« 思い出の語彙(2) | Main | 私が覚えにくかった語彙群(塔以前)―(3) »

現実的な語彙強化(19)

― 静かな闘志の持続 ―

-----------------------------

「学習辞典」の暗記は、他の語彙強化法に比較して、「効率・効果」の面で相対的に、かなり、優れていることはもう明らかでしょう。

① 文脈の中で覚たほうが印象に残って覚えやすい → 学習辞書の方がよく印象に残る

② 覚えても使えないと意味がない → まず覚えないとどうにもならない

③ 辞書など覚えてもすぐ忘れるから意味がない → いずれにしても人間は忘れるから、それを防ぐ工夫が必要

④ Aから順に覚えようとしても絶対挫折する → こういう人は他の方法でも絶対挫折する、挫折しないとしたら挫折するほどの量がないだけのこと

⑤ 好きな分野の単語から覚えたほうがいい → 世の中は自分の好きな分野だけで成立してはいないし、各分野に共通して必要な語彙がだいたい5万語あるという自覚が肝要

⑥ いくら覚えても切りがない → 学習辞典を覚えればそれで充分

⑦ 語源でやったほうが効率的だ → 普通に必要な語源は辞書に全部書いてある、まとめて説明してある辞書もある

⑧ 市販の内外の単語帳の方がやりやすい → 1万語前後までの内容が極めて不完全な語彙で満足ならそれでもOK

⑨ SSS多読法でも語彙強化は可能だしそのほうが楽だ → 効率・必要時間数を計算したら妥当性は消える

⑩ 映画など何か印象的なものを通じての方が印象に残って覚えやすい → いったいどれほどの語彙数を考慮しているのか? そんな方法で覚えられる語彙は取るに足りない数である

⑪ TIMEの英語は斬れる英語だからよい → どこにそんな保証がある? プロ中のプロの凝った英語を自分も適切に使えるのか? いつでも使えるわけではない表現も多い

⑫ TIMEで未知語を見つけて辞書を調べてリストアップして覚えていくほうがいい → いつまでやれるのか? 他方、各語彙が必須の語彙だとどうして判断できるのか?

⑬ 『広辞苑』を暗記するのと同じで不可能である → 広辞苑には普通の知的活動に必要ではない語彙が10数万語収録されている。必要語彙だけを収録した学習辞典とはまったく違う辞書だから比較の対象にならない

⑭ テーマ別の単語帳を作成するほうがよい → どれだけたいへんなことか分かっているか? また、たとえば『Cambridge Advanced Learner's DictionaryのCDROM』 なら ―必要な語彙レヴェルで ― 最も効率よくできるが、それもつまり辞書利用である

⑮ 同意語や反意語をいっしょに覚えたほうがいい → 辞書を使うのが1番

⑯ 英語対日本語では本当の意味はわからない → たいていの場合ほとんど問題にならないが心配なら英英辞典を併用すべし。「英和」も大いに存在価値がある、いや、なくてはならないものだ

⑰ 暗記が苦手だからだめだ → 暗記できるように工夫すべし。そうでないとどんな方法でもダメ

------------------------------------

こうした意見に共通して欠落しているのは(1)「各レヴェルで現実に必要な語彙数」(2)「自分の目標語彙数」(3)「目標達成に必要な時間の計算」です。(1)と(2)と(3)の自覚なしに語彙強化など考えられません。

また、自分が利用したい試してみたい方法は ― 辞書を暗記する過程で ― 全部試行できる。方法ばっかり考えて、あるいはチョビットずつ試してやめてまた次の方法を試していては、いつまでたっても語彙は増えません。

各方法を吟味する場合は、上記の(1)(2)(3)に加えて、その方法を提案している人が実際にその方法で目標を達成した実績があるのかどうか、どれだけの語彙を実際に習得したのか確認する必要があります。ほとんどすべて「ただのアイデア」です。

もうひとつ、単純な語彙リストを数千語覚えるだけなら、最善の方法は一気に覚えること。方法など考えている暇があるならひとつでも単語を覚えたほうが得策。また、根気が必要云々を議論するレヴェルでもありません。好きなやりかたで猛烈にやればいいだけ。時間がない?その程度の時間なら何とでもなるでしょう。

辞書を主たるソースにしつつ、さらに映像や例文や文脈が欲しければ、他の辞書や書籍+オンラインからほしいだけ入手できます。

辞書だけでも、CDROMも利用すれば、あふれるばかりの、しかも入念に精選された情報にアクセスし、思う存分利用することが可能です。ほんとうにフルに利用したことがありますか?

今や学習辞書は旧態依然とした媒体ではありませんよ! 旧世代の考え方を継承してはいませんか?

------------------------------------------------

そして、「学習辞書の暗記」は、静かな闘志を秘めつつ、原則として毎日、「アンチ・バベルの塔」を生活の1部に組み入れて、うまずたゆまずタンタンとわが道を行くことです。それが王道なのです。

-------------------------------------------------

そのかたわらで、自分のできる範囲で、映画や読書を楽しめばいい。

|

« 思い出の語彙(2) | Main | 私が覚えにくかった語彙群(塔以前)―(3) »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/47849/9285193

Listed below are links to weblogs that reference 現実的な語彙強化(19):

« 思い出の語彙(2) | Main | 私が覚えにくかった語彙群(塔以前)―(3) »