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英語学習法(26)その3

前回に、「② 多義語のすべての意味を知ることによって、そのコアになる意味(多義語が持つ根本の idea )を把握できること」 と書きました。

これに関連して、ケリー伊藤さんがおもしろい記事を『時事英語研究(1998年4月号・現在この雑誌はは廃刊)』に書いておられるので引用しておきます↓

(引用開始)

対比学習の進め

 日本の学校教育では英文和訳、あるいは和文英訳ということをやっているようですが、この方法自体は悪いことではありません。母語の体系がすでにでき上がってしまった中学生からの英語教育に、その母語である日本語を媒体として教えること自体は、私は理にかなっていると思います。なぜなら、すでにある言語体系ができ上がってしまっている者が、それを忘れて赤ん坊が言葉を覚えるように学習することは、理想ですが、現実には不可能だからです。

 幼い子供と違って、大人は本能ではなく、頭を使って外国語を覚えるはずです。頭を使うということは、皆さんの場合、日本語で考えて覚えるということです。その意味で、英語教育に日本語を持ち込むこと自体は、決して間違っていません。ただ、それを行う視点が間違っているのです。

 日本の英語教育は、どうも日本語と英語が一対一に対応するという幻想の上に成り立っているようです。日本の大人が英語を学ぶ際は本能では学べない、頭で学ぶのですから、日本語で考えてよいのです。ただ、その場合に、日本の学校教育でやっているような日本語と英語の一対一対応ではなく、idea としてとらえて学習することです。つまり、ある1つの idea がある時、単語単位ではなく、idea を中心として「日本語ではこう言うが、英語ではこう言う」という対比学習をするのです。英語で言えば "detach ideas from words,"つまり、言語の1語1語の表面の意味にとらわれることなく、意図をくみとる練習をするのです。私はこの方法を Binary method と名づけて企業研修などで用いています。

 idea としての対応の一番わかりやすい例は、朝の挨拶です。「おはようございます」は、英語では"Good morning."と言うのは誰でも知っています。誰も"It's early."とは言いません。逆に"Good morning."を日本語に訳して「良い朝」と言う人もいません。このような対比をすべてに当てはめるわけです。

 対比学習をすることによって、もう1つ大切なことが学べます。それは、日本語から英語、英語から日本語にする際にはどうしても足し算引き算が必要だということです。つまり、日本語では述べていなくても英語では情報を足さなければならない場合、逆に日本語は述べているが英語では省略しなければならない場合があるということです。まずは日本語から英語にする場合の例を見てみましょう。

 「上質のものを買えば、結局損はない

 この日本文を英語にするとどうなるでしょうか。おそらく、ほとんどの方は次のように訳すのではないでしょうか。

 ― If you buy high quality products, you don't lose anything after all.

 この英文は一見よさそうですが、英語的な観点から言うと核心を言っていません。どうして high quality products を買うと損をしないのか、という理由を言っていないのです。第一、物を買えば代金を支払うわけで、お金はその分確実に失われてしまいますね。この日本文で本当に言いたいことは、「上質のものは得だ」とか「質の良し悪しが大切だ」ということではないでしょうか。「買えば」と一言一句を訳そうとはせず、idea のみを大切にする習慣を身につけてください。この文章は、日本語から英語に訳そうとする時に「引き算」をしなければならない好例です。Quality pays. となります。

 日→英とは逆に英文を読む時は、日本語ならどう言うか考えるわけです。例えば英文を読んでいて次のような文が出てきたとします。

 "He is a natural leader."

 もし、この idea を日本語で表現するとしたら何に当たるか考えるのです。その場合、皆さんの母語である日本語では「生まれついての指導者」などと普通言わないと言う、母語の語感が必要なのは言うまでもありません。

 文というのは必ず前後関係がありますから、文脈からこれはこの人の人物評価をしているというのはわかるはずです。では、そのような場合、日本語ではなんと言うか、つまり丁度「日→英」の逆をするわけです。

 日本語では「人となり」を述べる場合、「彼は指導力がある」と言うはずです。そうか、これはそのことだと分かったら、メモなりデータベースなりを作るのです。そうすると、それがやがて自分だけの和英辞典となるはずです。和英辞典に載っている"leadership" は「人となり」を述べる時には使わないということがわかるわけです。

k.y,注: 私はこの場合に「生まれついての指導者」とか「生来の指導者」という表現を使ってもまったくかまわないと思います。しかし、"Quality pays."はズバリですね。

(引用終止)

私は、ケリー伊藤さんが述べていることは、たいへん重要な観点だと思います。

その観点は、英語の各語彙(1単語およびその他の各語句)の理解にもあてはまることだと思います。だから、「英和辞典」だけではなく「英英辞典」を読んでみることあるいは「英英辞典」の定義に基づいて各語彙を理解することが必要だと考えます。常にというわけではありません。日本語の説明を見たほうが分かりやすい場合も当然あるからです。しかし、「真の idea を把握するために「英英辞典」の説明を重視する」姿勢は大事にすべきでしょう。

その姿勢は和文英訳の際にも充分役立ちます。

とにかく、「英和辞典」や「学習用英英辞書」を ― 実際に ― 読むことです。頭で想像するだけではなく、実際に、読むことが大事です。必ず、大きな発見があります。

そこからさらに前進して「アンチ・バベルの塔」を建てる気になれば最高です。

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