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英語学習法(27)その2

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(引用再開)

 日本人が英語を苦手とすることは相変わらずである。私も、指導している大学院生に英語の論文を書かせるときに、いつも苦労している。せっかく学力があるのに、国際舞台に立つ際に英語力がハンディキャップになっている。文部科学省から企業、家庭のお父さん、お母さんまで、自分や他人の英語力を何とかしたい!と願っている人は多いのではないか。

 最初から自分でしゃべろうとすると、つたなくなってしまう。それで、ついおっくうになる。ならば、熟練した人々が、目の前で流暢な会話を交わしているところを、ライヴで見るのがよい。そのような「劇場効果」による学習効果は、きわめて高い。実際、私たちは、大人たちの交わす言葉のドラマを聞きながら、母国語を学んできたのである。

 二00五年四月から半年、早稲田大学の国際教養学部で、英語による心理学入門の授業を担当した。最初は、さまざまな英語力の学生が交じっていつ教室で授業が成立するのかと心配だったが、「劇場効果」で案外うまくいくことがわかった。留学生や帰国子女など、英語がペラペラの学生たちと私の丁々発止のやりとりを聞いているうちに、英語があまり得意でない学生や、「それなりに」できる学生も、次第に何かをつかんでいくようなのである。

 目の前で生き生きとした英語がやりとりされているのを、ライヴの臨場感で聞く。中学校や高校の頃から、そのような「劇場型」英語学習の機会が増えれば、日本人の英語力も、もう少し何とかなるのではないか。

(引用終止)

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茂木さんは、明らかに矛盾する2つのことを述べておられる:

①  「劇場効果」による学習効果は、きわめて高い

② 「劇場型」英語学習の機会が増えれば、日本人の英語力も、もう少し何とかなる

どちらがほんとうなのか?

私は、どちらも、ほんとうだと思う。

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英語の学習法を、前回にも書いたが、3つに分類する:

(1) 1次元学習 (文字だけ ) 

(2)  2次元学習 (文字と音声 )

(3) 3次元学習 (劇場型 )

茂木さんは(3)に大きな可能性を期待しておられる。「実際、私たちは、大人たちの交わす言葉のドラマを聞きながら、母国語を学んできたのである」として、(3)が自然なあるいは本来の学習法だと主張されている。

これは誰にも異論はないだろう。

人類が延々と言葉を紡いで子孫に伝えてきたのはもっぱら(3)を通じてである。文字が使用されるようになったのは、人類進化の長い歴史からみれば、ごく最近のことに過ぎない。音声教材が利用できるようになったのは「ほんのきのうのこと」である。だから、人間の脳が(3)で最も効率よく言語を習得ことは当然のことなのだ。

したがって ① はほんとうである。

しかし、② もほんとうである。周囲の人たちを見れば一目瞭然である。「少しはましになる」のである。

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茂木さんは、「 ① と ② の2つの言明が明らかに矛盾しているにもかかわらず2つ共に真である」理由をまったく述べておられない。

その理由は「必要な時間数」にまったくふれていないことである。

次のように表現すれば、①と②には何の矛盾もなくなる。

時間が充分あれば、 「劇場効果」による学習効果は、きわめて高い

② 時間が充分なくても、「劇場型」英語学習の機会が増えれば、日本人の英語力も、もう少し何とかなる

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時間を語らずに英語学習を語るべからずである

これは私の一貫した持論だが、英語学習法の議論(茂木さんの主張も含む)にはいつも「必要時間数」という観点が抜け落ちている。

だから、議論が ― 現実味を欠いて ― しばしば無意味になる。

茂木さん自身も ― 知能の高さもさることながら ― 英語学習に費やした時間は半端ではない。「英語ごっこや英会話ごっこ」をして力をつけたわけでは決してなく、「私は学生時代から英語学習に多大な時間を費やしてきて、何年かイギリスに暮らしたこともあります(月刊誌・プレジデント・2005年12.19号)」という、通常とは言えない多大な学習歴がある。

私は、「必要時間数の観点を欠いた(3)」を日本人の英語学習の中心に位置づけるとしたら、素朴で無意味な「子供は語学の天才論」と同じく、実はほとんど無意味な議論になってしまうと思う。

(3)の典型例は「真剣な留学」であるが、その必要時間と効果の程度を考えてみても、日本の中学や高校で(3)を指向してもほとんど意味がないと考える。

続く...

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