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いつも不思議に思うこと(1)

前にもすこし触れたことがあるのですが、英語の学習に関して、いつも納得がいかないことがあります。

まず、アンケートなどの調査によると、小学校の英語教育に賛成する父兄の比率が70~80%に達するという事実に関してです。

その背景には「自分がしゃべれないからあるいはしゃべれるようになるのに苦労したから子供にはそんな思いをさせたくない」という親の気持ちがあるようです。

これだけ英語学習論が盛んで、留学も盛んで、小学校の英語教育も別に珍しいことではなくて明治時代でさえ実施されていた時期があったし私立の小学校ではもう長いあいだ英語を教えてきている。

さらに、多くの小学生が英語塾や児童英会話教室に通っている。

だから、「世に言われているような形体の国内の早期英語教育の成果がどういうものであるか」周知であってもまったく不思議でもないのに、まるで周知ではない。

成果らしい成果はないに等しい。

そんなことを父兄が知らないとしたら、不思議である。この情報の豊かな時代に、こんなに明らかなことを、万事に聡い父兄が知らないらしいことに納得がいかないのです。

児童英会話教室や英語塾などまったく無縁でも、日本語の本をしっかり読みこなしてきた児童なら、中学校で英語を学びはじめるや否やたちまち児童英会話教室や英語塾経験者の英語レヴェルに追いついてしまうあるいははるかに追い抜いてしまうことが珍しくもない事実を父兄が認識していないらしいことに納得がいかないのです。

さて、なぜ、さしたる成果がないのか

理由は実に明確です。

学習時間の絶対的な不足です。

あの程度の時間数の英語学習ないしは英語のお遊びなら、その程度の成果しかなくて当たり前で、このことは不思議でもなんでもない。

たとえば七田式の早期英語教育が他の児童英語学校などに比較して優れていることがあるとしたら、それは、集中した学習時間の総量をたくみに増やす工夫をしているからでしょう。

他方、母語をしっかり身につけた児童はそうでない児童に比べて英語学習が加速する。そんな子は、ラジオ・テレビ・オンラインその他の学習でどんどん独学で学習を進めることもできる。母語である日本語の豊かな語彙と日本語の文構造を論理的に分析できる能力を備えた子なら、その語彙力と論理的な分析能力を外国語の学習に生かすことができるからです。

英語が苦手な生徒が例外なく有する共通の欠点は、日本語の貧弱な語彙と英語のSVOCを見抜けない非論理性です。

そんなことがなぜ周知でないのか不思議でならないのです。

次に不思議なことは、「日本の伝統的な英語教育はしゃべる聞くにはほとんど役に立たない」という暴論がまことしやかに跋扈していることです。

このことに関しては、次回に触れてみたいと思います。

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語彙強化の前提(5)

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前回に:

ここで、「代表的な語彙強化法(すべて必要時間数は計算不可能)を列挙してみましょう。

1. 文章のなかで覚える。

2. 語源などを利用して覚える。

3. 同意語・反意語をまとめて覚える

4. 関連語をまとめて覚える

上記4つの方法は、いずれも「なるほど」と思わせるものばかりです。関連教材(レヴェル内容ともに不十分)も豊富です。

しかし、これで必要時間数が計算できますか? 

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既に述べたように、1の方法だけでちゃんとした語彙強化ができると考えるのは無謀です。

同様に、2~4の各方法によっても、ちゃんとした語彙強化作業をいつ終えることができるのか見当もつきません。

現に、語源だけで満足な語彙を蓄積できた人はだれもいない。語源を使った方法を薦めているご本人がそんなことをしていない。語源だけでしかるべき意味を確定できる語彙は1部に過ぎないからです。

同意語・反意語だけで必要語彙を網羅できるほど言葉は単純にできていない。

関連語をまとめて覚える方法も、複雑に絡み合った語彙宇宙を整理する作業のたいへんさを考えたら、いや相当程度この方法を試みたことがある人なら、とうてい先の見えない作業であることは容易に察しがつくでしょう。

ここで ― 「ひとつのやりかたが万能だとはだれも思っていない。1~4その他をうまく組み合わせて覚えていくのだ」 ― と反論される方が大勢おられると思います。

いや、ほとんどの方がそういうふうに思っておられるでしょう。

ところが、1~4その他をミックスして各自に語彙を整理して覚えていこうとしても、やっぱり必要時間数を計算できないことに変わりはないのです。まったくできません。

いつ終わるのか検討もつかない!

