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奇才の幼少時代(3)

ホラー小説のキング・スティーヴン・キングの幼少時代小学1年生(6歳))のひとこまを 『スティーヴン・キング 小説作法(翻訳・池央耿)』 から抜粋します(太字k.y.)。

(引用開始) 

この年、兄のデイヴィッドは四年に進み、私は一年生の出席日数が足りずに休学扱いになった。母と学校で話し合い、私の健康状態がよくなったら、秋の新学期から出直すことにしたのである。
 私は一年の大半を家でごろごろして過ごした。その間に、重さにしておよそ六トンのコミックを読み、トム・スイフト(k.y.注:青少年向け科学冒険小説シリーズ)や、デイヴ・ローソンのプロペラ機で空中戦を繰り広げる第二次世界大戦中のヒーローものを齧り、さらには、ジャック・ロンドンのわくわくするような動物譚に手を延ばした。そして、いつの頃からか、自分で話を書くようになった。創作に先立つ模倣の時代である。私はブルーホースの練習帳に<コンバット・ケーシー>を一字一句書き写し、ところどころに自分なりの、それらしい描写を加えた。「彼らは農家の広々とした忌々しい部屋に泊まった」などと私は書いている。drat (忌々しい)と draft (隙間風)は別の言葉だと知るまでにはまだしばらくかかった。当時の私は details (細部)をdentals (歯音)のことだと思っていたし、女性を罵って言う bitch (雌)はずば抜けて背の高い女の人だと理解していた。侮蔑を込めた悪態の son of a bitch は、そういう女から生まれた息子だから、バスケットボールの選手になるといい。ことほど左様に、六歳の子供にとって語彙の習得は溜池をしゃくう(k.y.注:「しゃくう」の意味不明。「すくう」のことか?)ようなものである
 ある時、私はそうやってコミックの書き取りに借り物の言葉を扱(こ)き混ぜた作品の一つを母に見せた。母はとても喜んだ。軽い驚きを含んだその笑顔は今も記憶に残っている。我が子がこれほど賢いとは信じられないという表情だった(k.y.注:スティーヴン・キング自身が、高校生の頃「知能指数は150~160」だったと書いている)。賢いどころか、この子、どうして立派な天才だわ。それまで、私のせいで母がそんな顔をするのは見たことがなかったから、子供心にもこれは嬉しかった。
 自分で考えたのかと母に問われて、私はあらかたコミックブックの引き写しであることを白状するしかなかった。母はがっかりした様子で、私もしょんぼりした。練習帳を私に返して、母は言った。
 「自分で書きなさい、スティーヴィー。<コンバット・ケーシー>の漫画なんてつまらないわ。ケーシーはいつも乱暴をして、人間を痛い目に遭わせるばかりでしょう。もっと面白いことがあるはずよ。自分で書きなさい」

 母に言われて無限の可能性を感じたを憶えている。閉じたドアがいっぱいの広大な建物に案内されて、どこでも好きなところを開けてごらんと言われたようなものだった。ドアは一生かかっても開けられないほどたくさんあると思ったし、この気持ちは今も変わらない...

(引用終止)

(k.y.談)↓

示唆豊かな回想ですが、私が強く興味をおぼえたのは、この6歳の少年の語彙・文章・物語に対する貪欲さ・好奇心・集中力、そして早くも目覚めている創作欲です(これで思い出すのはピカソがまだ幼かったころに実行した常軌を逸した猛烈な量・集中力の模写である。膨大な種類の形体と精密機械のような作画術が記憶されたことは想像に難くない)。

また、スティーヴン・キングがこんな調子で成長したのであれば、その語彙力は25~30万語だろうと思われます。しかも、あるいは、だからこそ、超ど級の創作力を備えている! 

彼は、今も、「私は遅読だが、それでも、一年に七、八十冊は読む」と語っています。「七、八十冊」は字数にして800万語内外。一日およそ2万語、つまり、50ページを超える。


 

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