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語彙強化に関する世間の議論(2)

前回に「日本語で書かれたものを読む際に分からない語彙があっても気にせず読み進むことができるのは日本語の語彙力が5万語前後を越えるレヴェルに達しているからだ」という話しをしました。

この「知らない語彙があっても支障なく読み進むことのできる語彙レヴェル」は、読書中の既知語彙が98%を超えるレヴェルであることが分かっています。英語で既知語彙が1万5000語程度の場合、既知語彙率は95%程度で、未知語彙の意味を推量しながらスラスラ読書できるレヴェルでは決してありません。実際に試してみたらすぐわかります。

また、98%を超える語彙レヴェルがあれば読書をしながら新たな語彙を獲得していくことが真に可能になります。このレヴェル ― 5万語超のレヴェル ― に達して始めて「読書が最高の語彙強化法」になるわけです。

そして、98%を超える水準でそれなりの読書を続けたら、毎年1000語程度語彙が増えていきます。

日本語で通常どんな本を読んでもスラスラ読める人で「私は五万語超も日本語を知っているのか!?」と思う人は『小学館 日本語新辞典』を(手元になければ本屋で)パラパラめくってみてください。

この辞書は「現代生活に必要な約6万3000語を、現代語を中心に収録」した、日本語の非ネイティヴ・スピーカーが利用することも念頭においた、語彙レヴェルやスタイルが「上級学習英英辞典」によく似た「日日辞典」です。

パラパラめくりながら未知語彙をざっとチェックしてみてください。未知語彙はほとんどないはずです。この辞書は、日本語のネイティヴ・スピーカーにとっては、未知語彙を調べるというより、「むしろ表現する際に大きく役立つ」ツールです。

「自然な語彙強化=読書による語彙強化」を可能にするためには、98%の語彙力=5万語超の語彙蓄積が、まず、必要です。

その語彙蓄積を生きているうちに達成できる唯一の方法が「学習辞書暗記」なのです。

他に方法がありますか? ありませんよ。あれば、ぜひぜひ、教えてください。ただし、ただのアイデアではなく実証済みの方法を教えてください。TOEIC満点だとか同時通訳をしているとかは参考になりません

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語彙強化に関する世間の議論(1)

「語彙強化」の要・不要

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「語彙強化」の要・不要は、一般的に論じられるようなことではなくて、すぐれて個人的なものだと思います。

「学習辞書を覚えるのが最善の方法ですよ」というと、必ず、「ネイティヴ・スピーカーは、そんなに、5万語も6万語も、知っているの?」という声が聞こえてきます。

いつもいうことですが5万語内外の語彙力はあくまで平均的な人たちの語彙力であって、その水準に大きく外れる人はそれこそゴマンといます。

特に下向きの外れかたはかなり大きくなります。日本語のネイティヴ・スピーカーの場合でも事情はまったく同じです。

語彙力が2万語前後の人だって珍しくありません。

だから、たまたま自分の知り合いのネイティヴ・スピーカーの語彙力が「びっくり!」するほど低くても、実は、びっくりすることでもなんでもなくて、そんな例はいくらでもあるわけです。

周囲のネイティヴ・スピーカーの語彙力などどうでもよいことです。

あなたが日本人だとしてあるいは日本語を native tongue とする人だとして、それなりの新聞や雑誌や小説を理解でき、いろいろなことをそれなりに聞いて理解したり話したりできる人であるなら、あなたの日本語の語彙力は明らかに5万語前後であるかあるいはそれを越えています。それだけの語彙力があってはじめてそれなりの言語生活が営めるのであって、2万語前後の語彙力ではとうてい無理なはなしです。

ところが、「それなりの・・・」というようなことにはまったく無頓着なひとにとって、語彙力などどうでもいいことでしょう。

「語彙強化」の要・不要は、一般的に論じられるようなことではなくて、すぐれて個人的なものだ」という所以です。

一方、日本語でそれなりの言語生活を営める人が英語でもそれなりの言語生活を営みたいとしたら、英語の語彙力も5万語以上でなければなりません。

なぜ、英語の非ネイティヴ・スピーカーの私にそんなことが分かるのか?

