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「才能」(21)

スティーヴン・キング著『小説作法(アーティストハウス刊の訳本)』より引用します。太字はk.y.

(引用開始)才能は練習の概念を骨抜きにする何事であれ、自分に才能があるとなれば、人は指先に血が滲み、目の玉が抜け落ちそうになるまでそのことにのめり込むはずである。誰からも相手にされないにしても、行為それ自体が絢爛たる演奏に等しい。表現者は満足を覚える。それ以上に、陶酔境にはいることさえしばしばだろう。ことは楽器の演奏や、野球の打撃や、フルマラソンの完走ばかりではない。本を読み、物を書くについてもまた同じである。私は作家志望者に、毎日、四時間から六時間を読み書きに充てることを勧めるが、かなり厳しく思えるかもしれないこの日課も、資質があって歓びを感じるなら、およそ苦にならない。いや、現にこれを日課にしている努力家も少なくないのではなかろうか。心行くまで読んだり書いたりするには許可が必要だと思うなら、すでに与えられているから気遣いは無用である。これは私が保証する。 
 何にもまして読むことの大きな意味は、それによって書くことに馴染み、呼吸を会得する点にある。言うなれば、自前のプリント用紙と、記載のととのった身分証明書を携えて物書きの國へ移り住むようなものである。弛まぬ読書は、自意識を忘れて書くことの没頭できる場所へ人を誘い込む。その場所を性癖と言ってもいい。読むことはまた、飽くなき知識の深化に繋がる。先人が何をしてきたか、まだ誰も手をつけていないことは何か。何が陳腐で、何が新鮮か。ぺーじの上で何が働き、何が効果を失って埋伏するか。こうしたことを判断する力はすべて読むことによって養われる。読めば読むほど、ペンやワープロでぶざまな失敗を犯す危険は遠のく道理である。(引用終止)

才能は練習の概念を骨抜きにする」という言葉がすべてを要約していると思います。「才能」と「練習」という概念は互いに相容れないもの、つまり、「才能」は「お稽古ごと」とは無縁なものだということでしょう。それを混同すると滑稽なことになります。

私は若い頃才能がある人は労せずして大きな仕事ができる人だと考えていました。「スポーツ万能」という言葉がありました。たいした訓練もしないのにどんなスポーツでも見事にやってのける。ほんとうに信じていました。あとになって、いわゆる「スポーツ万能」の人は結局どんなスポーツもたいしてできるわけではないことが分かりました。もっとも、多くのスポーツをそれなりに楽しめることはすばらしいことに違いありません。たいした勉強もしないのに「何ヶ国語もできる人」がいるとほんとうに信じていました。あとになって、いわゆる「何ヶ国語もできる人」は結局どの言葉もたいしてできるわけではないことが分かりました。もっとも、多くの言葉をそれなりに操れることはすばらしいことに違いありません。

今は、各分野において「並外れた訓練や勉強に没頭し、その結果並外れたレヴェルに到達し、なおその訓練や勉強を持続できる人こそ才能がある人」だと分かっています。その訓練法や勉強法がこれまた常軌を逸したものであることも分かっています。つまり訓練や勉強自体すでに創造の産物であり没頭する姿自体すでに「絢爛(けんらん)たる演奏」になっているわけです。

何事であれ、自分に才能があるとなれば、人は指先に血が滲み、目の玉が抜け落ちそうになるまでそのことにのめり込むはずである」。

ちなみに、「非凡と平凡のどちらが幸せなのか」というのはまったく別の問題です。ただし、陶酔の境地に浸ることができるのは非凡な人なのでしょう。

私は自分に無いものにあこがれます。

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