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現実的な語彙強化(9)

前回に、「語彙数を定めない語彙学習は不毛なアイデア合戦を生む」と書きました。

これはもう少し説明しないと誤解をまねくかもしれません。

なぜかというと、「1日にたくさん覚えるより少しずつでも続けるほうがいい」とか、「語源で覚えるといい」とか、「まず好きな分野の単語から覚えたらいい」とか、「分野別に覚えたらいい」とかいうアイデアはそれぞれに有効なアイデアだからです。

たくさん覚えるよりすこしずつやったほうが気楽だし、それを続けることで徐々に語彙も増えていきます。語源も知らないより知っていたほうが得です。語彙暗記がいやだとしても好きな分野の英語なら覚えられるかもしれません。また、バラバラに覚えるより分野別に覚えるほうが印象に残りやすいでしょう。

こうしたアイデアの底流には共通の願いがあります。それは、語彙を覚える苦痛を除去したいという願いです。その願いは、各アイデアには前述したような否定しがたい利点も確かにあるので、ある程度までかないます。「今までとは違って今度は楽に覚えられた!」と感激する人もあります。

共通の願いの他に共通のごまかしもあります。それは、こうしたアイデアのどれひとつとして、到達レヴェルを示していないということです。「これだけ時間をかけたらここまで覚えることができる」という目安を示すことが絶対ないことです。もっと分かりやすく言えば、当座の鎮痛剤に過ぎないということです。

まだ、共通点があります。まことに低レヴェルの目標にしか到達できないという現実です。到達という表現は適切ではない、そこまでは流れていくといったほうがいいかもしれません。だから、いくらでも成功例を示すことができます。歩きなれない人が「1時間歩き続けることができた!」と感激しているようなものです。一般の外国語学習の実態です。

私は、語彙強化とは言えないそんな実態を、「現実的な語彙強化」とは言いたくない。

「現実的な語彙強化」とは、「1時間歩ける」ことではなくて、「現実に英語が分かる語彙強化」だと思う。

「現実的な語彙強化」とは、英語が分かるレヴェルに到達する目標が明確に設定されていて、必要時間が(修正を続けながらも)計算できる語彙強化だと考えている。

あるいは、「1時間歩いているだけだ」ということを意識できる語彙強化だと思う。

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