「アンチ・バベルの塔」検証(10)―英英辞典を読むことの意義:続
今日、『Oxford Advanced Learner's Dictionary of Current English』 の第7版(¥4200)を買いました。
この辞書の履歴:
初版 1948年(12刷)
第2版 1963年(19刷)
第3版 1974年(28刷)
第4版 1989年(50刷)
第5版 1995年(65刷)
第6版 2000年(117刷)
最新第7版 2005年
2000年はまだ20世紀ですから、第7版が21世紀最初の版ということになります。
第6版と比較すると本文が1759ページから2010ページに、全体のページ数が1791ページから2129ページになって、辞書の容貌が一変しています。したがって、外観も大人と小学生ほどの違いがあります。収録語彙数は18万3500語。(今の語彙数1万語ぐらいの人が「アンチ・バベルの塔」方式でやれば1日5時間勉強して4~5年で暗記できる)
刷数及びページ数の著増は、20世紀末から21世紀初頭にかけて、英語の需要が今までになく高まったことを反映していると思います。
この辞書のほぼ最後のページに、ウィーン大学教授・Barbara Seidlhofer が 「English as a lingua franca (国際共通語としての英語) 」という1文を寄稿しています。
教授はその最初の節で ― At the beginning of the 21st century, as a result of the unprecedented global spread of English, roughly only one out of every four users of the language in the world is a native speaker of it. This means that most interactions in English take place among 'non-native speakers of the language who share neither a common first language nor a common culture, and who use English as a lingua franca ( ELF ) as their chosen language of communication. ― と述べています。
英語を利用する人たちの中でネイティヴは25%ぐらいに過ぎず、75パーセントは世界の多様な地域の互いに母語も文化も異なる人たちであるということですから、世界の共通語として、英語は、今や、多言語をそれこそ圧倒する地位を占めている。
20世紀末~21世紀初頭の英語の普及が、言語史上、いかに大きな規模であったか伺える事実です。
そんな中で「学習用英英辞典」の役割がますます大きなものなり、必然的に刷数・ページ数が急増し、内容も充実させざるを得ない。
また、アングロサクソンは、外国人に英語を教えてきた長い経験を持ち、各地域のノン・ネイティヴの英語習得プロセスや間違いの傾向をよく心得ている。
そうした英語教育に関する情報も「学習用英英辞典」の編集に活用され各社が工夫を凝らして学習者の利便を図っている。
そんな、いわば「リングア・フランカのパイオニア」であるすばらしい辞書を利用しない手はない!
最低限、しっかり読むべきでしょう。
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