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「アンチ・バベルの塔」検証(7-復習について)

「アンチ・バベルの塔」方式は、次の2つの作業を含むシステムです。

① 辞書から未知語彙を選んでカードに転写すること

② ①の語彙を暗記すること

この2つを達成すれば素晴らしい効果があります。

しかし、達成に至らずやめる人のほうが圧倒的に多い。

達成に至らない理由は、以前にも言及しましたが、列挙すると3つあります。

(1) 「アンチ・バベルの塔」方式=学習用辞書(できれば英英辞典)の暗記がボキャビルの最善策であることに疑問があって他の方法のほうが優れていることがわかってやめる

他の方法のほうが理論上も実際上も優れていることを証明できるなら、すぐにその方法を採用すべきことは言うまでもない。

私は他の方法を ― 数万語以上の精密なボキャビルに関する限り ― 知りませんので、ご存知ならぜひ教えてください

(2) 時間がない(根気がないことの言い訳である場合は除く)ためにやめる 

(3) 根気がないためにやめる

(1)や(2)でやめるのは、当然で、まったく仕方のないことです

問題は(3)の場合である。

① で既に根気がなくなる人ももちろんいますしかし、根気をなくしてしまう最大の原因は、② = 復習です。

最初のうちはスイスイ復習できるがカードの枚数が増すごとに復習の負担が増し、ついに耐えられなくなり、ひいては ① もできなくなってしまうという失敗のプロセスです。

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さて、復習の仕方には、大別して、次の2つ(A・B)の方法があります。

( A は分類する方法、B は分類しない方法。 B のほうがはるかに単純な方法です )

A 覚えたグループと覚えていないグループに分類し、さらに覚えの濃淡に応じて復習の間隔を調節する方法

典型的には、カード1枚につき語彙ひとつ記入というやりかたです

B まったく選別せずA~Zまでのカードを(あるいは今までに作成したカードを)一定の枚数ごとにリングでまとめ(私は100枚)、全カードを必要日数を費やして復習する方法

また、1枚のカードには6語前後の語彙が転写されています。この場合、以前にも書きましたが、1枚のカードが数語の語彙で形成される「場所」を形成し、その一定した場所的コネクションが記憶の定着を促進するという利点があります。

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Aの方法はあちこちで紹介され、利用している人も多く、一定の語彙数までは、非常に有効であることも確かです。

また、一定の語彙数までであれば、覚えた後で多読ないしは英語での仕事などを通じて、特に復習しなくても既習語彙の維持は可能です。

しかし、「アンチ・バベルの塔」は、最終的には、ネイティヴと同等のあるいはそれを超える語彙数の獲得を目的とするシステムです。

だから、ネイティヴのように24時間(眠っている間も脳は言語情報の整理を行っている)その言語に触れているわけではない非ネイティヴの場合、Aの方法で既習語彙を維持することは不可能だと思われます。

なぜか?(以下は私見に過ぎませんから、実証をともなう反対意見は大歓迎です!)

語彙数があまりにも多いために(不要だという意味では断じてありません!)、Aの方法で覚えたはずの語彙も記憶の耐用期間を過ぎるとどんどん忘れていくからです。

さらに、カード1枚で1語彙の場合、記憶の濃淡による分類と復習日の配置がカードが増大するにつれてどんどん複雑になり、復習をアレンジするだけでも無視できない負担になってきます。

他方、覚えやすかった語彙を忘れて覚えにくかった語彙を覚えていたり、両方覚えていたり、両方忘れていたり、記憶は正体不明です。

5千語内外の単位で実験してみたらよくわかりますよ。

したがって、「必ず全語彙をコンスタントに復習すること=全語彙にコンスタントに触れること=できるだけネイティヴの語彙接触状況に近づけること」が肝要です。

もちろん、それに至る前に(A)の方法その他を活用することも必要です。しかし、(A)ですべて覚えたから復習はいらないわけではありません。

仮に、記憶の濃淡を5段階に分類したとします。記憶が最も強固な5に分類されている語彙は安全かというとそんなことはありません。3に分類されている語彙が5の語彙よりも定着率が低いということも ― ある期間過ぎた後では ― ありません。いずれは、どの語彙も同じ記憶レヴェルに落ち着きます。

「放置すればいずれ全部忘れる」と仮定するほうが真実に近いのです。24時間接しているわけではないからです。

さて、私の場合、「アンチ・バベルの塔」が完成した後の学習用英英辞典レヴェルの総認識語彙は10数万語(単語・イディオム・その他の語句)になるはずですが、常時復習が必要な語彙数=「アンチ・バベルの塔」収納語彙数は2万語ほどです。

この2万語は、毎日1時間3ヶ月のスケジュールで全部復習が可能になる確信があります。

また、その1時間を決して無駄だとは考えません。

至福の1時間です。

 

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Comments

以前コメントさせていただいたmuketと申します。

復習についてですが、私は作成日ごとに分けられたカードの束に、新しいものから1〜14までの札をつけ、1、2、3、5、7、14の札のついた束を復習し、それが終わると札をひとつずつ新しい束にずらしてまた翌日、上記の通り復習する、というやりかたをとっています(復習時にわからなかった単語のカードは再び1の束に加えています)。
しかし、すでに14日を過ぎたカードの山が積み上がっており、いずれこれらも再度確認せねばと思いながら、なかなか手をつけられないでいました。
が、今回のエントリを拝読し、このままこの"とりあえず覚えたはずの束"を放置していたら大変なことになるところだった、と気づかせられました。
たった6回確認しただけで覚えた気になっていたのは甘かったと思います。
おそらくAタイプに該当する14日間の復習は、私には単語の理解を定着させるための期間として必要ですが、それを抜けたカード群も、Bタイプのように緩やかに、しかし確実に、復習する必要がありますね。さっそく今日から、カードの山を崩して補強するプロセスも加えようと思います。

2ヶ月ほど前にアンチ・バベルの塔ブログを拝見して始めたカード暗記ですが、すでに生活の一部となっています。飽きっぽい私がこんなに続けられるとは正直思ってもみませんでした。今後も、k.y.さんの意見を参考に、改良を加えながら続けていこうと考えています。

Posted by: muket | September 15, 2005 at 09:11 AM

こんにちは。
以前ご報告したとおり、Aの方法で進めています。
Aの方法を使う理由としては、覚えの悪い語は短い間隔で復習したい。というのが大きいですね。Bの方法では1000語の語彙集を100語/日で10日毎になってしまいます。
実際やっていると、毎日復習しても10日連続で思い出せない単語がありますし、一度で覚える単語もあります。これらを同頻度で復習するのは効率が悪く思われます。

カードでやると管理が大変でしょうが、PCでやっている分には管理コストはゼロです。自動的に記憶の濃淡と復習間隔に応じて今日復習するべきカードが選ばれます。やり残したモノは翌日に回されます。1週間もほっておくと累積されて大変なことになりますので、きっちり日々消化する動機付けにもなっています。

長くやり続けていれば、どのカードもどんなに記憶レベルが上がっても、いつか復習カードとして選ばれる日が来ます。全ての語彙カードが復習サイクルに入ったままなわけですから放置の心配もありません。

管理人さんが復習すべく分類されている2万語は入れ替えがあるのでしょうか?

実証はまだこれからの予定ですみません。SVL12000の全てのカードの復習間隔が100日以上になることが当面の目標です。
ではまた。

Posted by: yamasina | September 15, 2005 at 02:19 PM

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