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なぜ語彙を豊かにしたいのか?(続)

前回に、( 「私は、結局、語彙である」と思います。 デカルトは 「I think therefore I am.=われ思うゆえにわれあり」 と言いました。 私は、「I have words therefore I am.」 と言いたい ) と書きました。

大島清氏は、その著 『55歳から駄目になる脳、伸びる脳(2001年 角川書店)』 で、( 「言語 」 は、脳内の知識の整理・定着材 )だと語っておられます。引用しておきます(太字k.y.)。

(引用開始)

 昨今の活字ばなれの傾向は、目を覆うばかりにひどい状態である。ここ一ヶ月の間にまったく本を読まなかったという高校生が、ついに過半数を超えたというニュースや、東大でも、教科書を読みたがらない学生が増えているという話しなどに、私は暗然たる気持ちを抑えることができない。

 というのも、私は、あらゆる教育の基本は「言語」にあると思っているからである。かつて、小学校のころから耳にタコができるほど、親や教師にそう言われてきたからかもしれない。それはたとえば、「算数の応用問題も、問題の意味がわからなければ解くことはできないだろう」「日本語をたくさん知っていなければいい翻訳はできないんだよ」などなどといった具合だった。

 もちろん、勉強にもいろいろなスタイルがある。本の虫になることばかりがいいわけではない。ときには、山や川へ分け入って、皮膚で自然に触れること、五感のすべてを使って周囲の事象を味わうことも必要である。しかし、それを情報として、自分の中に蓄積することを勉強というのであれば、それを言葉として自分の頭の中に蓄積しておかなければならないと思う。
 
 言葉は、こうした体験を整理し、自分のものにするためにある。ととえば、だれでも覚えのあることだと思うが、貴重な体験をしたのに、その感動をどう表し、伝えたらいいのかわからないということがある。そのとき、自分の感動を表現するための言葉を必死で探し、その言葉を探しあてたとき、はじめてその体験が自分の中に定着するのだ。

(引用中断)

k.y.談

言葉の重要性は、もちろん、個人に限られたことではありません。

たとえば、古代の都市アレクサンドリア(アレクサンドロス大王が自分の名前にちなんでつけた都市)には、紀元前290年から西暦646年まで約1000年間世界で最も重要な図書館だった「アレクサンドリア図書館」がありました。文字通り世界の知の宝庫だったわけです。

Leonard Mlodinow は 『Euclid's Window 』 という本を書いて、第6章「A Beautiful Woman, a Library, and the End of Civilization」 で次のように述べています。

If U.S. News & World Report were to extend its survey of academic institutes to all history, Alexandria would beat the Cambridge of Newton, the Gottingen og Gauss, and Einstein's Institute for Advanced Study at Princeton for the number one spot.

「アレクサンドリア図書館は、ニュートンのケンブリッジ大学やガウスのゲッティンゲン大学やアインシュタインのプリンストン高等研究所を抜いて世界史上最も優れた学術機関であった」というわけです。

Leonard Mlodinow は「アレクサンドリア図書館には20万~50万巻のパピルスの巻物が収納されていて、当時の世界の知識がほとんど網羅されていた」とも書いています。

このアレクサンドリア図書館が破壊された後、ヨーロッパは暗黒の時代に突入し、文明は1000年以上遅れたと言われます。

Leonard Mlodinow は、月着陸は1969年ではなく969年だったかもしれないと述べています。

図書館は言葉の集積に他ならず、図書館の破壊は言葉の破壊に他なりません。

世界の言葉の宝庫の破壊世界の文明の破壊だったことを思うと、アレクサンドリア図書館の破壊がいかに野蛮な行為であったかよくわかって、慄然とします。

私は、ドラえモンに頼んで古代のアレクサンドリアにタイムワープし、アンチ・バベルの英雄になってアレクサンドリア図書館を守護したい!

続く...

 

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