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「才能」(30)―高い目標と努力―

千田潤一さんが、『英語学習ダイアリー』の監修のことばで ― 日本国内で英語を身につけた人に、唯一共通点があります。それは、毎日英語に触れる習慣を確立し、何十時間、何百時間ではなく、何千時間、何万時間単位の時間の累積を経ていることです。英語力は体力と同じです。毎日トレーニングを継続すれば、力が付いていきます。止めれば、落ちます。英語をモノにできない人の殆どは、「始めては、止め。止めては、始め」を繰り返しています ― と述べておられます。

私は「何千時間、何万時間単位の時間の累積」という指摘に注目します。

もちろん、たとえ何万時間費やしても、同じレヴェルを行きつ戻りつする横(よこ)移動は現状維持以上の成果をもたらすことはない。最終的な高い目標に向かってひとつひとつの階段を昇る縦(たて)移動に何千時間、何万時間を費やす必要があるということです。

「手軽さや楽しさ」ばかりを強調する英語教材業界は日本人の英語の水準を著しく引き下げる負の役割を担っています。

1日10分や30分の勉強をたとえ数年間続けたところでいったいどれほどの英語を習得できるのか?

毎日30分だとすると5年間でも900時間ぐらいにしかなりません。

この時間数は普通の日本人が学校で受ける授業の時間数とだいたい同じです。

この時間数で達成できる英語力は、ちゃんと勉強して、英検で言えば2級程度、学校の授業+1000時間で2級~準1級。

この現実を冷徹に認識することがまず大事でしょう。

語彙強化に焦点を当てると、2000時間で習得できる語彙レヴェルはせいぜい数千語。ネイティヴ・スピーカーなら幼児の語彙レヴェル(幼児に理解不能な抽象語彙は除く)に過ぎません。

市販の単語・熟語帳の語彙レヴェルは1万数千語で頭打ちになります。これはネイティヴ・スピーカーの小学生レヴェル(小学生に理解不能な抽象語彙は除く)。

私が「アンチ・バベルの塔」で「学習辞書暗記」を提案しているのは、こうした低レヴェルの語彙を卒業して普通の語彙レヴェル( ネイティヴ・スピーカーの高卒レヴェル以上=5万語超 ) に達して欲しいからです。

市販の単・熟語集が一般の人たちの英語レヴェルを非常に低く抑えているという事実、しかも大半の人はそれに気付いていないという事実をしっかり認識して欲しい。そして、「アンチ・バベルの塔」を築いて欲しい。「何千時間、何万時間単位の時間の累積」が必要であることを念頭において長期の学習計画をたてて実行して欲しい。

今のレヴェルをしっかり把握して次に到達可能と思える目標を定め毎日努力する。それが達成できたらその次に到達可能と思える目標を定めて毎日努力する、それが終われば次のレヴェルに挑戦する。そうすれば、やがて、ブレイク・スルー(=上級学習英英辞典を暗記すること)が訪れる

低いレヴェルの教材をはしごしながら「始めては、止め。止めては、始め」を繰り返していてもいっこうにらちがあかない。こんな経験(=横移動)をいくら繰返してもブレイク・スルーに至ることはあり得ない。

『日経サイエンス』の今月号(2006年11月創刊35周年記念号)に「チェス名人に隠された才能の秘密」という記事があります。

これは「才能よりも動機づけとトレーニング」という観点を強調した記事で ― ・・・重要なのは経験そのものではなく、「努力を要する訓練」・・・その人の能力をわずかに超えたところでチャレンジを繰り返すことが必要・・・愛好家が何万時間かけてチェスをしたり楽器を弾いたりしてもアマチュアレヴェルを脱することができないのに、適切なトレーニングを受けた学生は短期間で彼らに追いつく(k.y.注:「アンチ・バベルの塔」を築けばネイティヴ・スピーカーの4~5倍のスピードで普通の語彙レヴェルを達成可能)・・・初心者も最初は努力を要する訓練に専念する(k.y.注:市販の単・熟語集に専念することも同じ)。だからビギナーのうちはゴルフでも自動車の運転でも急速に進歩する。だが、ゴルフ仲間(k.y.注:普通の英語学習者仲間に相当)に追いついたりに追いついたり運転免許(k.y.注:TOEICや英検などの資格試験に相当)が取れたりすると、ほとんどの人は気がゆるんでしまう。行いは惰性的になり、やがて上達しにくくなる。一方、訓練の達人は自分の”精神の箱の扉”をずっと開け続けているので、その中身を調べ、批判し、増やすことができ、その分野の頂点に立つ人たちの基準に近づいていく・・・ ― と指摘している。

覚醒と努力

Happy learning !

追記: 円周率暗唱の世界記録保持者の心理カウンセラー、原口證(あきら)さん(60)が暗唱10万桁(けた)を達成し、自らの世界記録を更新

原口さんは私より1歳年上。年齢は関係なしですね。

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