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現実的な語彙強化(20)

― 暗記について ―

暗記とは何でしょう?

今までも、暗記について、さまざまに議論してきましたが、今回は、黒田龍之助著 『その他の外国語(現代書館)』の記述を引用(省略・太字 k.y.)して参考にしたいと思います。
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・・・多くの人が暗記を嫌います。つらくて面倒くさいからです。暗記は慣れていないとなかなか頭に入ってきません。その過程がすごくイライラします。しまいには投げ出したくなります。何のために頑張って暗記するのか。これが理解できないこともまた不満かもしれません。自分の行動の意味が分からなければ、不安なのは当然です。しかし、その意味は説明して分かるものばかりではありません。そもそも知識とは頭の中にある在庫です。この在庫がある程度まで蓄積されて、はじめていろいろな物事が理解できます。手持ちの駒が少なくては、戦うこともできません。そこでまずは在庫をなるべく増やしてもらいたい。教師はそう考えて暗記を奨励します。外国語でもそうです。基礎語彙1000語と最低限の文法を知らないようでは。お話にならないのです。だからまずはこれをせっせと覚え、頭の中に在庫を作ります。そこからやっと本当の勉強が始まるのです。

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在庫がある程度まで蓄積されて、はじめていろいろな物事が理解できます」 というくだりが印象的です。

私は自分の2人の子供の成長を見ていて実感したのですが、小学校低学年の間は、語彙の増加は、着実ではあるが、そんなに顕著ではありません。文法もまだまだ確かとは言えない。ところが、ある時期から語彙の増加率が急に増える。これは英語のネイティヴ・スピーカーの場合なら 『ハリー・ポッター』などを喜んで読み始める小学校4年生前後のころでしょう。

そのころには、認識語彙は2万語前後に達していて、基本的な文法も身についている(原初的蓄積)。つまり、いろいろな物事を理解できる充分な在庫が蓄積された段階に達しているわけで、その後は意識的・論理的な知識の獲得が加速します。

ネイティヴの子供の場合はその原初的蓄積が無意識のうちに進行するが、外国語を学習する大人の場合それはあり得ない。

それでも、文法や音声は比較的短期間に習得が可能です。

最後まで残る問題は語彙力

もっと端的に言えば、「語彙の暗記」です。

やっぱり、外国語の学習で暗記は避けて通れない。充分な在庫は暗記しなければ蓄積されようがない! 

黒田さんの言葉を再度引用しておきます↓。

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暗記は悪いことではありません。教育には流行り廃りがあり、近年では古い時代に対する反動から、暗記は非生産的でくだらないとされる時代が続いていました。かと思えば反対に、日本語を声に出して読みたいという、自己顕示欲の強い人が急に現れたりします。惑わされてはいけません・・・わたしは暗記が好きでした・・・そのときはわけが分からなくても、あとで必要になることが経験的に理解できるからです。実際、世の中のかなりの部分が暗記からできているような気がします・・・・では、どうやったら暗記ができるのでしょうか。わたしは繰り返すことが最も確実だと考えています・・・特殊な人は一度で覚えられるかもしれません。そういう人こそ「才能がある」んでしょうね。羨ましいことです。でも、残念ながらわたしには才能がなさそうです。だから単語集でも変化表でも、絶えず眺め続けます。夜寝る前はベッドの中で教科書を睨んだりします。同じことを繰り返すのはバカらしいと感じる人がいます・・・ところがわたしはこの繰り返し作業が嫌いではありません。単語集や変化表をずーっと眺めていることができます・・・

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私も、同じことを繰り返すのがまったく気になりません。繰り返すごとに、理解や記憶の度合が高まり、新たな発見があります。覚えた語彙が、ものを読んでいても人の話を聴いていても、あちこちで活躍しているのを実感します。記憶が定着するにつれて各語彙同士の有機的なネットワークも広がります。

だから、同じものを眺めていても、充足感が増すことがあってもいやになることはありません

さて、暗記とは何ぞや?

― 暗記とは、生活の基盤となる知識の蓄積である ―

さらに、その観点からすると ― 現実的な語彙強化とは言語生活の基盤となる5万語超の語彙を暗記することであり、それが何かの事情で不可能な場合でも、5万語超の語彙は普通に必要であることを自覚して各自可能な限りの語彙暗記に努めること ― である。

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