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養老孟司さんの「整理整頓」(4・完)

老孟司さんが雑誌 『諸君』 の1994年3月号に「整理整頓」というエッセイを寄稿している。

おもしろいエッセイなのでいくつかに分けて収録しておくことにした。今回は4回目(最終回)。

(引用開始) ダーウィンは、論文の必要な頁を破いて取っておいたという。十九世紀の、論文の少ない時代なら、これでもよかったのだが、今ではほとんど無理である。雑誌全体に目を通すことすら、むずかしいからである。人知は進むらしいが、どうやらその恩恵には与れそうもない。進んでいく人知に、個人が追いつけないのである。
 バベルの塔という話は、いつも人ごとではないという気がしている。言葉はわかるのだが、もはや内容がわからない。言葉も内容もわかるのだが、読む暇がない。バベルの塔よりもっと悪い。コンピュータを使えというが、まだ日本語の読み取り装置はない。いまフロッピーになっている原稿は、捨てないほうがいい。いずれそれらをまとめて、データ・ベースが作れるかもしれない。それが自由に使える時代には、もはや私は生きていないであろう。(引用完)

(k.y.の感想)

バベルの塔」は実は「未整理の混乱」を意味しているわけである。現代は、養老先生も実感を込めてご指摘のように、学問とくに数学や科学の各分野の専門化が極度に進み、門外漢はもちろん専門家でさえ違う分野のことは理解できない状態になっている。

私などわからないことがむやみやたらとある。『日経サイエンス』を購読している。一般の総合雑誌にはない面白い記事が盛りたくさんで飽きることがない。しかし、わからない記事も山ほどある。「言葉はわかるのだが、もはや内容がわからない」のだ。さっぱりわからないこともめずらしくない。英語で読んでも翻訳で読んでもさっぱりわからない。

それに比較すれば普通の新聞や雑誌や小説は楽である。ほとんどわかる。わからなくても調べたらわかる。使用されている語彙の数も限られている。つまり、5万語内外である。

その5万語内外の語彙を見事に整理してくれてあるのが「学習用英英辞典」を筆頭とする学習用英語辞典である。養老先生の世界ではもはや「アンチ・バベルの塔」を立てることは絶対に不可能なのだ。しかし、たとえば普通のペーパーバックの世界で「アンチ・バベルの塔」を建てることは充分に可能である

なぜ可能なのか?

普通のペーパーバックなどの世界は専門でもなんでもない、充分に整理されただれでもわかる世界だからです。

そして、「アンチ・バベルの塔の完成」こそ、その世界に自由に出入りできる資格なのです。

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