« 語彙強化に関する世間の議論(5)その2 | Main | コメントにお答えする(12/2006) »

英語の語彙数・続

静岡県立大学短期大学部 研究紀要 研究社『英和中辞典』第3-6 版にみる重要語指定の変遷
石川慎一郎著 ( http://bambi.u-shizuoka-ken.ac.jp/~kiyou4228021/14_3/14_3_5.pdf ) には、日本の英語教育で重要語とされる語彙について、次のような記述があります。

--------------------

・・・平均的日本人学生の認識語彙の上限に当たる7191 語では,英米の私用手紙文の48%,科学論文要綱の26%しかカバーできないという調査結果もある.「日本人の語彙の不足は歴然である.未知語の数が多くなればなるほど文理解の困難度は加速度的に大きくなる

・・・明確な指針が存在しない語彙学習の中身を決定する上で,学習英和辞書の責任はきわめて重い・・・

(省略・太字はk.y.)

-------------------------

ところで、7~8000語といえば普通の日本人の英語語彙の最高レヴェル。

また、今後の英語教員として要求される標準レヴェルでもあり、英検の準1級程度 (しかも、 ほとんどの英語の先生がこのレヴェルには未達)。

しかし、上記引用にもある通り、この語彙レヴェルでは実用面でまことに心もとない

また、何度も言いますが、90%の既知語彙率では、英語の大人向け活字媒体はまったく読めません。 数字の大きさと実際の威力ははっきり区別すべきです。

私は、英語の教育に当たる人たちなら、英語や英語語彙の教授法を研究・議論する前にあるいはそれと平行して、自らの英語語彙をせめて1.5万語程度にまで高める努力をしたほうが英語を教える上でもずっと有益だと思います。

すばらしい先生方もおられることはよく存じていますが、先生全般のレヴェルアップがあれば生徒全般もレヴェルアップするはずです。すばらしい先生なら生徒も憧れをもってがんばりますよ。

他方、上記引用にもありますように、学習英和辞典に語彙学習の指針たるポジションを与えることは「塔主」としてすばらしいアイデアだと思います。

ところで、生涯の主たる情熱を日本語・日本文学に注いできたドナルド・キーンさん・84歳は、「日本での生活に一つ不満があるとすれば、それは私の本を読んだことがある人も含めて多くの日本人が、私が日本語が読めるはずがないと思っていることである・・・」と語っておられます(『私と20世紀のクロニクル(読売新聞2006年12月16日)』より)。

巨匠ドナルド・キーンさんが他の機会にもたびたび言及する日本人のこの種のとんでもない誤解も、もしかすると、日本人が英語を読みこなすことの困難さの裏返しかもしれません。

|

« 語彙強化に関する世間の議論(5)その2 | Main | コメントにお答えする(12/2006) »

Comments

□「英語の語彙数・続」を読んでの感想と質問□
■感想(その1)
「日本人の語彙の不足は歴然である.未知語の数が多くなればなるほど文理解の困難度は加速度的に大きくなる
」という言葉は、石川慎一郎氏の言葉ではなく、
高梨庸雄・高橋正夫(1987) 『英語リーディング指導の基礎』(研究社出版)の中の言葉ではないでしょうか。石川慎一郎氏の紀要にはそう書いてありますが。
感想(その2)
左の欄の「アンチバベル選書」で紹介されている『POWER WORDS』(アルク)は品切れで、現在は『究極の英単語』というシリーズが出ています。まだ第1巻(2006年5月発行・初級の3000語)と第2巻(2006年12月発行・中級の3000語)しか出ていませんが。


質問(その1)
「アンチ・バベルの塔」の2006年5月23日号に、
「4段階(A,B,C,D)に分けて、最終的には上級学習英英辞典の語彙をすべてマスターするという作戦」が紹介されています。
「Aの段階で利用する辞書・ページ数は741ページ」は『ジュニア・アンカー英和辞典(学研) 』(←「アンチ・バベルの塔」2006年5月24日号)
「Bの段階で利用する辞書・ページ数は890ページ」は『トリム英和辞典 (研究社)』』(←「アンチ・バベルの塔」2006年8月21日号)ですが、
「Cの段階で利用する辞書・ページ数は、1663ページ」と
「Dの段階で利用する辞書・ページ数は1514ページ」は、どこに掲載されているのですか?
質問(その2)
『アンチ・バベルの塔』を創刊号から読みたいのですが、どこが先頭ですか。2004年8月10日号(「アンチ・バベルの塔の建設法」)まで、さかのぼったのですが、その先があるような気がします。
■回答に対するお礼のコメントは書き込みませんので悪しからず。「音沙汰」なかったら、回答に満足しているとお思いになってください。

Posted by: miwako | December 17, 2006 at 02:19 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/47849/13087400

Listed below are links to weblogs that reference 英語の語彙数・続:

« 語彙強化に関する世間の議論(5)その2 | Main | コメントにお答えする(12/2006) »