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チャンクについて

『日本でいちばん親切な英語学習法(アリソン・デバイン著 光文社)』 という新刊書(2005年11月30日刊)があります。

英語の初級の学習者には、特に英語でしゃべりたい人にとっては、たいへん参考になる本です。

他方、ある程度以上のレヴェルに達した人には、特に5000語前後以上のボキャビルなどに興味がある人には、あまりあるいはほとんど役にたたない内容になっています。

しかし、第5章の「チャンクで英語を覚えよう フレーズ=連語の力」という記事はどのレヴェルの人にも参考になると思います。

当然のことを述べているに過ぎないのですが、まだまだ chunk の役割を強く意識して学習している人はそんなに多くないし、説明も非常に分かりやすいので引用しておきます(途中省略はk.y.)。

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(引用開始)

連語 Lexical Chunks を認識する

 chunk とは比較的最近、言語学の専門用語に加えられた言葉で、元々の意味は「(肉やパン、材木などの)大きなかたまり」です。つまり、文を意味のかたまり chunk ごとに覚えていくという手法のことです。自然な phrase (成句・熟語)のほとんどは、chunk の組み合わせ = Lexical Chunks (連語)によって成り立っています。つまり”何がどうした”というフレーズで考えてみると、「<何が>(chunk)+<どうした>(chunk)」 = 連語 (Lexical Chunks ) ということになります。言語学者や語学教師たちは、「速やかかつスムーズなコミュニケーションというのは連語によって行われている」と考えています。人間は、赤ちゃんの頃から繰り返し母語を耳にすることで、自然と単語やそのジャンルを認識したり、母語の言語形態(自然な並び方と使用域)ヤスタイル、そして自然に聞こえる連語を認識したりできるようになるのです。

 もう少し具体的に説明します。かりに、日本語の新聞か雑誌の広告欄をあなたが日本人の友人に向かって読み上げるとします。その途中で「この後に続く言葉はなんでしょう?」と、言葉をところどころ飛ばしながら読んで、その空白に入る言葉を当ててもらいます。その場合、友人はまず間違いなく、そのあとに続く言葉を予測できるはずです。

 なぜなら日本語を母語とする人たちの間には、広告というジャンルに関する共通の予備知識がすでにあるからです。

 ここでは、特殊な知識は必要ないので、誰でも正解することができます。私達はいつも連語の知識による予測をしながら言葉によるコミュニケーションをとっているので、次になんという言葉が続くのかを容易に言い当てることができるのです・・・・・・・

 では英語の世界の連語認識はどうでしょう。

 たとえばイギリス人の私は、economy という英単語を、1つのジャンルとして認識しています。経済について話したり書いたりするときには料理、テニス、ロマンスなどに関係する言葉は滅多に出てきません。

 その代わりに、経済についてのコミュニケーションをとるために欠かせない単語もフレーズもたくさんあります。単語で考えてみると、株 (stocks / shares ) 、買う ( buy )、売る ( sell )、上がる ( rise )、落ちる ( fall )、利益 ( profit / interest ) などは必ず登場してくるでしょう。そして、それぞれの単語を知っているだけではなく、それらの単語がどのようなフレーズに組み合わされて出てくるかも知っています。

・ Stock values rise by ~ percent
E.g. SONY's stock values rose by 2% today.
「本日、ソニーの株が2%上昇」

・ Shares fall by ~ percent
E.g. My shares fell by 3% today.
「今日、私の持ち株の株価が3%下落した」

・ ( CURRENCY ) rise to ( VALUE ) to the ( CURRENCY )
E.g. The dollar rose to 105 to the yen today.
「本日、ドル高で1ドル105円になった」

・ ( CURRENCY ) gain against the ( CURRENCY )
E.g. The Japanese yen gained against the US dollar today.
「本日、アメリカドルに対して円高になった」

このように、それぞれの言語で連語認識が存在します。

(引用終止)

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この「連語認識」あるいは「 chunk = 連語 (決まり文句)が言語の自然な運用に大きな役割を果たしているという自覚」が、日本の英語学習者にまだまだ弱い感じがします。

また、市販の単語帳は山ほどありますが連語の教材はずっと少ないし、スラングに至ってはほとんどない状態です。

リスニングのトレーニングに関しても、chunk = 連語 (決まり文句) の類推が決定的な役割を果たす場合も多いことを明確に指摘した教材は少ない。

発音やリエゾンその他の音声現象になれることも必須事項ですが、chunk = 連語 (決まり文句)の知識がないあるいは十分ではないために ― 音が聞こえないと ― とたんについていけなくなる事実にも注目すべきです。chunk = 連語 (決まり文句)に習熟していたら、聞こえない言葉でも瞬時に類推できることがあるわけですから楽です。

だから、「私達はいつも連語の知識による予測をしながら言葉によるコミュニケーションをとっているので、次になんという言葉が続くのかを容易に言い当てることができるのです」という事実をしっかり自覚して語彙強化に励む必要があります。

さらに、活用語彙を強化する際にも ― 語彙のレヴェルにかかわりなく ― この chunk = 連語 (決まり文句) を強く意識しなければなりません。

自然な英語を身につけるためには chunk = 連語 (決まり文句)の充実が欠かせない。

だから、当然のこと、「アンチ・バベルの塔」のかなりの部分も chunk = 連語 (決まり文句) で占められています。

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参考のため 『Oxford Advanced Learner'd Dictionary 第7版 』 の chunk の定義を以下に転写しておきます(太字k.y.)。

chunk

1 a thick solid piece that has been cut or broken off sth:a chunk of cheese / masonry

2 ( informal ) a fairly large amount of sth:I’ve already written a fair chunk of the article.

3 ( linguistics ) a phrase or group of words which can be learnt as a unit by sb who is learning a language. Examples of chunks are ‘Can I have the bill, please?’ and ‘Pleased to meet you’.

もちろん、定義3が chunk = 連語 の説明。 これは、2000年に刊行された第6版にはなかった定義です。

              
                
 


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