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現実的な語彙強化(8)

「アンチ・バベルの塔」の第1歩は目標の辞書をひとつ選択することです。

日本人として最高レヴェルの語彙を獲得するのが目的であれば、たとえば『ニューヴィクトリーアンカー英和辞典』を選べばよい。このレヴェルはネイティヴ・スピーカーの並みのレヴェルでもある。

また、並みのレヴェルというのは充分なレヴェルではないから、ネイティヴ・スピーカーにとっても充分な語彙が欲しい場合は、たとえば「上級学習英英辞典」を選択すればいい。

いずれにしてもどれか1冊の辞書を決めることになる。

これは何を意味するのか?

覚える語彙数を確定することを意味します。

目標の語彙数を確定もせずに語彙強化の議論をするのは無意味です。目標語彙数が決まらなければいつになったら終わるのか計算もできないし、したがって、どれくらいのレヴェルにいつ到達できるのかも分からない。日本人として最高のレヴェルだとかネイティヴスピーカーとしては並みのレヴェルだとかそんなことは知りようがない。

また、目標を掲げて日々努力するのも容易なことではないが、目標のない先の見えない作業を続けるのはそもそも不可能です。それこそいやになるでしょう。到達地点が分かっていたら、計算ができます。1年のつもりが2~3~4年かかるかもしれません。しかし、いつかは終わるときが必ず来ます。目標がなければいつまでたっても切りがありません。

そして、語彙数を定めない語彙学習は不毛なアイデア合戦を生みます。1日にたくさん覚えるより少しずつでも続けるほうがいいとか、語源で覚えるといいとか、まず好きな分野の単語から覚えたらいいとか、分野別に覚えたらいいとか、○○語覚えたら日本人としては充分だとか(これはいったいどういう意味?!)、まるで雲をつかむような話になります。

少しずつ覚えるとしていったい何年あるいは何十年かけるつもりですか?それを自覚していますか?

語源で覚えると言っても百数十年にわたる日本人の英語学習の歴史の中で語源で本格的な語彙強化をした人がいますか? だれもいません。辞書暗記で成功した人は何人もいます。それと同程度の語彙力を語源で達成した人はいません。なぜか? 無理だからです。語源でこじつけをやる暇があればすぐに覚えたほうが早いし、必要な語源の知識は辞書を読めば手に入る。

好きな分野の英語を覚えてそれでどの程度まで覚えられるのか?まったく不十分な水準にしか到達できません。

数万の語彙を分野別に分ける作業がどんなに大変か、辞書暗記の比ではない。意味が重層的に重なり合っている場合も多く、膨大な作業になります。『Cambridge Advanced Learner's Dictionary』 のCDROMを利用すれば数千語の分類は可能でしょう。その程度です。それでもものすごい重なりが生じます。

「○○語覚えたら日本人としては充分」。こんな無意味な目標はありません。ナンセンスです。

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