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なぜ手間・暇のかかるカードを使用するのか?・続

1000~2000ページの中に未知語彙が5000~2万語 (総数で、見出し語だけに限らない) あるとしましょう ( もっとある人の方が多い )。

未知語彙をただチェックする回数だけも5000~2万回に達するわけですから、それをすべて覚えるためには年単位の努力を要することは容易に察しがつくはずです。

ここで、(学習辞書に依拠して)未知語彙を覚えるための2つの方法を比較してみましょう:

A: 未知語彙をマーカーなどでチェックして、何度も復習する方式 = 未知語彙と辞書本体を分離しない方式
B: カードを作成して復習する「塔」方式 = 辞書本体と未知語彙集を完全に分離する方式

(英単語学習ソフトは、加工の自由度を考慮すると、Bとは異質 )

1.未知語彙の発見

Aの場合はマークするだけである ( 削除はしにくいし、スペースが少ないので追加などの加工はほとんど不可能 )。この作業は、なるほど時間はかからないが、その分印象度も低く、記憶に積極的に貢献する作業だとは言いがたい。

Bの場合は、 その未知語彙ををカードに転記していく。自分なりの記述を加えることもあるし、不必要だと判断すれば削除する部分もある。和訳を付記したほうが (動植物名などは)、 分かりやすいし覚えるのが楽になることも多い。カードの裏は白紙だから、Googleの写真を転写しておいたり類義語などのリスト・解説を転記したおいたりする。その他おもしろいと思う加工を施しながらカードを作成していく。 なお、辞書からの転記 (1部削除も含む) 以外の加工・改良は復習の際に行うこともある。

この過程で、各語彙に対する印象が強化され知見も拡大する。そんな効果はA方式ではほとんど期待できない。私は、こうした1連の作業を非効率だとは決して判断しない。実は、時間はかかるがやりがいのある、達成感を伴う、そしておのずと記憶を促進する行為だと実感している。あとで誤植を発見して訂正することさえ記憶の一助になる。

2.復習

まず、念頭に置くべきは、5回や10回の復習で覚えられると思わないこと

安河内哲也さんは 『できる人の勉強法 』で、― 4回や5回で覚えられない。たとえば、マジックの技術でひとつの動作を習得するのに100回の練習ではダメで、500~1000回やって何とか見られるようになる。何かを覚えるにはそれくらいしつこくやらなければならない ( ほぼ原文どおり ) ― と語っておられる。

私たちの覚える対象は、5000~1万単位の語彙ですよ! 5~10回などウオーミングアップだとしても不足です。

さて、復習の仕方です。

Aの場合は、辞書を前にしてマークした箇所を追い続ける。私は、膨大な語彙を、1000~2000のページを常に携帯して復習することは、かなりのストレスになった。

さらに、何度も何度もマーカーなどでチェックしていると限界がくる。塗り重ねやら度重なるチェックの印などで何が何やら判然としなくなる。かといって、暗記がさほど加速するわけでもない。それがまたストレスになる。

Bの場合は、辞書と「塔」のカードとは完全に分離されているから、復習で目にするのは生涯にわたって習得しづらかった語彙ばかりで、目移りすることはない。難攻不落の相手ばかりに焦点が定まり、しかも、転記・その後の復習の際にいろいろな付加情報も記載されているために、攻略のコツも心得ている。新たな情報が見つかったら付記するスペースも表と裏に充分ある。 たまには、格好の例文を見つけて裏に書き加えることもある。

そして、常に1000~2000ページを携帯して気分が重くなることもない。快適な枚数だけを分割して持ち歩くことができる。着脱自在の構成がなんとも好都合なのだ。

もちろん、「塗り重ねやら度重なるチェックの印などで何が何やら判然としなくなる」 ことなどあり得ない。カードが深・進化することはあっても混乱したり退化することはない。

カードは、復習を重ねるたびに、離れ難く身近な景色になっていく。忘れがたい景色になっていく。何度見ても飽きない景色になっていく。

3.例外

A方式について上記に記した不都合は、たとえば英検準1級程度の人が高校生用の初級英和辞典を暗記する場合などには、あまり障害にならないこともある。B方式より効率的になる可能性もある。この辺は各自の判断に待つしかないと考えます。

まず、自分なりのアイデアを実行して、いろいろ試行錯誤してみましょう。語彙強化法の議論が真に有効になるのはそうした実体験のあとです。 とにかく、何か実行すること

4.最後に述べておきたいこと

各自の 「塔」 は、各自に独特な創造物であるということ。すぐれて個性的な所産だということです。

学習辞書は、それがいかに秀逸なものであっても、大量生産の商品です。

ところが、そんな規格品から生まれる「塔」 は、あくまであなたのDNAのなせる業です。 だからこそ、暗記の効率的なツールとなり得るのです。

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