい想像できない意味を持たせていることも少なくありません。

「……それでもドラスティックに語彙を増やす助けになる補助的な方法はあります」 → 決してドラスティックには語彙は増えません。「造語法・語源など」の知識はボキャビルのひとつの武器ではありますがそれはあくまでも関連語彙の基盤をなすものであってそこから派生した現行の意味は別に覚える必要があります。語源等だけで正確な意味を取れる語彙は限られています。

● こじつけの連想法は役に立たない。

ナンセンスではありますが、記憶法の一助として利用できることもあります。例えば sty [スタイ] という単語があります。通常、「① 豚小屋、きたないところ」「 ② (目の縁にできる)ものもらい 」という2つの意味があります。私はこれを「豚小屋のものもらい」で暗記しています。きたないところで目をこすってメマチコができるというイメージが定着して絶対忘れることはありません。

● 単語を既製の単語集で覚えるのは無駄である。

 「豆単」など、単語集を頭から暗記するのは、もっとも非能率的な方法である。単語が覚えられないうえ、時間と労力の浪費である。単語集で語いを増すことのできる人は、その能力を、むしろ詩の暗記にでも向けたほうがよい。
(種田輝豊『20カ国語ペラペラ』実業之日本社、1969。p.188)

「豆単」と「詩の暗記」のいずれを利用すれば多くの語彙を覚えられるかと言えば「豆単」に決まっています。「豆単」は「アンチ・バベルの塔」とは質の面でも比較にならない方法ですが、最小限度の必要単語を詰め込む手段としてバカにしきれるものではないでしょう。確かな効用があります。種田さんのおっしゃる意味は充分よく理解できますが「豆単」と「詩の暗記」は比較できるものではないと考えます。

 そして自分の失敗経験からいえるのは、単語をそのまま丸暗記するのではだめだということです。ほんとうにつらい思いをして覚えても、どんどん忘れてしまうから、結局は膨大な時間のむだになります。それなら、気に入った詩を覚えるほうがいい。詩は韻をふんでいるものだし、また詩には意味ももちろんあるのだから、もしも単語を暗記したいのであれば、そういう詩を通して暗記したほうがずっと覚えやすいです。
(ピーター・フランクル『ピーター流外国語習得術』岩波書店、1999。p.14)

ピーター・フランクルさんは、そういいながらせっせと単語を丸暗記することもやめないし、一定の効用は認めているはずです。まさか、今知っている語彙をすべて詩を暗記することで覚えたわけでは決してないでしょう。また、「詩」の暗記でどれだけの数の覚えられるのか?という重大な疑問にもまったく言及していません。

「アンチ・バベルの塔」とはまったく異なるやり方ですが、丸暗記をむげに否定することもありません。適切に利用すればよい。

 単語帳で英単語を一生懸命記憶しようとしている学生を見かける。これを見ていると、気の毒になる。全く非効率的な勉強方だからだ。ましてや、「辞書を最初から一語一語覚えて、覚えたページを食べた」などという苦学物語を聞くと、信じられない思いである。
 彼らは、個々の単語を独立に覚えようとしている。これは大変な努力を必要とする勉強方だ。しかも、極めて能率が悪い。個々の単語をバラバラに覚えようとしても、覚えられるものではない。そのうえ、退屈きわまりない作業である。だから、「a から始めて abandon まできて投げ出した」とか「a で始まる単語だけやけに詳しい」などということが起こる。こうした学習法は、「超」勉強法の第一原則(面白いことをやる)にも、第三原則(とにかく進む)にも反する。退屈なだけでなく、他の単語と混同してしまう危険もある。辞書のつぎに出ている言葉と取り違えたというウソのような話もある。
(野口悠紀雄『「超」勉強法』講談社、1995。p.53)

このコメントは、期せずして、「アンチ・バベルの塔」に対する偏見を見事に集約しています。何度も述べましたが「アンチ・バベルの塔」は「辞書を食べる方法」とはまるで異質の方法です。実行すれば分かります

● 読みながら単語を採取して覚える。

 一応基礎ができたものとして、それ以上に単語の知識をふやすにはどうしたらよいか。ひとつずつ覚えていくことは前と同じですが、そのころになるとただの語学の教科書のみではなくて、一般の新聞雑誌や単行本を手にとるようになるでしょう。そういう時に出てくる知らない単語を採集して覚えるのです。
 これらの読みものにしても、ある時は教科書と同じように知らないことは一々辞書を引き、ノートやカードに書きつけて覚えます。これはもちろん一番確実な方法であって、私自身もときどきは新しい単語を収集することを目的としてこういう読み方をすることもあります。
(渡辺照宏『外国語の学び方』岩波書店、1962。p.74~75)

● 辞書を引いたらすぐ閉じないで単語と意味をメモしておく。

 辞書を手まめに引くことは前にもうしました。しかし引きっぱなしでは効果が薄いのです。一目見ただけで絶対に忘れないという人も100人にひとりぐらいはいるかも知れませんが、私たち平凡人はもっと慎重なやり方をすべきです。すなわち、目ざす単語を辞書の中で見つけ、その場で必要な意味が分かってもすぐに辞書を閉じずに、ノートかカードに書きとった上、紙片でもはさんでおきます。どうせ続いて二度三度と辞書のその箇所を見なおすことが多いのですから。ノートは小型の単語帳よりも、合判ぐらいのやや大きめのものを用い、単語と訳語だけではなく、なるべくならば用法、用例もいっしょに書きいれるようにします。カードも単語だけ書きこむ小さいものではなく、やや大きめのもの(私は紙屋で8cm×12.4cmに裁断してもらったものを使っていますが、一般には7.4cm×12.4cmが標準型です)に単語と訳と例文と出所などを書きいれておくと便利です。…(中略)…、このように一々訳をつけないでも自分の用にたりれば十分ですし、著者名や書名も一々ていねいに書かずに自分だけにわかる略号でもけっこうです。必要に応じては発音とか同義語とかを書きいれることもできます。
 勝俣銓吉郎『新英和活用大辞典』は英語を専門とする著者が50年もかかって何万ページの原書を読みあげて20万ほどの言い方(collocations)を集めたもので、私自身もいつも手許に置いてお世話になっています。この辞典を利用することをどなたにもおすすめしますが、自分でもカード式でさまざまな言い方を集めるのは、楽しくもあり、有益でもあります。たとえ1冊の本でも、読むときに用法に注意してこのようにカードに取り、まとまったならばABC順に揃えて、ときどき復習すると単語の力はもちろん、語学の実力が目だってつきます。ぜひおためしください。このカードは会話の決まり文句を覚えるためにも使えます。
(渡辺照宏『外国語の学び方』岩波書店、1962。p.77~78)

最後の2項目は「アンチ・バベルの塔」にも共通する主張が多いです。しかし、最初から「アンチ・バベルの塔」を築きながら多読を併用するほうが、効率・知識の正確化などの面から観てより賢明な策であることは今まで繰り返し述べてきた通りです。


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