そこで、自分で整理するのがいやなら、洋書には、それぞれの方法にぴったりの書籍・辞典類も豊富にあります。語源に関しても、日本で出版されているようなものとまるで違って、本格的なものが何冊も出版されています。関連語に関しても多種多様な書物があり、その代表的なもののひとつが『Random House Word Menu』 という浩瀚(こうかん)な辞書です。

分野別の辞書や語彙集は、周知のように、英和でもいろいろ出版されていますし、洋書では、芸術・スポーツ・映画なども含めて各分野に不足はありません。

そんな紙やオンラインの文献をぜひご覧になってください。「学習辞書」を覚えるどころではない作業であることがよくわかるはずです。

他方、1~4のような方法をさかんに主張される人は、意識無意識は問わずに、目標語彙数を数千~せいぜい1万までに設定しているのではないかと思うこともあります。

しかし、みなさん、その程度の語彙なら中途半端な工夫を凝らしているひまがあるならがむしゃらに覚えたほうがダントツに速く覚えられますぞ

そして、最後に、否定しがたい事実があります。

どんな方法で語彙強化を図っても、辞書なしに済ませることは不可能だという事実です。

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語彙強化の前提(4)

このシリーズの初回に、

― 語彙強化を実行する際に、①目標語彙数(自分はいくつの語彙を覚えるのか?)と②目標達成に要する時間数をちゃんと意識しておくことが大事です。

①は容易に決めることができます。その際に、「英検○級単語集」とか「TOEIC○点単語集」とかいうような他人(=教材マーケット)が決めた基準ではなくて、ネイティヴの「小学低学年レヴェル、小学高学年レヴェル、中学生レヴェル、高校生レヴェル、大学生レヴェル、標準的な社会人のレヴェル、高度な知的活動が可能なレヴェル」というような基準に沿って目標語彙数を定めることがポイントです。

②も自分なりに計算できますが、これは計算どおりには決していかないでしょう。計画の2~数倍かかるのは常態です。しかし、これだけの時間やれば何年何月には終了するという意識は常に持っておかねばなりません。時間無視のボキャビルは実はボキャビルではない ―

と書きました。

そして前々回と前回は①を設定するための現実的な基準について書いてきました。

今回は②について考えてみます。

まず現実的な基準に沿った目標語彙数を設定し、次に、その目標達成に要する時間数をちゃんと確認しておくことが大事です。

そのためには、必要時間数が計算できる「語彙強化法」を採用することが必要です。

ここで、「代表的な語彙強化法(すべて必要時間数は計算不可能)を列挙してみましょう。

1. 文章のなかで覚える。

2. 語源などを利用して覚える。

3. 同意語・反意語をまとめて覚える

4. 関連語をまとめて覚える

上記4つの方法は、いずれも「なるほど」と思わせるものばかりです。関連教材(レヴェル内容ともに不十分)も豊富です。

しかし、これで必要時間数が計算できますか? 

ちゃんとした語彙強化(=幼児並みではなく少なくとも小学生以上の語彙目標)とは、5000~1万語のロットで語彙を増やしていくことだということを念頭において考えてください。

まず、1の方法を検討してみましょう。

たとえば、ネイティヴ・スピーカーのビジネスマンは、年間に、およそ100万語の記事を読んで1000語の語彙を新たに獲得している、それくらいのペースで語彙強化をしているという調査があります。ペーパーバックに換算すると10冊前後の読書で1000語。

ちゃんとしたネイティヴ(既に5~10万語ぐらい語彙力がある人たち)でさえこの程度です。

非ネイティヴ・スピーカーの読書練習による新語獲得率は、精度は度外視しても、そんな教養あるネイティヴ・スピーカーの読書とは比較にならない低さです。

だから、語彙が制限された読書練習だけで有意義な語彙強化は無理です。現に、そんな人はいません

必要時間数の計算どころではありません

追記: 私はSSS多読法の価値を否定しているのでは決してありません。それどころか、英文に慣れるための基礎訓練としてすばらしいプロジェクトだと思っています。

ただし、それは、真の読書にはほど遠い。あくまで導入部です。生涯続けるのではなく、いつかは卒業して大人の読書を楽しみたい。また、今回述べたように、ちゃんとした語彙強化のツールにはとうていならない。

SSS多読法は、ちゃんとした語彙強化と平行して実践してこそ、真価をはっきするのだと思います。


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語彙強化の前提(3)

現実的な目標を立てるという話をしています。

周囲の幼稚園児や小学生や中高生や大人を観察したらどんな人がどんな言語活動をしているのかよく分かります。語彙力が透けてみえます。

だから、それぞれの人たちが読むあるいは読まない本や雑誌の種類も想像できます。

英語の場合もまったく同じだと思えばいい。

自分自身の言語活動を観察するのもおもしろい。

たとえば、京極夏彦著 『鉄鼠の檻(てっそのおり)』 なんかを夢中になって読む一方で、SSS多読法を実行して5000語レヴェルの非ネイティヴ・スピーカーや子供向けに加工された洋書を読んでいるとする。

