« 現実的な語彙強化(21) | Main | 学習用英英辞典とネイティヴ用英英辞典(1) »

2重言語生活

私は今年になって数日かけて書斎の大整理を敢行した。

その際に和書と洋書を別々の書棚に並べた。

その整理がすんだ後で書棚を見ると、日本語の本と英語の本がほぼ半分ずつになっている。しょっちゅう本屋に足を運んで、あるいは(アマゾン書店ができてからは)オンラインで、興味の向くままに買い続けてきた日本語の本と英語の本の冊数が半ばしていた。

登録してあるオンラインの新聞や雑誌も和洋拮抗している。

だから、読み物に関する限り、2重言語生活を送ってきたことになる。最近、on Itunes などで聴くプログラムは英語の方が圧倒的に多い。

そんな状況のなかで、5万語超の語彙が必要であることを痛感し、「アンチ・バベルの塔」を建てるに至ったと言える。

2重言語生活をはるかに深く徹底している人たちもいる。徹底せざるを得ない人たちと言ったほうがいいのかもしれない。

東京外国語大学教授・水林章さんもそのひとり。フランスの文学・思想・文化の研究者である。

水林教授は、『季刊 本とコンピュータ 第2期10号』に「二重言語生活」という記事を書いておられる。以下は、その要約(太字・省略 k.y.)である↓

------------------------------

フランス語は、大学に入ったとき(18歳)に初めて接触し、当初は巨大な異物であった。以来、30年を超えるつきあいで、日本語だけを話していた時間より日・仏両語を使っている時間の方がはるかに長くなった。その間、努力を続けるうちに、フランス語に対する距離感が消滅した。伴侶がフランス人で娘は日・仏のバイリングアル。したがって、フランス語は、仕事の言語であるにとどまらず生活の言語でもある。そんな状況下、『「日本」にも「フランス」にも安住し得ない本質的に異邦人的な存在に変容したのではないか・・・いくぶん難民化した人間なのではないかと。ふとそんなふうに思うことがある』

------------------------------

私は、この水林先生の記事を読んで、その哲学的とも言える感慨は別にして、「外国語習得」における学習時間の重要性(いつものことながら)を強く感じた。


まったく、あるいは、少ししか外国語が身につかないとしたら、その最大の原因は「その言語に接している時間数の絶望的な不足」であることは、明らかでしょう。

非常に長期間「2重言語生活」をする必要があるということでしょう。

ところで、私は異邦人にはなりたくない。今のままで、読書を日・英両語で楽しめるだけで、充分である。

先日、妻と2人して、最近買った車の試乗もかねて、姫路城へ花見に行ってきた。「城と桜」を満喫した。「桜の花をただの花とは思えない日本人であること」をほんとうに幸せだと思った。

追記:本文とは異なる話題だが、こんな(http://www.npr.org/templates/story/story.php?storyId=5350362)驚嘆すべき記憶力の持ち主は世界に数人もいないかもしれない。しかし、変人奇人の業でもないし、特定分野に偏った記憶力でもないし、記憶力だけ突出したサヴァンの例でもない。ごく普通の生活をしていながら、何十年にもわたる日常の雑事や社会的な事件などを日・時単位で克明に記憶している。もちろん、ペテンでも奇術でもなんでもない。神経科学の権威が、長期にわたって注意深く観察した結果、真正な記憶力であることを確認している。稀なうえにも稀な事例とはいえ、同じ人間が、精神的にも健常な状態で、決して若くはない年齢で、これほど強力な記憶力を持ち得る事実は人間の底知れない能力を示していて興味が尽きない。

|

« 現実的な語彙強化(21) | Main | 学習用英英辞典とネイティヴ用英英辞典(1) »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/47849/9679465

Listed below are links to weblogs that reference 2重言語生活:

« 現実的な語彙強化(21) | Main | 学習用英英辞典とネイティヴ用英英辞典(1) »