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コメントにお答えする(5/2007)

mayu さんへ。

身に余るコメントをいただき面映ゆいかぎりです。

それでも、ストイックに取り組んでいることは確かです。そういう癖(へき)は若いころからありました。
ヨーロッパ中世の修道院でひたすら古典に沈潜し得た文人たちにひそかな憧憬の念を抱くことさえあります。

現代人なら池内恵(さとし)さん。 2006年4月26日の読売新聞に ― テレビのない家で育った。父はドイツ文学者の池内紀さん。あふれていたのが、文芸誌や総合雑誌の数々。群像、文学界、すばる、文芸春秋・・・・。毎月送られてくる雑誌の小説や論文を、小学5年のころから「全部読んで」生長した。古典や文学全集も片端から読み尽くした。J・S・ミル『自由論』やマックス・ウェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』を手に取ったのは、小学5年の時である。「テレビをみないので、すべての物事を言語化し、概念化する感覚が身についた。文学作品は感動するというより、文章の真髄に接するという感じでした」 ― という池内さんの自己紹介が載っています。

これまた憧れ、ただの俗物 ( philistine ) の憧れ! 

さて、独りよがりの余計な話はさておいて:

> 来年はぜひ1級にチャレンジしたい

賛成です。TOEIC800点はその好機を示していると思います。何かと批判のある英検ですが、そのためにする勉強には少なからず価値があります。無駄には決してならない。本格的に勉強するための礎石なります。

> 私の現在の獲得語彙数は約1万語

mayu さんの若さを勘案すると、将来がほんとうに楽しみです。

ご存知のように、イディオムその他のチャンク表現も、 (語彙テストになじまないし辞書の見出しにもならないためややもすると軽視されがちですが) 単語に劣らず大事ですから、しっかり習得したいものです。

> 私の英語学習の目的は主に、海外の書籍を原書で楽しみたい!

それに関連して、もう読まれたかもしれませんが、最近、行方昭夫著 『英文の読み方(岩波新書)』 が出版されました。みなさんにお勧めしたいおもしろい本です。「やさしいものをたくさん式の多読」と併行する「語彙の正確な理解に基づく徹底した精読」 の重要性を強調しています。

外国語学習に関しては、これも既読かもしれませんが、渡辺照宏著 『外国語の学び方(岩波新書)』 。外国語学習者にとってはまさに古典的存在でしょう。

もう1冊は、「英語学習」 とは離れますが、五嶋節著 『「天才」の育て方(講談社現代新書)』。外国語の勉強にも直接あるいは間接に関連する話しがたくさん出てきます。

> とりあえずPass単などの市販の単語帳を制覇した後に挑戦したいです!!

正解! 

> カードの作成と同時に音声ライブラリの作成(と繰り返しの精聴)が必要。音声ファイルを作成する場合、自分で声をふきこむと一石二鳥(発音と意味を言うだけでも一度は復習することになるため)。

まさにその通りでしょう。

ただ、私の場合は発音記号があれば完璧に発音できるので、臨機応変に声を出しています。もちろん、書くこともあります。 myalgic encephalomyelitis ( マイアルジックエンセファロマイアライティス=筋痛性脳脊髄炎) などは何度も何度も声を出したり書いたりして覚えました。

また、発音記号を見て発音しているつもりになるだけで脳は実際に音読したのと同じ反応 を (実際に声をだすより弱い反応ながら) 示すという実験結果が発表されていますから、声を出すと不都合な場合などはそのつもりになって文字を追うだけでも効果ありと言えます。私の経験上もそんな実感があります。

いずれにしても、音声を無視して語彙を覚えるなど暴挙です!

もちろん、手間暇を厭わないで音声ライブラリーを作成し利用できるなら 最高でしょう。

Happy learning !

Thank you.

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コメントにお答えする(4/2007)

えびおう さん、はじめまして。

コメントありがとうございました。

私の「塔」建設物語は、実に忍耐力を要する作業の記録ですから万人向きでは決してありませんが、英語学習に興味がある人には何かの参考になると思いますし、文字通り徹底して語彙強化をやってみたいという方にとってはかなりのインパクトがあるはずだと勝手に確信しています。

> ある程度具体的に各々の辞書名

Longman の辞書を例にとって辞書名を列記しておきます ( あくまでひとつの参考にすぎません )。

初級
『Longman Dictionary of American English』
( ネイティヴ・スピーカーで語彙が弱い小中学生のために編集された辞書 )
総語彙数 (見出し語だけではありません) 2万4000

中級
『Longman Dictionary of American English 』
(ネイティヴ・スピーカーの高校生~大学生のレヴェル)
総語彙数 (見出し語だけではありません) 5万2000

上級
『Longman Dictionary of Contemporary English』
(ネイティヴ・スピーカーの大学生~社会人のレヴェル)
総語彙数 (見出し語だけではありません) 10万6000

なお、上記の初級・中級・上級は日本人学習者のレヴェルではなくネイティヴ・スピーカーのだいたいのレヴェルで、他方、日本で市販されている語彙教材のたとえば上級レヴェルはネイティヴ・スピーカーの小学生~せいぜい中学生のレヴェルです。

また、語彙レヴェルは、小学生・中学生・高校生・大学生・社会人いずれの場合も、個々人でピンからキリまでほんとうにバラバラであることはご存知の通りです。

> 「ジュニアアンカー」か、「アクセス
アンカー」から

おそらく妥当な選択だろうと思います。

以上、とりあえず返答させていただきました。 

いろいろな辞書については他の記事でも詳説していますので、分かりづらくて恐縮ですが、ぜひお読みください。

Thank you.

k.y.