そんな人の日本語の語彙力と英語の語彙力は天地の差がある。

私であれば、とても我慢できない差がある。活字ほど露骨に語彙力の強化を迫るものはない。資格試験などで成功を収めてもこの不満を解消することにはとうていならない。

だから、洋書店へ行ってペーパーバックをパラパラと読んでみればいい。

SSS多読法コーナーではない。普通のネイティヴ・スピーカーが読む本の売り場へ行く。

ネイティブ・スピーカーが読む絵本・児童書・大人の読み物・雑誌・マンガを読んでみる。

そのどれを読みたいのかを自分に聞きただす。絵本でもいい。児童書でもいい。クールな雑誌でもいい。本物に触れて、自分で選ぶ

大杉正明先生が若いときに懸命に読んだ本(http://allabout.co.jp/study/english/closeup/CU20040421A/index2.htm) ↓ 

Lady Chatterley's Lover (チャタレー夫人の恋人) D.H. Lawrence (D.H.ロレンス)

The Catcher in the Rye (キャッチャー・イン・ザ・ライ) J.D. Salinger (J.D.サリンジャー)

Death of a Salesman (セールスマンの死) Arthur Miller (アーサー・ミラー)

The Glass Menagerie (ガラスの動物園) Tennessee Williams (テネシー・ウィリアムズ)

不自然に加工されたあるいは子供用の洋書ではありません

現実の生の英語に対峙したら、それを基準にしたら、加工品はやっぱり本物じゃないと思うようになる

やがて、私は、「アンチ・バベルの塔」しかないと悟るようになったわけです。

大杉先生が「自分用の辞書」を作ってせっせと覚えているといううわさもあります。真偽のほどはわかりません。しかし、何かそうした工夫をなさっていることは想像に難くない。

Happy learning !



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語彙強化の前提(2)

前回に:

― 分かりにくければ、日本語の「小学低学年レヴェル、小学高学年レヴェル、中学生レヴェル、高校生レヴェル、大学生レヴェル、標準的な社会人のレヴェル、高度な知的活動が可能なレヴェル」を考えてみて、自分や周囲の人たち、小説家、言論人、その他の人たちの言語活動を観察したら、具体的なイメージがわくでしょう。

また、小学生でも、3年生ぐらいからたとえばハリーポッターを楽しんで読むことができるし、上級生なら大人の小説を読む子もいます。

そんな現実のレヴェルを基準にするべきです ―

と、書きました。

これに関連して、「ネイティヴ・スピーカーなのに 『ハリーポッター』 にあちこちわからない単語があると言ってましたよ」とか、「友達のネイティヴスピーカーはほんとうに単語を知りませんよ」とか言う人がいます。

しかしそんなことはどこにでもあることです。自分の周囲を観察してみれば一目瞭然でしょう。小学生程度の語彙しかない、つまり、日本語の新聞もまともに読めない大学生は珍しくなくなっていますし、数十語の語彙だけで暮らしている人もいますし、本などまったく読まない人だって少なくない。

だから、ピンからキリまであって、実に様々なのです。各人各様なのです。

また、TOEIC最高得点でも 『リーダーズ・ダイジェスト』 を読めない人はいくらでもいます。英検1級でも読めない本や雑誌はいくらでもあります。語彙力がどうしようもなく低いからです。

肝心なのは自分で決めることでしょう。

今 『ハリーポッター』 が読めないとして、それが楽に読めるようになりたいとしたら、小学生並みの語彙力を目標にすればいい。

『リーダーズ・ダイジェスト』をスラスラ読めるようになりたいなら、中高生並みの語彙力を目標にすればよい。たとえば 『ニューヴィクトリーアンカー英和辞典』を覚えたらいい。

まず、洋書店へ足を運んでパーパーバックをめくってどの辺まで読めるのか確かめたらいい。

資格試験や留学の学歴などは、曖昧模糊として現実感がない。幻想に包まれている。

ペーパーバックや雑誌という現実を基準にするほうがはるかにわかりやすいし、自分の語彙力を痛感できる

全部日本語と同じように読めるのなら「いわゆるボキャビル」は不要です。

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語彙強化の前提(1)

語彙強化を実行する際に、①目標語彙数(自分はいくつの語彙を覚えるのか?)と②目標達成に要する時間数をちゃんと意識しておくことが大事です。

①は容易に決めることができます。その際に、「英検○級単語集」とか「TOEIC○点単語集」とかいうような他人(=教材マーケット)が決めた基準ではなくて、ネイティヴの「小学低学年レヴェル、小学高学年レヴェル、中学生レヴェル、高校生レヴェル、大学生レヴェル、標準的な社会人のレヴェル、高度な知的活動が可能なレヴェル」というような基準に沿って目標語彙数を定めることがポイントです。

