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現実的な語彙強化(17)

1980年代に「コーパス」の利用が本格化して「学習用英英辞典」に革命が起きました。

例文や語法の解説が一変しました。

「コーパス」以前の辞書の例文は、主として学者が作文したもので、文法的には正しくても実際に使われている表現とは乖離している場合も多かったのですが、「コーパス」後はそうした問題がなくなりました。

「コーパス」の膨大な英文データは実際に使われている表現をそのまま収集したものであるために、例文の不自然さが解消されたわけです。

「辞書にはそんな例文があるが実際には使われていないのではないか?」というような懸念がなくなった。

語法の解説も、徹底して客観的なデータに基づいているために、解説者の主観による錯誤が発生する余地がない。

学習用の辞書こそ、「生の英語」を最大限に反映したものだと言えるわけです。

ところが、一般の人たちの辞書に対するイメージはいまだに「コーパス以前」です。

「辞書の例文より雑誌やペーパーバックから自分で選び出した英文の方が自然である」とか「辞書の定義を機械的に覚えるよりコンテキストのなかで意味を理解したほうがいい」とかいう意見はそんな旧態然とした辞書観そのものです。

非ネイティヴで言語の専門家でもない学習者がどうして雑誌やペーパーバックの英文が自然で汎用に堪えると判断できるのですか? 微々たる読書量からどのようにして広範で複雑な語法を十分に習得できるのですか? また、たとえば、標準的な表現と著者独特のひねりをきかせた表現をどうして区別できるのですか? あるいは、意図的に用いられている古い表現を口語だと判断できる力がありますか? 

第一、そんなやりかたで「正確かつ十分な語彙と語法の知識」を身につける時間があるのですか?

私は、そんな?のどれひとつに対しても、明快な返答をしたり、「はい」と答えたりできる自信は皆無です。

熟達のプロがそれこそ膨大なデータを駆使して編集した学習辞書を超える「自然で過不足のない語彙・語法の習得法」を思いつきません。

問題? それは、唯一、根気だけでしょう。

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