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チャールズ・ディケンズの語彙(25)

彼はインドへ行った with 彼の資金、 and そこで、 ~に依れば a当てにならない言い伝え in 我が家族、 彼は一度見られた 乗っている( ing ) on a象、 ~と一緒に aマントヒヒ; but 私は思う それは~だったに違いない a英国かぶれのインド人―or aイスラム教徒の貴婦人

He went to India with his capital ,and there, according to a wild legend in our family, he was once seen riding on an elephant, in company with a Baboon; but I think it must have been a Baboo―or a Begum.

彼は、その金を持ってインドへ行き、そこで、我が家の当てにならない言い伝えに依れば、マントヒヒ(バブーン)を連れて象に乗っているところを目撃されている。 しかし、私は、連れていたのは英国かぶれのインド人(バブー)かイスラム教徒のイ貴婦人(ビーガム)だったに違いないと思っている。

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baboon
a large monkey that lives in Africa and South Asia

begum
a title of respect, used for married Muslim women, especially of high rank

( LDOCE )

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babu also baboo

1. used as a Hindi courtesy title for a man, equivalent to Mr. 2. a. A Hindi clerk who is literate in English b. offensive. A native of India who has acquired some superficial education in English

( The American Heritage Dictionary of The English Language )

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英語の語彙:雑談(46)

上から読んでも下から読んでも同じ音になる文句がある。

そんな文句を 「回文(かいぶん)」という。

たとえば、「たけやぶやけた(竹藪焼けた)」というような文句。

英語でも 「回文」  = palindrome がある。

たとえば、eye / Madam, I'm Adam / deed / level / refer ...

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palindrome の語源 (LDOCEより・太字 k.y.)

Date: 1600 - 1700

Language: Greek

Origin: palindromos, from palin ' back, again ' + dramein ' to run '

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『ニューズウィーク日本版・2007 - 4・25 号』 の記事に対するコメント(4)

「成人の語彙蓄積」 で言及した 『ニューズウィーク日本版・2007 - 4・25 号 特集 「英会話の科学」 』 の 記事「7つのコツで語彙力アップ」 の記事に ― 英語圏に住み、会話や読書を通してボキャブラリーを自然に増やせば理想的。だが日本のような環境では、単語帳などを使った意図的な学習と組み合わせるほうが効率がいいことが、多くの研究で明らかになっている ― という記述があります。

ここでも相変わらずの誤解が気になります。「英語圏に住み、会話や読書を通してボキャブラリーを自然に増やせば理想的」 という部分です。いつまでこんな陳腐なデタラメがまかりとおるのでしょうか?

英語圏に住んで語彙数がせめて2万語程度まで自然に増えた人がいますか? そんな人はだれもいません。 自然に増えるわけがない! 

ネイティヴ・スピーカーであっても、そのせめて2万語語のレヴェルまで自然に到達するという事実はまったくない。

なるほど、ネイティヴ・スピーカーであれば小学校に入学するころには自然につまり意図的な学習なしに1万語を超える語彙数に到達しています。

しかし、それからせめて2万語から さらに3~4~5~10万語に達するには教育を受ける必要があります。意図的に本を読み学校のテストのために勉強し先生に指導されなどしながら語彙を蓄積していくわけで自然に放置したら2万語にすら達しない。

学校で落ちこぼれた人でも何とか2万語程度の語彙まで習得できるのは教育のあるいは教育に触発された学習意欲のたまものです。

語彙が大人のレヴェルまで自然に増えるという事実はどこにもない。

ネイティヴ・スピーカーであれば日常生活で使われる1万語前後の語彙は自然に習得します。ただし、自然に増えるのはそこまで。 しかも、そのレヴェルまで到達するまでに、1万5000~2万時間終始英語を聞いたりしゃべったりしているという厳然たる事実があります。

もうひとつ看過できないのは、その1万語ぐらいの語彙を土台にして始めて小学校入学以後の語彙強化が可能になるということです。 1万語ぐらいの語彙を前提にして教育を受け文字を覚え本を読むようになって語彙がどんどん強化されていく。

普通の日本人はいくら英語の語彙力がありますか? 1万語のレヴェルに達している人さえそんなに存在しない。

たいていは数千語のレヴェルです。

そんな状態で英語圏に住んでも、どう考えても自然に語彙が増えることなどあり得ない。 

このことをしっかり認識しない限り、いつまでたっても語彙強化の迷走が続くことになります。

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英語の語彙:雑談(45)

naturalistnaturist の違い

 綴りが違う

 発音が違う  便宜上 (実際の発音とはかなり異なるが) カタカナ表記にすると naturalist は ナチュラリスト、 naturist はネイチャリスト

 意味が違う

naturalist

研究社新英和大辞典

1 博物学者; (特に)生物学者 (biologist).  http://www.rbnc.org/interntop.jpg

2 a 《英》 愛玩動物商人, 小鳥商人.

b 剥製(はくせい)師 (taxidermist).