分かりにくければ、日本語の「小学低学年レヴェル、小学高学年レヴェル、中学生レヴェル、高校生レヴェル、大学生レヴェル、標準的な社会人のレヴェル、高度な知的活動が可能なレヴェル」を考えてみて、自分や周囲の人たち、小説家、言論人、その他の人たちの言語活動を観察したら、具体的なイメージがわくでしょう。

また、小学生でも、3年生ぐらいからたとえばハリーポッターを楽しんで読むことができるし、上級生なら大人の小説を読む子もいます。

そんな現実のレヴェルを基準にするべきです。

②も自分なりに計算できますが、これは計算どおりには決していかないでしょう。計画の2~数倍かかるのは常態です。しかし、これだけの時間やれば何年何月には終了するという意識は常に持っておかねばなりません。時間無視のボキャビルは実はボキャビルではない

語彙強化は、芸術などとは異なり、必ず終わらせないと意味がないからです。

換言すれば、永遠にやる必要はない作業です。「上級学習英英辞典」にある語彙以上の語彙は(いわゆるボキャビルの対象にする)必要がないからです。

ネイティヴ・スピーカーでもそれ以上の語彙を習得していない(高度な語彙パズルの語彙や専門語彙などは除く)。

「上級学習英英辞典」以上の語彙は、必要に応じて、それこそ(学習辞典ではない普通の)辞書を引いて確かめたらいいわけです。

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「アンチ・バベルの塔」による段階的ボキャビル(2)

段階別に利用する辞書を検討します。

Cの段階までは、まず、英和辞典で説明します。

英英辞典を使いづらい人でも、「アンチ・バベルの塔」あるいはその他の「辞書に基づく語彙強化」の参考にできるようにしたいからです(Dの段階は英英辞典に統一します)。

英英辞典の検討は英和辞典の検討が済んだ後に行う予定です。

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最初に: Aの段階で利用する辞書を紹介します(既出の記事と内容が重なることが多い旨了解されたし)。

A: だれでもできる段階です。中学生用の辞書を使います。ページ数は741ページです。これでやめてしまっても日常会話などは充分にこなせます。

辞書名: 『ジュニア・アンカー英和辞典(学研) 』

総ページ数816ページ

語彙記述ページ数741ページ

総語彙数: 1万2800の単語・イディオム(見出し語 約7900 派生・変化形 約3500  イディオム約1400)
           
編者の羽鳥博愛先生が書かれた「はしがき」の冒頭部分を引用しておきます(太字・省略k.y.) ↓

(引用開始) 英語の学習では辞書を引くことはとてもたいせつです。昔から、辞書を引けば引くほど英語は上達すると言われています。ところが、近ごろは、辞書を引かない人が多くなってきました。それは、会話が重んじられれるので、文字のことは気にしないですませてしまったり、また、マンガやテレビを見ることが多いので辞書で小さな文字を読むのは苦手という人もいるからでしょう。しかし、ほんとうに英語力をつけるには、ちゃんとした辞書を引いて、意味を調べたり、例文を見たりすることがどうしても必要なのです。それで、私たちはジュニア・アンカーを作りました・・・ (引用終止)

「アンチ・バベルの塔」を築くにあたってほとんど抵抗のない辞書でしょう。

それこそ気楽にアクセスできます。既知の語彙もいっぱいあるから、この741ページは決して重荷には感じないはずです。

こんなに親しみやすい辞書で「ダメだ!」と嘆じるなら、語彙強化などさっさとあきらめたほうがいい(気に障ったら無視されたし。人の能力は本人であっても他人であっても計りがたいものだから、これは多分に冗談です)。

内容もしっかりしていて、知的刺激もある。市販の軽便な単語帳など比較にならない充実ぶりである。説明が行き届いていて例文も多い。文法の記述も随所にあってわかりやすい。語源や語彙にまつわるエピソードもあちこちに添えられていて読むのがおもしろい。ぜひ、お勧めしたい。

そして、この辞書を、まず1冊、覚えましょう新たな境地が開けること請け合いです。

ほとんど知っているから2~3ヶ月もあれば完了できる? けっこうじゃないですか、ぜひ実行してください。最初から5~6万語の辞書に挑戦する人はほぼ例外なく沈没しますがこの辞書なら大丈夫です。

2~3年かけても十二分に価値ありですよ。

中学生用だといってゆめゆめバカにしたりしないこと!音声・例文その他を含めてマスターすれば、英検1級の作文・面接を確実にパスできるレヴェルです。

以上―辞書名も含め―あくまで参考例ですから、すべて独自に判断してください。

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学習時間数の重要性

英語の実力を左右するのは何か?