役に立つ英語の辞書の語彙レヴェルを意識すればはっきり分かります。

英語の語彙力が数千~1万語内外の人が、『Newyorker』 や 『The Ancestor's Tale』 などを読んでそれなりに理解したい場合、当然辞書が必要になります(圧倒的に語彙不足の人が分からない語彙をすっとばして読むなど論外です!日本語の読書で分からない語彙があっても気にならないのは日本語で5万語以上の語彙力があるからです)。 

そんなときに役に立つ辞書は、見出し語が5~6万語を超える辞書です。中学生用の辞書(日常の会話では少なからず役に立つ語彙レヴェル)ではまったく役に立ちません。

必要になるあるいは役に立つ辞書の語彙レヴェルが即必要な語彙レヴェルです。

日本語のネイティヴ・スピーカーが日本語で書かれたものを普通に読む場合いちいち 『広辞苑 = いわゆる辞書』 などをひいたりしません。 『広辞苑』 ほどの語彙レヴェルは通常は不要だからです。

必要なレヴェルは、5万語超のレヴェル、英語で言えば「上級学習英英辞典(非ネイティヴ・スピーカー用)」のレヴェルであり、その程度の日本語は私たちの頭にビルト・インされています。

その語彙レヴェルを達成する実行可能な方法が、「学習辞書(いわゆる辞書ではなく、学習辞書!)暗記」 なのです。

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ことばで想起する場面 (Collins Cobuild の語彙・例文 より)(1)

abandon

The road is strewn with abandoned vehicles.(Collins) その道路のいたるところに車が放置されている。

湾岸戦争 = the (Persian) Gulf Warの ときに米軍が超強力な爆弾 ( a neutron bomb ? )をイラク軍の車列に投下したことがあります。兵員は瞬時に即死・蒸発したはずですが、焼け爛れた車列だけが朽ち果てた姿で放置されていました。abandon は無責任に放置するというう意味ですから直ちには当てはまらない光景ですが、忘れられない戦時写真 ( a war photograph ) のひとつです。

the Gulf War = a war which began in 1991, after Iraq attacked Kuwait and took control of it. A United Nations force led by the US, and including soldiers from Saudi Arabia, Egypt, the UK, and France, attacked Iraq and forced the Iraqi army out of Kuwait.( LDOCE より )

The authorities have abandoned any attempt to distribute food.(Collins) 当局は食料の配給をまったく放棄している。

北朝鮮の貧民が思い浮かびます。They are in the most dire (これ以上なく悲惨な) situation.

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英語の語彙:雑談(38)

a number of について

a number of に関してマーク・ピーターセンさんが、次のように書いています(『表現のための実践ロイヤル英文法』より)。

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・・・「喜んだ人が何人かいた」には、some, a number of, a few, several のどれも使えるが、Some people were happy. とすると「喜んだ人もいた」といった感じになり、A few people were happy. とすると「喜んだ人もいたが、たいした数ではなかった」といった感じになる。この2つに対して A number of people were happy. と Several people were happy. はどちらも「喜んだ人は[数人しかいなかったが、それでも]意外と多かった」と言った感じで、「喜んだ人も結構いましたよ」というような場合によく使われる。

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話は変わりますが、20歳代なかばで日本語の学習を始めたピーターセンさんが上記のような正確な日本語を駆使できるようになるまでに「万時間単位の勉強」を自己に課した事実を考えると「結構感慨深い」ものがあります。

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復習こそ最高の記憶術・続

古来、記憶術の話は沢山あります。

今では、脳科学の発達により(たいして発達したとは思いませんが)、記憶プロセスの科学的な説明も流行になっています。

さらに、脳科学の専門家たちによる記憶強化法論議も熱を帯びています。

しかし、そんな議論の中ですっかり等閑視されていることがあります。

それは、復習(繰り返し学習)の重要性です。いかに記憶法を工夫しても、いかに記憶用ソフトを駆使しても、いかに楽しいやり方を採用しても、覚えたものを復習しない限り、記憶は中長期的にはどんどん忘却のかなたに消えてゆきます

そのことを単刀直入に指摘した論議がまったくない

「暗記など無意味です、そんな作業は楽しくもないしすぐ忘れてしまうからです。そんなことをするなら~の方法で楽しく覚えましょう。~の方法でやれば1週間で○○百もの単語が覚えられます」などというアフターケアーのない無責任な議論がまかり通っています。

