単語学習(8)
「ビジネス英語雑記帳(http://tottocobkhinata.cocolog-nifty.com/bizieizakkicho/)」というたいへんインパクトのある有益なブログがあります。
ご存知の方も多いはずですが、ぜひ全部お読みになることを勧めたいと思います。私は、株式投資の本を翻訳したときに、ブログの管理人である日向さんの著書も参考にさせていただきました。
さて、上記雑記帳の「英語学習法」のカテゴリーにある「英語の単語力を増強するには」という記事に ― 単語力ないし語彙力とも言われるボキャブラリーを増強するにはどうしたらいいのかとよく学生に聞かれます。ポイントは三つ。ポイントと言っても、具体的習得法ではなく、習得に際して意識しておく必要のある理屈ということです。 第一に、異なる状況ないし文脈の中で同じ単語に何度か出会って初めてその単語が頭に定着することがわかっているので、同種のものばかりというのでなく、様々な媒体に触れるよう心がけることです。会社の中だけでなく、外でのプライベートなつきあいが増えてきて初めてその人の人となりが頭に入ってくるようになるのとよく似ています。第二に、同一単語といえども、違った顔を見せるということを意識して勉強する必要があります。例えば、同じbusinessという単語でも、企業が携わる事業を意味するときは、不可算名詞であり、原則として冠詞をつけないのに、企業そのものを指すときは、可算名詞であり、原則として不定冠詞aを付けて使い、企業一般を抽象的に指すときは冠詞なしの複数形で使うという具合に、意味がいわば「立体的」なものがあるので、その点を意識せよということです。そして、第三に、単語同士の共通項を意識して、大きく網をかけていくことです。corporation(法人企業)という言葉との関係で言えば、corporateという形容詞があり、corporate officer(執行役員)、corporate social responsibility(企業の社会的責任、CSR)といった言葉につながることまで意識しておくと、おのずと底辺が拡大するということです。同僚の友達とも会うようになって、その人に対する親しみが増すのと同じことです(太字k.y.) ― という語彙学習のポイントをズバリご指摘になった記述があります。
そして ― 単語帳を作ったり、単語カードを作ったりして、英語と日本語を1対1でおぼえようとするのは、最初のとっかかりとしてはともかく、基本的には効率が悪いやり方です ― とも述べておられます。
3つのポイント及び「英語と日本語を1対1」式カードの不備さらには語彙暗記の効率も念頭に入れた上で考案した具体的な方法が「アンチ・バベルの塔」方式です。
日向さんは具体的な方法には言及されず、「ボキャブラリー研究の成果の受け売り」だとされています。これは ― あくまで私の勝手な推測ですが ― 日向さんが英語を習得された環境のためことさら意識してボキャビルする必要がなかったからかもしれません。
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