それは、これ以上なく簡単にいえば、「勉強にかけた時間」でしょう。

もちろん、だらだらやった時間ではありません。集中してやった時間数です。

すごい人は、どれぐらい勉強しているのか?

(株)アミックインターナショナルを主催なさっている方は ― 私が英語の勉強を始めた中学生の頃は、とにかく工夫して、どうにか効率よく単語を覚えようと、いろいろ試してみました。まず、芯の見えるボールペンを用意し、
最初のインクの位置にシールなどで印をつけておきます。そして、夏休みなどは、1日7時間くらい英単語を覚えるために、ひたすら紙に単語を書き続けました。ボールペンのインクは目に見えては減っていかないのですが、さすがに1日6、7時間くらい書き続けていると、若干は減ります。(手はかなりしびれます!)そこで、次からは、インクがこのくらい減るまでがんばろうというボールペンのインクの位置にシールなどで印をつけて、インクがその位置まで減るまで、ひたすらがんばりました。もう、がむしゃらに、力ずくで覚えるという感じでした
(http://blog.livedoor.jp/satomichan1/archives/27191051.htmlより、引用。太字 k.y.) ― と述べておられる。

この方のように、知力豊かで体力無双の人が時間をかけて勉強すると普通に「楽しく効率よくやろうなどと算段してやっている人」などはとても太刀打ちできない。しかも、最初はがむしゃらで力ずくだけでやっていても、そのうち必ず合理的な方法を開発される。

がむしゃらに合理的な方法がプラスされることになって稀有な馬力がますます威力を発揮する。

それでも、究極のポイントは時間数

これに勝てる武器はない。

ところが、ほとんど議論されないのが、この時間数!

商業的には避けたい話でしょうが、無視してはならない観点です。

追記: 本文と直接の関連はないですが、ここ(http://www.eigo-eikaiwa.com/index.html)も参考になりますね。

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「アンチ・バベルの塔」による段階的ボキャビル(1)

「アンチ・バベルの塔」は、日本語の読書と同様に英語の読書を楽しむための語彙強化法です。

「アンチ・バベルの塔」は極めて個性豊かな(=完全にカスタムメイドの)語彙強化ツールです。

なぜなら、各人が各自の未知の単語・表現(以下「未知語彙」という)を各自の記述方法でリストアップして最終的に暗記するためのツールだからです。

完全に自作のツールで、お仕着せの市販の語彙強化ツールの対極にあるものです。

だから、各自にとって最も無駄のない最高に効率的なツールです。

しかも、未知語彙を検索する情報源が比較相対的に最高の質を誇る学習辞典ですから、誤ったことや無駄なことを覚えてしまう確率を最低限に抑えることができます。

難点は時間がかかることですが、それにしても、辞書を覚えること以上に効率的なボキャビル法は他にありません(とにかく私は知りません。他に実例 [単なるアイデアではない !!] があればぜひ教えてください)。

どんな語彙をどれだけの数マスターしたらいいのかという懸念をまったく持つ必要がないために最高の効率でボキャビルを進めることができるわけです。

詳細についてはこのブログをすべてお読みください。

やっぱり膨大な時間がかかるじゃないか!!」と思う方は、他の方法で同じことをやろうとすればどれくらいの時間が必要か、しっかり・具体的に計算してみてください。生涯かかっても不可能であることがはっきりわかるはずです。

「アンチ・バベルの塔」なら、覚えるべき語彙数は有限だし、利用する辞書のページ数も限られていますから、必要日数が楽に計算できます。その必要な時間数は、あなた自身の事情に左右されますから、ぜひ自分なりに計算してみてください。

あなたは、1日にあるいは1週間にどれくらいの時間が使えますか?

さて、「アンチ・バベルの塔」は主に2つの作業から成り立っています。

①未知語彙リストの作成と、その②未知語彙リストの語彙暗記、の2つです。

私は①と②をほぼ同時並行的に行いましたが、自由時間がたっぷりある学生や充分な時間が融通できる人やまたはヒマをもてあましている人意外は、①と②を同時に行うことは至難のわざだろうと思います。挫折の大きな原因のひとつになるかもしれません。現実にそうなってしまった人もいます。

