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母語の語彙蓄積と英語の語彙蓄積(1)

日本人の日本語を観るとき、小学校後半から高校にかけて、特に中高6年間に、受ける教育が巨大な語彙格差を生みます。 

その結果、日本語の語彙数が2万語にも満たない人たち ( = 教育システムからはみ出した人たち ) も出現します。 このような事情は英語圏でも同じで社会問題になっています。

そんな人たちが、学校を出た後で、大人の標準的な語彙数である5万語前後に到達することもほとんど不可能です。

なぜ、不可能なのか?

現代国語・古文・数学・理科・社会・芸術など各科目の教育で習得する語彙を、教育システムから落伍して独学で習得することは、特別な場合を除いて、ほぼあり得ないからです。

5万語の語彙がひとりでに身についたと勘違いしている人も多い。 しかし、決してそうではない。 なかば無理やりあるいは指導を受けてまたは何かに触発されて覚える語彙のほうが自然に習得する語彙よりはるかに多い。 教育 ( 教室・図書館・読書・PC・校友・先生・親など ) はそんな語彙獲得の機会を豊富に提供する。 教育システムは近代人の語彙形成に決定的な役割を果たしている。 

20世紀SF界の巨人 I. Asimov は自伝『 A memoir 』で ― I received the fundamentals of my education in school, but that was not enough. My real education, the super structure, the details, the true architecture, I got out of the public library. For an impoverished child whose family could not afford to buy books, the library was the open door to winder and achievement, and I can never be sufficiently grateful that I had the wit to charge through that door and make the most of it. Now, when I read constantly about the way in which library funds are being cut and cut, I can only think that the door is closing and that American society has found one more way to destroy itself. ― と書いている。

学校と地域の教育システムが、希代のSF作家の揺籃期を演出し、あのすばらしい作品群を支える語彙の蓄積に大きく貢献したと言える。

Asimov のように非凡ではない普通の人でも、大人の語彙( 5万語 )さえあれば、あとは独自に語彙を増やしていくことも可能になる。 5万語を元手に、さらに高度な学習の機会を求めて特定の専門分野を究める道も開ける。 

これは2万語の語彙しかない人には不可能なこと。 したがって、語彙格差は大人になってからでもますます拡大する。

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Comments

■質問■
"the library was the open door to winder and achievement, "という箇所の、
"winder"の意味がわからないのですが。
『ジーニアス英和辞典 第4版』でwinderのとこを見ると、
「巻く人 、巻く物 ; 曲がる物 ; 曲げる人 、曲げる物 ; 糸巻き ; (腕時計の)竜頭(りゅうず).」と書いてあります。
 意味が通じないんですけど。
 原文のままなんですか?

Posted by: miwako | March 04, 2007 at 11:30 AM

miwako さんへ

ご指摘ありがとうございます。

原文は winder ではなく、wonder になっています。

転記する際に誤記したまま気付かなかったことをお詫びします。

Thank you.

Posted by: k.y. | March 04, 2007 at 12:16 PM

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