しかし、その覚えたものを維持する具体的な方法はまったく示されていません

だれでも集中して取り組めばあるいは集中する訓練を自分に課してコツを習得したら時にはすばらしく物覚えがよくなります。

試験前の詰め込み勉強がその好例です。覚えること自体は、その気になれば、そんなに困難なことではない

つまり、復習の重要性に比較すれば、実は、記憶法などたいした問題ではないのです。「バベルの塔」はその気になればだれでも建てられるのです。ところが「アンチ・バベルの塔」は建てられない。復習を組み込まない限りあちこちに「バベルの塔」が林立しても「アンチ・バベルの塔」はひとつも完成しない。累々たる記憶の痕跡だけが英語学習の荒野に広がるだけです。低レヴェルの、塔とはとてもいえない高さの構造物はあちこちにあります。受験・資格試験突破レヴェルの建造物です。そのレヴェルを超える高さの建造物はすべて「バベルの塔」と化します。

だから、語彙をそして英語のレヴェルを真に満足な高さに引き上げたければ、「復習が絶対に必要」であることを肝に銘じなければなりません。

復習は記憶界に君臨する唯一絶対の神」であることを、もうそろそろ、明確に認識すべきころなのです。

他に記憶保持の方法などありません!! あれば、いつも言っていることですが、ぜひ教えてください。私は、まだ、お目にかかったことがありません。

一生は決して長くありません。唯一神(=復習)を信じて突き進むのが結局は最も効率のよい実効性の保証された記憶保持法なのです。

記憶法はいろいろあります。

記憶保持法はひとつしかありません。

そのことに速く気付けば気付くほど、真に楽しいバイリングアル世界に到達する確率が高くなります。

あなたは復習をなおざりにしていませんか?

1日30分の復習の強大な記憶保持効果を知っていますか? 

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どうしようもない事実(復習しなければ絶対忘れるという事実)はすなおに受け入れて対処することが結局は得策です。どんなに避けても避けられるものではない。みなさんは「そんなことは分かりきっている」とおっしゃるかもしれない。しかし、大半の人は逃げ回って抜け道ばかり無為に模索してやまない。違いますか?

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Happy learning!


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「才能」(30)―高い目標と努力―

千田潤一さんが、『英語学習ダイアリー』の監修のことばで ― 日本国内で英語を身につけた人に、唯一共通点があります。それは、毎日英語に触れる習慣を確立し、何十時間、何百時間ではなく、何千時間、何万時間単位の時間の累積を経ていることです。英語力は体力と同じです。毎日トレーニングを継続すれば、力が付いていきます。止めれば、落ちます。英語をモノにできない人の殆どは、「始めては、止め。止めては、始め」を繰り返しています ― と述べておられます。

私は「何千時間、何万時間単位の時間の累積」という指摘に注目します。

もちろん、たとえ何万時間費やしても、同じレヴェルを行きつ戻りつする横(よこ)移動は現状維持以上の成果をもたらすことはない。最終的な高い目標に向かってひとつひとつの階段を昇る縦(たて)移動に何千時間、何万時間を費やす必要があるということです。

「手軽さや楽しさ」ばかりを強調する英語教材業界は日本人の英語の水準を著しく引き下げる負の役割を担っています。

1日10分や30分の勉強をたとえ数年間続けたところでいったいどれほどの英語を習得できるのか?

毎日30分だとすると5年間でも900時間ぐらいにしかなりません。

この時間数は普通の日本人が学校で受ける授業の時間数とだいたい同じです。

この時間数で達成できる英語力は、ちゃんと勉強して、英検で言えば2級程度、学校の授業+1000時間で2級~準1級。

この現実を冷徹に認識することがまず大事でしょう。

語彙強化に焦点を当てると、2000時間で習得できる語彙レヴェルはせいぜい数千語。ネイティヴ・スピーカーなら幼児の語彙レヴェル(幼児に理解不能な抽象語彙は除く)に過ぎません。