だから、通常は、①と②をわけて実行するほうが無難でしょう。

さらに、もうひとつ提案があります。

それは、次の4段階(A,B,C,D)に分けて、①と②を繰り返し、最終的には上級学習英英辞典の語彙をすべてマスターするという作戦です。ページ数は参考例です。

A: だれでもできる段階です。中学生用の辞書を使います。ページ数は741ページです。これでやめてしまっても日常会話などは充分にこなせます。

B: 大学受験レヴェルを再度確認したい人の段階。Aの段階では欠落する大学合格レヴェルの語彙をすべて含みます。Aを終えた人ならまったく困難な作業ではないはずです。ページ数は890ページです。

C: 知的なネイティヴの数分の1の語彙力で、しかし、『Reader's Digest』 などはすらすら読める段階ページ数は、1663ページです。

この段階で終了しても、非ネイティヴ・スピーカーとしては、稀有な高さのレヴェル。もはや若くない人などはこれを最終目標にしてもOKでしょう。

D: 上級学習英英辞典の段階。専門語彙などは別にして、これ以上覚える必要はありません。一般的な読み物に関する限り日本語と同様に楽しむことができるレヴェルです。ページ数は1514ページです。

次回から、各段階に利用する辞書を ― ひとつの参考例に過ぎませんが ― 紹介していきます。

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英語通訳の極道

英語通訳の極道 http://www.enpitu.ne.jp/usr1/bin/day?id=14632&pg=20030415 」を書いておられる方は現役(2003年当時)の通訳者です。

「市販の楽しい英語学習論」とはひと味もふた味も違う英語習得論・訓練法が展開されています。

といっても、苦しい学習法ではありません。「市販の楽しい」英語習得法ではないということです。

独自の効果的な学習法であるなら、それは楽しい学習法といえます。常に楽しいはずはありませんが、たっぷり充実感があるという意味で楽しいわけです。

英語通訳の極道」には、そんな充実した、たとえ高いレヴェルであっても利用できる(市販の楽しい学習法は低レヴェルで頭打ちになる。それに気づかないで同じやり方を生涯繰り返す人が驚くほど多い!)訓練法を独自に開発・実行するためのヒントがいっぱい詰まっています。

たとえば: http://www.enpitu.ne.jp/usr1/bin/day?id=14632&pg=20030415

アメリカに留学したばかりの頃、毎日100回近くも辞書を引いていた。

英語ではない。国語辞典である。日本の友人達にも毎日何通と手紙を書いていた。

というのも、留学した先達の本などを読んで、帰国後日本語能力の低下に悩む姿を知っていたからだ。

英語も完璧でないのに、日本語まで怪しくなると、思考する言語がなくなる。思考は言語であり、言語能力が低ければ、思考レベルも自ずから低くなる。

あるいは: http://www.enpitu.ne.jp/usr1/bin/day?id=14632&pg=20030509

日本で中学生や高校生に作文を書かせると、論理が不明瞭で幼稚な文章しか書けない生徒はたくさんいる。彼らは日本語ネイティブである。しかし、日本語運用能力という点で、平均的高校生はまだ半人前なのだ。

外国企業が従業員のために日本語・日本社会を勉強するためのコースを設けたとして、日本の高校生を連れてきても講師は務まらないだろう。しっかりしたプロを雇わないと正しい日本語の話し方や文章の書き方は学べない。

ネイティブであるということと、知的・論理的に言語を運用できるということは、必ずしも一致しないのだ。

英語は絶対勉強するな! http://www.enpitu.ne.jp/usr1/bin/day?id=14632&pg=20030413 」も必読です。

いや、全部お読みになることをお勧めします。

真実が語られているからです。

Happy learning !

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『大聖堂』の原文(英文)と翻訳と語彙 (3)

Ken Follett の大作 『The Pillars of the Earth - 大聖堂』 に関する話を続けます。(矢)=矢野浩三郎氏の翻訳・訳語。

無実なのに謀略の犠牲になった青年は哀感ただよう歌を、末期の歌を、美声にのせて歌います。彼は吟遊詩人のような人でしたから、詞を奏でるのはいわば生活の1部だった。

その歌も終わって、いよいよ死刑の執行です。州長官は、執行吏にうなずいて、刑の執行を促します。

原文: When the song ended the sheriff looked at the bailiff and nodded. The bailiff shouted “Hup!” and lashed the ox’s flank with a length of rope. The carter cracked his whip at the same time. The ox stepped forward, the prisoner standing in the cart staggered, the ox pulled the cart away, and the prisoner dropped into midair. The rope straightened and the thief’s neck broke with a snap.