3 【哲学・文芸】 自然主義者.

4 【神学】 自然論者.

Longman Dictionary of Contemporary English

someone who studies plants or animals

naturist

研究社新英和大辞典

1 (宗教上の)自然主義者.

2 自然崇拝者.

3 =nudist.
http://images.google.co.jp/imgres?imgurl=http://www.rutarlido.at/fotos/niederlande1.gif&imgrefurl=http://www.rutarlido.at/english1.htm&h=393&w=270&sz=76&hl=ja&start=34&tbnid=EBVps21BQtlVPM:&tbnh=124&tbnw=85&prev=/images%3Fq%3Dnaturist%26start%3D20%26gbv%3D2%26ndsp%3D20%26svnum%3D10%26hl%3Dja%26sa%3DN

Longman Dictionary of Contemporary English

someone who enjoys not wearing any clothes because they believe it is natural and healthy to do this [= nudist]

上記のロングマン・上級学習英英辞典によれば、naturalist は 博物学者 で naririst は ヌーディスト(裸体主義者) ということになる。 つまり、博物学者と裸体主義者が現代英語では代表的な意味であることが分かる。

ちなみに、『ロングマン英和辞典』 によると、naturalist は 1 博物学者 2 (美術・文学における)自然主義 の2つを、 naturist は 裸体主義者 のみを語義としている。

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『ニューズウィーク日本版・2007 - 4・25 号』 の記事に対するコメント(3)

「ひたすら暗記するしかない。どれだけやっても終わりがない。語彙の学習には、単調で非生産的なイメージがつきまとう」 

みなさんは 「語彙の学習は、単調で非生産的である」 と思いますか?

今回はこの点に焦点をあてます。

なるほど、たとえば 「塔」 のカード作成にわくわくするような心のときめきを覚える人は皆無でしょう。 地味な作業です。 あくまでもコツコツコツコツと続ける他ありません。

しかし、単調で非生産的な作業かと聞かれたら 「そんなことはない」 と断定できます。

(塔を完成した今となってはなつかしい思い出ですが) ときにはくじけそうになることもある。 逃げたくなる。 そんなときでもPCの前に座って作業を始めるとちゃんと脳が機能を開始する! 

たとえば、masquerade という語彙・その例文・語義説明を 『Cambridge Advanced Learner's Dictionary 』 からカードに転記する作業。

まず左側ページ。 1345 という整理番号を書いてその横に masquerade と赤字で書き入れ、可算・不加算の両名詞として使えることを示す [ C / U ] の記号も添えておく。 次に、その下の行に、例文の They kept up the masquerade of being happily married for over thirty years. を転記し ターゲット語彙の masquerade は緑で印字する。 最後に、今度は右側ページ。再度 [ C / U ] の記号を冒頭に記入してから、behaviour that is intended to prevent the truth about something unpleasant or not desirable from becoming known という語義説明を転記し、その後に 「みせかけ」 と日本語で印字する。

この作業が 「単調で非生産的」 かと聞かれたら 「そんなことはない」 と断定できます。

結婚して30年は超える。幸せな結婚ではなかった。しかし、精一杯幸せなふりをしてきた。人に不幸せだと思われたくなかった。幸せなふりをしてmasquerade をつくろってきた

私は単調な作業をどこまでも効率よくこなせる機械ではない。 私の脳は、masquerade という語彙を転記しながら,
活発に活動する。 

私も結婚して優に30年はたつ。今はまことに平安に暮らしている。 しかし、その間、時には嵐が吹き荒(すさ)ぶこともあった。そんなときはやっぱり外では masquerade (本来の意味は仮面[仮装]舞踏会) を演じることもあった。

そんなことや、確か 『 The Da Vinci Code』 にあった生々しい仮面[仮装]劇の場面とかいろいろなことが思い浮かぶ。 日本の 「能楽」 のことも・・・

something unpleasant or not desirable from becoming known ・・・

人は単純そうに思える作業でも実は単調に完遂できる生物ではない。

ましてや、「塔」 の建設は「語彙」 が相手の作業です。

語彙を前にしていろいろ考えるなと言っても無理なこと

そもそも、語彙は思考や感情を惹起する記号だからです。

『AERA English 2007 June』  ― 「科学的単語力増強法」 が特集 ― の記事にも書いてあるように、英語のネイティヴ・スピーカーの間でも 「語彙力=知的能力」 というのは暗黙の了解事項で、大人の語彙増強意欲も高く、多様な教材も出版されている。

これは、日本語でももちろん同じ。

語彙増強に対して単調で非生産的なイメージを抱いている人はちゃんとした語彙増強をしたことがない人ですよ

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