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リービ英雄(2)

リービ・英雄の日本語を読んでいきます。

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出所: リービ・英雄著 『日本語を書く部屋』

ぼくの日本語遍歴

 朝から太陽の光がまぶしくて、アパートメント・ビルを出て自転車に乗り、見上げると、新宿区ぐらいの面積のあるキャンパスの上に広がる大空はその前の日と変わらないコバルト色だった。低い建物という建物の窓の中には、世界のどこよりも早く、白いコンピュータが並んでいた。最先端だけれども殺風景な新しい研究所を通り過ぎて、バスケットに入っている日本語の文学書がはねる音を聞きながら、やしの木の下にまっすぐつづく道を走った。スペインの修道院風に広い回廊に囲まれている校舎の片隅に在る「アジア語文化」の教室で日本文学を講じていた日、スタンフォード大学は不思議に輝いていた。

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 まず、日本語遍歴ということばにひきつけられます。遍歴とは、「さまざまな経験をすること」を意味しますが、元来は、「あちらこちらと広く各地を巡り歩くこと」ですから、リービ・英雄の活発で幅の広い日本語体験が示唆されていて興味を引きます。

 次にアパートメント・ビルという単語。日本人はあまり使わない表現だと思いますが逆におもしろい効果を出しています。エキゾチックな感じがします。わざと使ったのかもしれません。

 その前の日という文句は明らかに on the previous day という言いようが想起されます。英語の几帳面さが顔を出していると私は感じるのですがいかがでしょうか? 

 同じように、世界のどこよりも早くという表現の裏に earlier than any other place around the world という英語のフレーズが浮かびます。これはむしろ英語のほうが本家なのかもしれません。

 バスケットに入っている日本語の文学書がはねる音。 何といううまい表現でしょう。これから意気揚々と日本文学の講義に向かうリービ・英雄の心のうちを見るような感じがします。

 「アジア語文化」。日本人である私にはこの表現は突き放すような効果を与えます。響きが客観的に過ぎるのです。

 スタンフォード大学は不思議に輝いていた。これはリービ・英雄の内面を語る言葉でしょう。日本語を征服しつつあるスタンフォード大学教授の静かにたぎる愉悦の吐露だと読み取ります。

 かくのごとく、一字一句にリービ・英雄のスキルとソウルを感じてしまうのは私だけでしょうか?

 彼は、常にこのような目を持って日本語に接し日本語を読み日本語の英訳を続けてきたのだと察しています。

続く...
 

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