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斉藤秀三郎という現象(その2)続

前回に続いてマークさんの 『英語の壁』 の「てめえたちの英語は・・・」 より引用します。

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(引用再開)

 前に「一般の日本人の中にも、英語に対して感情的になる人は少なくないようだ」という話を取り上げた。

 この感情問題に関しては、まず、『英語達人列伝』 に、とても刺激的なところがあった。とりわけ、第Ⅲ章「斉藤秀三郎」の目玉とも思えるエピソードが面白い。

 「驚くべきことに一度も海外に出ることのなかった斉藤だが、・・・シェイクスピア劇を演じる英国人役者の英語がなっていないと罵声を浴びせるほど英語に自信を持っていた」(太字筆者)というエピソードなのだ。さらに詳しく説明すると、
 「・・・母国語話者と対等に渡り合うのは相当の自信がなければできない業だ。
 ところが、英米の英語がまだ絶対的な規範として仰がれていた時代に、『ロメオとジュリエット』 を演じる英国人の役者に向かって、『てめえたちの英語はなっちゃいねえ』 と英語で一喝した日本人がいた」
という話である。第Ⅲ章を読んでみた。この話が大きく取り上げられているのは、どうやら英語の上達に対する「諦念」をもってしまい、英米人に対する「劣等感」すら覚えてしまっている今日の日本人の士気を鼓舞するためのようである。私も自分の日本語の上達に対して諦めにも似たような気持ちと劣等感を覚えることが頻繁にあるのだが、それでも、この「自信を持っていた」というエピソードは、例として、きわめて不思議で無理があるように感じられる。もし、逆のケースであれば、どうだろう。たとえば、日本人の歌舞伎役者がアメリカ公演でいきなり「てめえたちの日本語はなっちゃいねえ」とアメリカ人の男に「罵声を浴びせられた」ような話であれば、日本人はただ「馬鹿なんじゃない」と思うだけではないだろうか。

 しかし、それはそれとして、斉藤秀三郎は「てめえたちの英語はなっちゃいねえ」を英語で言ったそうだが、私は、まず、そこで具体的にどういう英語を使って言ったのか、ぜひ知りたい、とりわけ、「てめえたち」と「なっちゃいねえ」に当たる英語表現は、具体的に何という英語だったのか。そして、なんといっても、「『ロメオとジュリエット』を演じる英国人の役者」の英語は具体的にどこがいけなかったのか言ってみろ、と追求したくなる。ところが、この章をもう少し読みすすめてみると、そこまでは考えなくてもよいことがわかる。

 「斉藤伝説を彩るさまざまな名台詞は、単なるはったりではなく、外国語としての英語を究めた人間の自信に裏打ちされたものであった。冒頭で紹介した、シェイクスピア劇の英国人役者に対する『てめえたちの英語はなっちゃいねえ』の罵声も、酔って発せられたものとはいえ、・・・」
ときたら、なんだ、酔っ払いの妄言だったのか、最初からそう言えよ、と腹を立てるどころかあきれてものも言えなくなる。

 とはいえ、たとえこんな説得力のないエピソードがあったとしても、英語学習法に関する著者の確固たる持論がいろいろ展開されており、この本は、実は、面白く勉強になるところがいっぱいある。

(引用終了)

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ここは、マークさん、ちょっと熱くなっているような感じですね。マークさんは、「日本人が書いた英語学習書や参考書にまじめに目を通してコメントするネイティヴ」として貴重な存在です。

日本語や日本人の英語や日本人の英語学習の現状に精通している方が、自分の正直な感情をまじえて語る「日本人の英語論」は傾聴に値します。

それでも、私は思います。

斉藤秀三郎はやっぱりすごい! マークさんには「てめえたちの英語は・・・」 のエピソードは逆効果だったけれど(私もひどい酔っ払いアレルギーです)、斉藤秀三郎という現象は、斉藤が独力で書き上げた 『斉藤和英大辞典』 をみるだけでも、いかにすごい現象であったかがわかります。斉藤の日本語だって私など足元にも及ばない!豊穣にして瑞々(みじみず)しく、ときにしなやか、ときに凛(りん)として品格がただよい、ときに優美な、日本語です。

これほど力量のある人は、今、正直言って、100%皆無です。

続く...

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