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語彙習得のメカニズムに関する書籍

最近は、「語彙習得論」が、応用言語学のトレンドのひとつになっているようです。

以下の記事は ( http://www.eigokyoikunews.com/eigokyoiku/essay/200310/page3.shtml )からの転記です。

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英語母語話者は、辞書の見出し語換算で5万語の語彙をもつと考えられるが、話を聞いているときには0.2秒という速さで語を認知している。これだけ膨大な語彙の中からわずか0.2秒で話された語を認知するためには、語彙は心の中で組織的に貯蔵されているはずであるという仮説から始まる(下記記事の1部)」


語彙習得のメカニズム おすすめブックガイド

Reviewer
東京電機大学助教授 相澤一美
明海大学外国語学部助教授 投野由紀夫
麗澤大学助教授 望月正道

【基本的研究】
●Vocabulary in Language Teaching
Schmitt, N.(2001)
Cambridge University Press

英語語彙指導に必要な情報が平易な英語で簡潔にまとめられている。まず語彙に関する導入(1章)から始まり、語彙指導の歴史(2章)、語彙知識の諸側面(3、4章)、語彙研究でのコーパスの使用(5章)、談話における語彙(6章)、語彙習得(7章)、語彙指導と語彙学習(8章)、語彙知識の評価(9章)という構成になっている。前半の2章から4章は、英語教師としてぜひ備えておきたい情報であり、後半の7章から9章は、授業での示唆が盛り込まれている。時間がない場合は、1章と後半の7章から9章の一読を勧める。語彙習得に関心のある学部生や大学院生向けのテキストとして、また英語教員一般の教養書として適している。


【語彙指導】
●Vocabulary: Description, Acquisition and Pedagogy
Schmitt, N. & McCarthy, M. (Eds.) (1997)
Cambridge University Press

語彙知識の記述、語彙習得、語彙指導の3領域に関する計15人の論文集。領域ごとに編集者から投稿論文へのコメントがあり参考になる。語彙知識の記述では、語彙サイズ (Nation & Waring)、L1 と L2 における文脈の役割(Nagy)、受容語彙と発表語彙(Melka)などのテーマが興味深い。語彙習得では、語彙習得のモデル研究(Meara)、語彙習得に関する要因(Ellis, Laufer)、L1 が L2 に及ぼす影響(Swan)などが目を引く。語彙の指導では、L2 の語彙指導の傾向(Sokmen)や語彙のテスト(Read)などが興味深い内容になっている。これから本格的に語彙習得を研究したい大学院生や研究者にとっては、避けられない1冊である。


●Learning Vocabulary in Another Language
Nation, P.(2001)
Cambridge University Press

第二言語学習者の語彙を扱った研究書で、この分野に関心のある人なら読むべき1冊である。言語の教育課程には、意味に焦点を当てたインプットからの学習、言語形式に焦点を当てた学習、意味に焦点を置いたアウトプット、流暢さ(fluency)の発達という4つの柱があると考える。語彙もこの4つの柱に沿って指導・学習するべきであるとして、それぞれに関する研究を紹介している。11章から成り、各章の題名は、語彙学習の目標、語を知っていること、語彙の指導と説明、語彙とリスニング・スピーキング、語彙とリーデイング・ライティング、語彙の特殊な使用、語彙の学習ストラテジーと文脈からの推測、語彙の学習ストラテジー、チャンクとコロケーション、語彙の知識と使用のテスト、言語コースでの語彙のデザイン、である。理論だけでなく実践に関する記述も多く参考になる。600編を越す参考文献が非常に役に立つ。


【語彙の記憶】
●『英語のメンタルレキシコン』
門田修平(編)(2003)
松柏社

人間の記憶システム、情報処理の認知科学、脳神経科学、英語教授法の理論をもとに、英語のメンタルレキシコン(心内辞書)について幅広く概説している。L1 での語彙獲得と言葉の処理プロセス(2章)、語彙知識の多面性と測定(3章)、語彙アクセス(4章から6章)、語彙知識と言語運用(7章)、言語理解過程における単語の役割(8章)、単語の処理と記憶(9章)、脳神経科学におけるレキシコン(10章)、語彙ネットワーク(11章)、語彙指導への応用(12から14章)の計14章で構成されている。語彙習得と心理学の膨大な文献を丹念に読み込み、各研究領域別に理路整然とまとめているのは、この研究グループならではの名人芸である。語彙習得研究に、また心強い1冊が増えた。


●Words in the Mind: An Introduction to the Mind (Third Edition)
Aitchison, J. (2003)
Blackwell Publishing

語彙に関心のある人の必読書である。語彙が心にどう記憶されているかを、心理学の研究をもとにわかりやすく解説している。1987年の初版以来、好評を博し、1994年、2003年と改訂を重ねている。英語母語話者は、辞書の見出し語換算で5万語の語彙をもつと考えられるが、話を聞いているときには0.2秒という速さで語を認知している。これだけ膨大な語彙の中からわずか0.2秒で話された語を認知するためには、語彙は心の中で組織的に貯蔵されているはずであるという仮説から始まる。心の中の語彙のモデル、心の中での語の意味の表し方、語彙のネットワーク、比喩の理解など興味深いトピックが続く。さらに英語母語話者の言い間違いの例が多数紹介されているが、それらもおもしろい。英語母語話者の心的辞書について語った書であるが、第二言語学習者の心的辞書を考える上でも大いに参考になる。


【語彙の測定】
●Assessing Vocabulary
Read, J.(2000)
Cambridge University Press

語彙の測定に特化した研究書である。語の定義から始まり、語彙習得と語彙使用の研究、語彙測定研究、語彙テストの事例研究、項目別語彙テストのデザイン、包括的語彙測定、これからの語彙測定方法の開発という章立てになっている。特筆すべき点は、語彙測定には discrete-embedded、selective-comprehensive、context-independent-context-dependent という3つの次元があるとし、この枠組みのなかで、従来の語彙測定方法を評価している点である。従来の語彙テストは、discrete、selective、context-independent なものが大多数を占める。これからは、もう一方の極に近い方法で、語彙を測定する必要もあるだろうと Read は主張する。TOEFL でも1995年以来、独立した語彙の部門はなくなり、読解部門に統合された。このような傾向を理解するには、最良の書であろう。


【コーパス言語学】
●『英語コーパス言語学』
齋藤俊雄・中村純作・赤野一郎(編)(1998)
研究社出版

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5万語の語彙習得が不可能ではないことの認識がもっともっと一般化すれば、ただのアイデアではない語彙習得法の研究にも大きな注目が集まり、具体的な方法も洗練され、おそらく5万語習得ソフトあるいは5万語習得ゲームさえ開発されて、本格的な語彙獲得に本腰をいれる人達が増える可能性があります。そうなれば、日本人の英語のレヴェルも今までになく向上するかもしれません。

「5万語無理・無駄論」はもう捨てるべきです。

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