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語彙強化の前提(4)

このシリーズの初回に、

― 語彙強化を実行する際に、①目標語彙数(自分はいくつの語彙を覚えるのか?)と②目標達成に要する時間数をちゃんと意識しておくことが大事です。

①は容易に決めることができます。その際に、「英検○級単語集」とか「TOEIC○点単語集」とかいうような他人(=教材マーケット)が決めた基準ではなくて、ネイティヴの「小学低学年レヴェル、小学高学年レヴェル、中学生レヴェル、高校生レヴェル、大学生レヴェル、標準的な社会人のレヴェル、高度な知的活動が可能なレヴェル」というような基準に沿って目標語彙数を定めることがポイントです。

②も自分なりに計算できますが、これは計算どおりには決していかないでしょう。計画の2~数倍かかるのは常態です。しかし、これだけの時間やれば何年何月には終了するという意識は常に持っておかねばなりません。時間無視のボキャビルは実はボキャビルではない ―

と書きました。

そして前々回と前回は①を設定するための現実的な基準について書いてきました。

今回は②について考えてみます。

まず現実的な基準に沿った目標語彙数を設定し、次に、その目標達成に要する時間数をちゃんと確認しておくことが大事です。

そのためには、必要時間数が計算できる「語彙強化法」を採用することが必要です。

ここで、「代表的な語彙強化法(すべて必要時間数は計算不可能)を列挙してみましょう。

1. 文章のなかで覚える。

2. 語源などを利用して覚える。

3. 同意語・反意語をまとめて覚える

4. 関連語をまとめて覚える

上記4つの方法は、いずれも「なるほど」と思わせるものばかりです。関連教材(レヴェル内容ともに不十分)も豊富です。

しかし、これで必要時間数が計算できますか? 

ちゃんとした語彙強化(=幼児並みではなく少なくとも小学生以上の語彙目標)とは、5000~1万語のロットで語彙を増やしていくことだということを念頭において考えてください。

まず、1の方法を検討してみましょう。

たとえば、ネイティヴ・スピーカーのビジネスマンは、年間に、およそ100万語の記事を読んで1000語の語彙を新たに獲得している、それくらいのペースで語彙強化をしているという調査があります。ペーパーバックに換算すると10冊前後の読書で1000語。

ちゃんとしたネイティヴ(既に5~10万語ぐらい語彙力がある人たち)でさえこの程度です。

非ネイティヴ・スピーカーの読書練習による新語獲得率は、精度は度外視しても、そんな教養あるネイティヴ・スピーカーの読書とは比較にならない低さです。

だから、語彙が制限された読書練習だけで有意義な語彙強化は無理です。現に、そんな人はいません

必要時間数の計算どころではありません

追記: 私はSSS多読法の価値を否定しているのでは決してありません。それどころか、英文に慣れるための基礎訓練としてすばらしいプロジェクトだと思っています。

ただし、それは、真の読書にはほど遠い。あくまで導入部です。生涯続けるのではなく、いつかは卒業して大人の読書を楽しみたい。また、今回述べたように、ちゃんとした語彙強化のツールにはとうていならない。

SSS多読法は、ちゃんとした語彙強化と平行して実践してこそ、真価をはっきするのだと思います。


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