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各自の語彙力について

私が「ネイティヴ・スピーカーの成人の語彙数は4~6万語である」という場合、それはあくまで標準的な成人の語彙数のことで、だれでもそのくらいの語彙を知っているというわけではありません。

「ネイティヴはそんなにほんとうに知っているのか!?」と疑問を呈する方がかなりおられる。

そんな人は日本人の日本語の語彙数を考えてみてください。大学生を例に取ると、その日本語の平均語彙数は5万語前後です。

しかし、誰もが5万語を知っているわけではありません。その幅は2万語から6万語に及びます。2万語に達しない場合もあります。

これは、英語のネイティヴ・スピーカーでもまったく同じです。従って、たまたま知り合いになったネイティヴ・スピーカーの語彙が非常に貧しいとしても、別に不思議な現象ではありません。

ただ、肝心な点は、普通の雑誌や小説やニュースを読んだり聴いたりしてちゃんと理解できるためには5万語ぐらいの語彙が必要だということです。蛇足ながら、普通の読み物やニュースは大多数の人が理解できる語彙レヴェルで書かれています。

他方、そんなものを読んだり聴いたりしない人も珍しくありません。そんな人なら2万語ぐらいの語彙数でもまったく問題はありません。日常生活に困ることはないからです。それ以上の語彙を蓄積する必要もない。

だから、5万語前後というレヴェルは、「誰もが納得する基準」ではなくて、普通のものを読んだり聴いたりして理解できる語彙数です。

見出し語が5~6万語の英和辞典で、和訳がほとんどすべて理解できたら、日本語の語彙もだいたい5~6万語だということです。和訳も頻繁に分からないとしたら、日本語の語彙が普通の水準に達していないということです。

もうひとつ、肝心なことは、語彙力と人間の価値の間に何の関係もないということです。これを誤解すると的外れな議論が始まる可能性があります。

5万語ぐらいの語彙は、日本語であろうと外国語であろうと、普通のものを読んだり聴いたりして理解するのに必要な語彙である」というのは、価値判断とは無関係の、ひとつの事実に過ぎません

各自の語彙力=各自の価値では決してありません。

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