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「アンチ・バベルの塔」による段階的ボキャビル(3)

前回は、Aの段階で利用する辞書を紹介しました。

今回は、Bの段階で利用する辞書を紹介します。

B: 大学受験レヴェルを再度確認したい人の段階。Aの段階では欠落する大学合格レヴェルの語彙をすべて含みます。Aを終えた人ならまったく困難な作業ではないはずです。ページ数は890ページです。

辞書名: 『トリム英和辞典 (研究社)』

総ページ数1005ページ

語彙記述ページ数890ページ

総語彙数約1万5000語

編者が書かれた「まえがき」から引用しておきます(太字・省略 k.y.)

(引用開始) この辞典は中学で英語の勉強を始めて2年から5年くらいの人々と、英語からしばらく遠ざかっていたがもう一度勉強しなおしたいという人々のための学習用辞典です。
 そのために、まず第一に、「使いやすさ」を考えました。「使いやすさ」とは、目指す単語を見つけやすい、語の意味(語義)が見やすい、例文が分かりやすい、などのことです。
 Trimという辞典名がこの辞典の特徴を現しています。trimには、形容詞として「(健康的で)すらっとした;(体などが)引きしまった」などの意味があり、動詞として「(木・髪など)をきちんと刈り込む、手入れをする」などの意味があります。
 この辞典は語の周辺的・間接的な情報を思い切って刈り込み、引きしまった、使いやすい辞典を目指しました・・・(引用終止)

語彙強化に関して、一般にはまだまだ認知されていないことですが(語彙リストをAから順に暗記するなど最悪であると固く信じている人が圧倒的に多い!)、実証済みの事実を2点確認しておきます。

① 語彙リストは語彙暗記の最高のツールである。

② 語彙リストは簡潔なほうが記憶しやすい(ターゲット語彙+その和訳+簡潔な例文)。

東進ハイスクール講師の今井宏さんはその著 『今度こそ英語は大丈夫』 のなかで ― 「単語そのもの」と「例文」以外は無視してもまったくかまいません。「反対語は?」「派生語は?」「多義語は?」「語源は?」いろいろ気になるところですが、完全主義はとにかく禁物です。「反対語・派生語・語源、すべて完璧に覚えないと意味がない」 難しいことをおっしゃるヒトはいますが、そんなに時間のかかることをやっていると、こわいこわい挫折が、大きな口をあけて、皆さんを呑み込もうと待ち構えていますよ ― と述べておられます。

今井さんは最前線の英語教師としての実感をことばにしているわけですが、簡潔な語彙リストの威力は応用言語学者たちによる比較実験によっても実証済みです。

特に、今回のようなBレヴェルの語彙強化に関しては、① ② は何の留保もなく当てはまる鉄則です(精読や多読ももちろん並行して実行しなければなりません)。

何度も言いますが、語源などに熱中している暇があるなら語彙リストでどんどん覚えた方がはるかに能率がいい。必要な範囲の語源は、あとのC・Dレヴェルの辞書暗記の一環(副産物)として充分習得できます。数十個の語源知識で1~2万語の語彙を正確に理解できるなどと信じてはいけません。そんなことを実行できた人は、それを主張するご本人も含めて、だれひとりいません

①と②の観点からして、『トリム英和辞典 』 はたいへん好都合な学習辞典です。

この辞書は、各ページが左右に分割されていて左側にターゲット語彙と例文、右側に語義と各例文の和訳という「アンチ・バベルの塔」の形式とまったく同じで、カードに整理しやすくなっています。

語の周辺的・間接的な情報を思い切って刈り込み、引きしまった、使いやすい」という『トリム英和辞典 』 の特徴が ① ② の語彙リスト作成に最適なのです。

ただし、注意も必要です。簡潔で重要部分を赤で印字した例文は、「まえがき」にも指摘してあるようにたいへん理解・暗記が容易です。

しかし軽視するべからずです。

やさしすぎるように思えるかもしれませんが、それを流暢にしゃべるのは、実は、そんなに容易なことでない。英検1級2次試験の面接現場でもよく見かけることですが 『トリム英和辞典 』 の例文表現をよどみなく口に出せる人は意外に少ない。

発音・リズムに注意し感情豊かに音読しながら、バッチリ覚えていきましょう。

そして、A→B→C→Dと進み、やがて、数年後に、あるいは10~15年後に、2000頁の学習英英辞典のどのページを開いても知らない語彙が存在しない快感を想像してみてください。

追記: az さん、コメントありがとうございます。 かいちゃん さん、ご自由になさってください。

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