(矢): 歌が終わり、州長官は執行吏を見やって、うなずいた。執行吏が「それっ!」と一声、手にした綱で牛の脇腹わきばらを打った。同時に、牛車引きが鞭むちを鳴らす。牛が歩き出し、車上の罪人がよろける。牛はそのまま車を曳ひいて進み、罪人は宙に放ほうり出された。縄がぴんと張りつめ、罪人の首の骨が折れる音がした。

例によって、原文・訳文ともに手練(てだれ)の業であって、凡庸とは程遠い。だから、夢中で速読するのも楽しいし、こうして精読するのも乙なもの。

各語彙や句読点が“Hup!” から死刑囚の死に至る4次元のプロセスをみごとに演出する、匠の精緻な仕事を存分に鑑賞することができる。

こんなふうに語彙を使いたい、ことばを操りたいと思う。

ふつふつと希望がわいてくる。

そんな充実感の背景には、長年の語彙蓄積がある。

英文を読むこと(多読+精読+リズム重視の音読)と平行してたゆまず続けてきた音声を伴う語彙強化がある。

妥協せずに、「アンチ・バベルの塔」を完成させたおかげである。

他愛もない自画自賛を嗤(わら)わば嗤え! 

しかし、あなたは何か著効のある学習法を実践していますか? 実績のないただの「優雅なアイデア」を買い続けていませんか? 市販のアイデアの追っかけを演じていませんか?

自分の方法を持っていますか?

ルービックキューブの世界王者になった林祐樹君は、キューブをいじくりまわしてひたすら色のパターンを覚えたそうです。パターンが分かると手が勝手に動き出すので、次のステップを常に考えながら回し続ける。そうするとスピードも上がるそうです。手指と頭脳が一体化した、感覚的で瞬時のアクションの連続だと述べています。

林君は、そんなルービックキューブの訓練を、「英単語を覚えるような暗記方法とは違う」と表現しています。

しかし、私の「アンチ・バベルの塔」は「林君のいう英単語の暗記法」ではありません。そんな方法では辞書暗記などできないでしょう。必ず挫折すると思います。

辞書をいじくりまわしてひたすら語彙の意味・パターンを覚える訓練です。そこで覚えたことは、同時に実行する(楽しむ)読書によって ― 自分なりにというどうしようもない限界(林君は神々しい!)はありますが ― さらに磨かれ強力になります。

「アンチ・バベルの塔」は「わが心の内なる大聖堂」でもあるのです。

追記:本文とは無関係ですが、http://www.youtube.com/watch?v=U-aryrGhpQE などもおもしろい。


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『大聖堂』の原文(英文)と翻訳と語彙 (2)

Ken Follett の大作 『The Pillars of the Earth - 大聖堂』 に関する話を続けます。(矢)=矢野浩三郎氏の翻訳・訳語。

これから始まろうとしている絞首刑。処刑されるのはまだ若い男(実は無罪だが司祭たちの謀略の犠牲者).。

その公開処刑を近在の住民がこぞって見物にやってきます。物語の冒頭 - 「プロローグ」の場面です。

今回は、処刑場に登場する、いかにも中世らしい人たちをとりあげます。(数種の辞書から転記する各語彙の意味は、多義語の場合、物語の場面に即したものに限る。斜字・太字はたいていk.y.)。

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1 the sheriff 州長官 (矢)

《英》 州シェリフ《county (すなわち shire) の執政長官; 昔は国王の代理として種々の権限をもった; 今は正式には High Sheriff と呼び, 任期 1 年の名誉職; 州長官代理 (undersheriff) のほか数名の(法の)執行吏 (bailiffs) を監督して諸種の行政・司法事務を司る (新英和大辞典)

(often High Sheriff) (in England and Wales) an officer representing the king or queen in counties, and some cities, who performs some legal duties and attends ceremonies (OALD)

2 the shriff's bailiff  執行吏 (矢)

3 a knight 騎士 (矢)

(中世の封建君主に仕えた)騎馬の武士, 騎士. ★通例貴族の子弟が封建君主に仕えて騎士の訓練を受け, page から squire を経て後 accolade の儀式でこの位に叙せられた.(新英和大辞典)

(in the Middle Ages) a man of high social rank who had a duty to fight for his king. Knights are often shown in pictures riding horses and wearing armour(OALD)

4 a priest  司祭 (矢)

《カトリック・英国教系・東方正教会の》司祭 .(新英和大辞典)

a person who is qualified to perform religious duties and ceremonies in the Roman Catholic, Anglican and Orthodox Churches (OALD)

5 a monk 修道僧 (矢)

修道士《修道誓願を立て俗生活を捨てて修道院内に生活するキリスト教修道会の男子; cf. friar》.(新英和大辞典)

a member of a religious group of men who often live apart from other people in a monastery and who do not marry or have personal possessions(OALD)

6 two men-at-arms  兵卒 (矢)

単数形は a man-at-arms

《古》 (兵士), (特に)重騎兵.(新英和大辞典)

old use a soldier(LDCE)

7 the butchers 肉屋 (矢)

