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『ニューズウィーク日本版・2007 - 4・25 号』 の記事に対するコメント(1)

「成人の語彙蓄積」 で言及した 『ニューズウィーク日本版・2007 - 4・25 号 特集 「英会話の科学」 』 の 記事「7つのコツで語彙力アップ」 を再読しながら、コメントしてみます。

この記事は ― 「ひたすら暗記するしかない。どれだけやっても終わりがない。語彙の学習には、単調で非生産的なイメージがつきまとう」 ― という書き出しになっています。

私も昔はそう思っていました。きりがない。果てしがない。いくらやっても次から次と未知語彙がでてきて止むことがない。そんなふうに感じていました。

しかし、これは間違った考え方です。人間の頭に蓄えられている語彙は無限大ではありません。通常は5~10万語ぐらいです

ネイティヴ・スピーカーの語彙数については、「どのような語を1語と判断するのか?」 などの基準の違いによって、諸説あって議論をしだすとそれこそきりがない。

また、そんな議論を続けても実益はない

覚えるべき語彙さえ分かれば、その他の議論は、言語学者でもなんでもない一般の英語学習者には不要です。

そして、コーパスの登場のおかげで、今や覚えるべき語彙の選択に迷うことはありません

コーパスに依拠して編纂された 「上級学習英英辞典」 に記載されている語彙を覚えたらいいわけです。

「上級学習英英辞典」 の語彙をみて 「こんな語彙は不要じゃないか?」 と思う場合は、各自の責任でその語彙を無視すればいい。「統計上客観的に必要とされる語彙」 と 「各人が必要だと思う語彙」 が一致しなくても不思議なことではない。だから、「上級学習英英辞典」 に記載されていなくても人によっては必要な語彙もあるだろう。そのような判断は各自に行えばよい。

ただ、語彙強化の主要な基準を 「上級学習英英辞典」 に置くことについて反論する合理的な理由は見当たらない

実際上も、私の経験からして、「上級学習英英辞典」 の語彙をすべて覚えてものを読むのに困ることは、専門分野などを除いて、まずありません。 もちろん未知語彙が絶える事はありませんが、そのために理解が妨げられることはない。それは、日本語でものを読む場合と同じです。

先に、「人間の頭に蓄えられている語彙は無限大ではありません。通常は5~10万語ぐらいです」 と書きましたが、その5~10万語を記載しているのが 「上級学習英英辞典」 です。だから、「上級学習英英辞典」の語彙=英語圏の現代人の語彙 と考えてもいいわけです。

「上級学習英英辞典」の見出し語は5万語前後でその他にイディオムやスラングなどが非常に多く記載されています。重要なのは見出し語彙だけではなくその他の語彙も必須であることは当然なのですが、語彙強化というと見出し語(単語)だけに注目しがちな人が多いことも否めません。あらゆる語彙・表現をおろそかにしないことが肝要で、そのことは日常的に読書をする人なら痛感しておられるはずです。

さて、今回言いたかったことは、「ひたすら暗記するしかない。どれだけやっても終わりがない」 ことは決してないということです。

追記:http://sanshisuimei.cocolog-nifty.com/_the_tower_of_antibabel/2006/03/post_21ed.html の記事もぜひ読まれたし。


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