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学習時間をもっと意識しよう(1)

再三再四繰り返し述べていることのひとつは、「学習時間の意識欠如」である。

何度も述べたくなる理由は、書店やネットの英語学習法の議論における信じられないほどの「時間意識欠如」である。

教材を売るために「短時間学習で効果抜群」というとんでもない神話を流布するのであれば、それなりに合理的ではあります。

ところが、神話を、売り上げなど意識せずに、熱心に語る向きもかなり多いように感じます。そのなかには、環境に恵まれているために意識学習が短時間で間に合っていることに気づいていない場合もあります。環境に恵まれていたらTOEIC900点程度ならさほどの負担にはならないからです。それこそ短時間で楽しく受験準備を進められるでしょう。

しかし、普通の日本人にとってそれは神話以外の何でもありません。

『理科系のための英語力強化法』で著者の志村史夫さんは次のように述べておられます。引用しておきます↓。

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(引用開始)

日本人の英語

 「聞き流すだけで英語がデキるようになる」はずがない

 新聞には、英会話や英語の学習教材の全面広告がしばしば登場する。それらの広告には、「テキストも辞書もいらない。1日30分、ただ聞き流すだけ!」「文法無用。ラクラク聞き流し。英会話をこんなにやさしく」「聞くだけで英語が口に出てくるなんて画期的!」というような「宣伝文句」の大きな活字が踊っている。要するに、英語の tepe を聞き(聴きにあらず)流すだけで「英会話」や「英語」がデキるようになるらしいのである。それが事実とすれば、私も”画期的な”ことだと思う。

 その「宣伝文句」の”根拠”は「幼児が言葉を覚えるのに教科書や辞書は使わない。幼児は、周囲の言葉を聞いているだけである」ということらしい。

 確かに、前節”英語の4技能”の項で述べたように、われわれが母国語を習得する過程は「聞→聴→話→読→書」である。しかし、これはあくまでも母国語(native language)の場合の話である。しかも、一つの言葉が一応使えるという level に達するまでに平均して5000時間ほど聞(聴)く必要がある、という統計もある。
 
 日本の子どもが日本語で communication ができるようになり始めるのは何歳くらいからか、考えていただきたい。早い子で2歳くらい、普通で3歳くらいからであろう(マンマとかウマウマとかいう”言葉らしきもの”を発するのは1歳くらいからか)。例えば、日本語を1日に平均して5時間聞(聴)くとすれば、1年間では1825時間になる。このペースで日本語を聞(聴)いて上記の5000時間に達するためには約2.7年(=5000÷1825)が必要ということになり、子どもが日本語で communication を始めるのは2~3歳ということとつじつまが合う。

 英語教育の宣伝文句のように「1日30分聞き流す」とすれば、5000時間”聞き流す”ためには10000日(=5000÷0.5)、つまり約27年(=10000÷365)を要することになる。

(引用中断)

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私は、「売らんかな!」の宣伝文句が神話である他に、巧妙に隠された事実がもうひとつあると思う。

それは、これまた何度か述べたことですが、各学習者の頭に「学校で習ったり市販の教材で覚えたりしたこと」がそれなりの質・量で蓄積されているという事実です。

神話教材が人によってはある程度の効果を持つように思えるとしたら、その既知の知識を、手際よく音声に乗せることによって、少しだけ活性化させるからだと思われます。

しかし、その程度のささいな成果なら、神話教材を利用しなくても、いかようにでも達成することができます。

続く...

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