市販の単語・熟語帳の語彙レヴェルは1万数千語で頭打ちになります。これはネイティヴ・スピーカーの小学生レヴェル(小学生に理解不能な抽象語彙は除く)。

私が「アンチ・バベルの塔」で「学習辞書暗記」を提案しているのは、こうした低レヴェルの語彙を卒業して普通の語彙レヴェル( ネイティヴ・スピーカーの高卒レヴェル以上=5万語超 ) に達して欲しいからです。

市販の単・熟語集が一般の人たちの英語レヴェルを非常に低く抑えているという事実、しかも大半の人はそれに気付いていないという事実をしっかり認識して欲しい。そして、「アンチ・バベルの塔」を築いて欲しい。「何千時間、何万時間単位の時間の累積」が必要であることを念頭において長期の学習計画をたてて実行して欲しい。

今のレヴェルをしっかり把握して次に到達可能と思える目標を定め毎日努力する。それが達成できたらその次に到達可能と思える目標を定めて毎日努力する、それが終われば次のレヴェルに挑戦する。そうすれば、やがて、ブレイク・スルー(=上級学習英英辞典を暗記すること)が訪れる

低いレヴェルの教材をはしごしながら「始めては、止め。止めては、始め」を繰り返していてもいっこうにらちがあかない。こんな経験(=横移動)をいくら繰返してもブレイク・スルーに至ることはあり得ない。

『日経サイエンス』の今月号(2006年11月創刊35周年記念号)に「チェス名人に隠された才能の秘密」という記事があります。

これは「才能よりも動機づけとトレーニング」という観点を強調した記事で ― ・・・重要なのは経験そのものではなく、「努力を要する訓練」・・・その人の能力をわずかに超えたところでチャレンジを繰り返すことが必要・・・愛好家が何万時間かけてチェスをしたり楽器を弾いたりしてもアマチュアレヴェルを脱することができないのに、適切なトレーニングを受けた学生は短期間で彼らに追いつく(k.y.注:「アンチ・バベルの塔」を築けばネイティヴ・スピーカーの4~5倍のスピードで普通の語彙レヴェルを達成可能)・・・初心者も最初は努力を要する訓練に専念する(k.y.注:市販の単・熟語集に専念することも同じ)。だからビギナーのうちはゴルフでも自動車の運転でも急速に進歩する。だが、ゴルフ仲間(k.y.注:普通の英語学習者仲間に相当)に追いついたりに追いついたり運転免許(k.y.注:TOEICや英検などの資格試験に相当)が取れたりすると、ほとんどの人は気がゆるんでしまう。行いは惰性的になり、やがて上達しにくくなる。一方、訓練の達人は自分の”精神の箱の扉”をずっと開け続けているので、その中身を調べ、批判し、増やすことができ、その分野の頂点に立つ人たちの基準に近づいていく・・・ ― と指摘している。

覚醒と努力

Happy learning !

追記: 円周率暗唱の世界記録保持者の心理カウンセラー、原口證(あきら)さん(60)が暗唱10万桁(けた)を達成し、自らの世界記録を更新

原口さんは私より1歳年上。年齢は関係なしですね。

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英語の語彙:雑談(37)

exceptionableexceptional

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① exceptionable 

― (『研究社・英和大辞典』) ― 

1 [通例否定語を伴って] 異議を唱えられる, 非難の余地がある (objectionable)

○ There is nothing exceptionable in that. それには非難すべきところは少しもない

2 《俗用》 例外的な ( exceptional ).

― (『Cambridge Advanced Learner's Dictionary』) ―

offensive or upsetting:

○ exceptionable behaviour

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② exceptional

― (『研究社・英和大辞典』) ― 

1 並でない, 非凡の, すぐれた

○ exceptional ability 非凡な能力
 Her beauty is exceptional. 彼女の美しさは並のものではない

2 例外的な, 異例の; 格別の, まれな

○ an exceptional use of a word 言葉の例外的な使い方
○ exceptional advantages 特別[非常]な便益
○ under [in] exceptional circumstances 例外的な事情の下では

3 《米》 〈子供が〉(能力優秀, または心身の欠陥のため)特殊教育を必要とする

○ exceptional children 特殊児童

― (『Cambridge Advanced Learner's Dictionary』) ―

much greater than usual, especially in skill, intelligence, quality, etc:

○ an exceptional student
○ exceptional powers of concentration
○ The company has shown exceptional growth over the past two years.

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