8 two leather tanners 2人の皮鞣(なめし) (矢)

9 two smiths 2人の鍛冶屋(かじや) 

10 the cutler 刃物師 (矢)

old-fashioned someone who makes or sells cutlery (LDCE)

11 the fletcher 矢羽師(やばねし) (矢)

《古》 矢製造人, 矢羽職人(新英和大辞典)

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登場人物に the を付してあるのは、当地でひとりしかいないあるいはその職種で代表的な存在ということでしょう。
 

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『大聖堂』の原文(英文)と翻訳と語彙 (1)

だれでもそうだと思いますが、おもしろい小説を夢中で読んでいるときは、物語自体に没頭していちいち作中の語彙や表現に拘泥することはありません。

そして、そんな拘泥なしに読書を楽しめる背景には、充分な語彙力があります。

「アンチ・バベルの塔」で一応の完成をみた語彙力は、もはやあまり意識することはありませんが、英語で読書を満喫するためのなくてはならない武器になっています。「塔後の悦び」であります!

私は、先日、Ken Follet のほぼ1000ページの大作 『The Pillars Of The Earth』 を読み終えました。あまりに面白くて1週間ぐらいで読んでしまいました。12世紀のイングランドの大聖堂建築をめぐる物語です。

名作を読んだ余韻まださめやらず、今日は本屋に出向いてその翻訳 『大聖堂(3分冊)』 まで買ってしまいました。日本語の「語彙選択・訳文」の上手(うま)さに脱帽したからです。

翻訳者は矢野浩三郎氏。私は寡聞にしてこの優れた翻訳者(故人)を存じ上げませんでした。翻訳とはかくもすばらしいものかということを知らしめてくれる稀有な方の1人だと思います。

たとえば、次のような具合です。物語の冒頭、公開の絞首刑を見に出てきた近在のいたずら坊主たちを描写した一節です。

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原文: The boys despised everything their elders valued. They scorned beauty and mocked goodness. They would hoot with laughter at the sight of a cripple, and if they saw a wounded animal they would stone it to death. They boasted of injuries and wore their scars with pride, and they reserved their special admiration for mutilation: a boy with a finger missing could be their king. They loved violence; they would run miles to see bloodshed; and they never missed a hanging.

翻訳文: 小童(こわっぱ)たちはおとなの尊ぶものを軽蔑する。美しいものを小莫迦(こばか)にし、善なるものをあざ嗤(わら)う。弱者と見れば嘲笑し、傷ついた動物には石を投げつけ、殺す。怪我をじまんし、傷痕をこれみよがしに誇る。肉体を傷つけることをことのほか賛仰しているから、指を一本でも失った子供はガキ大将になれる。暴力沙汰(ざた)が好きで、血なまぐさいものを見るためなら、どんな遠くまででも駆けつける。まして、絞首刑を見逃すはずはない。

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翻訳文も独立した味わいがあります。見事です。

さて、英語の勉強もしておきましょう。上記の文章は「軽蔑する」という意味を持つ語彙を覚える格好の場を提供してくれています。

原文・翻訳文ともに、同じ語彙を繰り返さないという原則を、さりげなくしかし巧みに守っています。

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・ despise
scorn
mock
hoot with laughter

hoot の動詞の場合の意味・用例を 『Longman Dictionary of Contemporary English』 から転記しておきます(今回は3の意味ですね)↓。

1 [intransitive and transitive] if a vehicle or ship hoots, it makes a loud clear noise as a warning
hoot at

The car behind was hooting at me.

2 [intransitive] if an owl hoots, it makes a long 'oo' sound

3 [intransitive and transitive] to laugh loudly because you think something is funny or stupid

hoot with laughter/glee/mirth etc

He had the audience hooting with laughter.

ちなみに、この hoot の語源について、 『Oxford Advanced Learner's Dictionary』 には、「中世英語 (軽蔑の声を出す意) おそらく擬声語」という趣旨の記述があります。

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その他の部分も実に参考になる筆はこびです。

私はこの一節を全部暗記しました


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もにもに さんへ。

もにもに さん、こんにちは。

おかげさまですこぶる元気に過ごしています。

4月はじめに「アンチ・バベルの塔」を完成させた後、今は「ポスト・アンチバベルの塔」を模索しているところです。

仕事や読書の量を増やしつつも(昨日Ken Follett著 『The Pillars Of The Earth』を読了しました!)まだ塔後の新たな生活パターンを確立するにいたっていません。

したがって更新するつもりはあるのですが、ついつい他のことに注意が向いてプログはご無沙汰になっています。

しかし、また必ず戻ってきますのでよろしくお願いします。

まずは大学受験頑張ってください!

Thank you.

k.y.

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