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ホモ・コルプスと各人の語彙強化

私は、英語の本を日本語の本と同じように読めるようになってはじめて十分な認識語彙の水準に達していると判断します。

ただし、十分な認識語彙の水準とは未知語彙が皆無になる水準ではありません。 そんなことは不可能です。

だから、十分な認識語彙の水準とは、換言すれば、「英語で未知語彙に遭遇する頻度が日本語で未知語彙に遭遇する頻度と等しくなる水準」のことです。

ところで、日本語の語彙水準は各人各様だから、日本人が日本語で未知語彙に遭遇する頻度も各人各様です。

私たちが 「英語の必要語彙数」 の議論をすると、混乱したり収拾がつかなくなったりすることが多い。

その原因は、各人の日本語の語彙水準が各様だからです。 

人は、日本語でも知らない語彙を英語で知る必要があるとは普通は考えません。 

だから、各人各様の日本語・語彙水準の人たちが 「英語の必要語彙数」 を論じ合うと必ず混乱します。「そんなマニアックな語彙まで覚える必要はない!」 と言う人もいれば、「そんな語彙はマニアックでもなんでもなくて普通に必要な語彙だ」 と言う人もいます。

つまり、そんな議論は不毛なのです。 不必要な議論なのです。 私はそういう風に考えるようになりました。

各人各様、自分の日本語水準に応じた英語の語彙水準を目指せばよい。他の人と議論することではない。そんな議論は必然的にかみ合わなくなる。

他方、「あらゆる普通の活字媒体を読みこなすのに必要な語彙数各人各様の語彙水準とは無関係にほぼ決まっていて、それは、ホモ・コルプスの語彙数です

そして、「あらゆる普通の活字媒体を読みこなすのに必要な語彙数ホモ・コルプスの語彙数」 は決まっているが、その具体的な数字に関しては、これまた議論がかみ合いません。 何を1語として数えるかによって数字がまったく違ってくるからで、定説もありません。 

しかし、ここでもまたそんな議論は不要です。

再三述べていますようにホモ・コルプスの語彙=「上級学習(英英)辞典」 の語彙なわけですから、とにかく「上級学習(英英)辞典」 に掲載されている語彙を覚えたらいいだけです。不毛な議論に参加している暇があるなら1語でもさっさと覚えた方がはやい! それでも気になるのであれば「約 5~10万語(数え方によって異なる)」 だと了解しておけば大過はない。 

「上級学習(英英)辞典」 を無視して自分で活字媒体を読みながら必要語彙をピックアップして覚えていこうとする人も非常に多い。 しかしそんなやり方ではまことに効率が悪くておそらく生涯かかってもホモ・コルプスになれない。 (そんなものなりたくもない!と思う人がほとんどであることは知っていますが) なりたくてもなれない!

言葉のプロフェッショナルたちが現代英語のコーパスに拠り統計的合理的に処理して必要語彙のみを選択記述した「学習辞典」 を超える語彙集を素人の各人が独りで作成できるとは到底思えません。

したがって、「ホモ・コルプスほどの語彙は私は要らない」 という人でも、語彙の取捨選択は 「上級学習(英英)辞典」 から行うのが最も効率のよいやりかたでしょう。

「アンチ・バベルの塔」 以外の方法 ( 他に実証済みの方法があればぜひ教えてください!)を知らない私は、そう思い込んでいます。

時間がない人は、ホモ・コルプスを究極の目標にして、徐々に階段を登るのが現実的で賢明な策でしょう。 そうすれば、究極の目標にははるかに及ばなくても、自分の位置を見失うことはありません。迷子になってうろうろし続けることはありません。少しでも正しい方向に前進することは可能です。

ちなみに、ホモ・コルプスを超える水準の語彙獲得に踏み込むのは趣味で語彙パズルに熱中するようなそれこそ語彙マニアと称されるべき人たちで塔主などとは無縁の人たちです。

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どれか一冊暗記用の辞書を勧めるとしたら

まず、あくまでも参考のために、3冊掲げておきます。

1 『ニューヴィクトリーアンカー英和辞典

だれがみたってこの辞書に不要な語彙などありません。

この辞書を全部覚えたら、日本人としては、稀な語彙力の持ち主になります。

ただし、ネイティヴ・スピーカーなら小学生から読む 『リーダーズ・ダイジェスト』 を、辞書なしで読めないことはありませんが、スラスラ読めるわけではありません。

2 『Random House Webster's Intermediate English Dictionary

私が思うに、この辞書にも不要な語彙などありません。

この辞書自身が、何度か指摘しましたように、その掲載語彙のことを 「the most common words and pharases in the English language」 だと明言しています。「the most common words 」 とは、換言すれば、「だれでも知っているごく普通の語彙 」 という意味です。

この辞書を全部覚えたら 『リーダーズ・ダイジェスト』 をほぼスラスラ読めます。

3 『Longman Dictionary of American English

私はこの辞書にも不要な語彙は全くないと思いますが、なかには異見を唱える人ももいるでしょう。

この辞書を全部覚えたら 『リーダーズ・ダイジェスト』 をスラスラ、またたとえば 『Time』 の記事も、記事によりますが、ほぼスラスラ読めます。

ここまでの1~3のいずれかのレヴェルで十分だと考える人がほとんどでしょう。

覚えるのに必要な年数は、個人差が大きいが、2~5~10年。 巨きな価値のあるプロジェクトであることは言わずと知れたこと。

さらに、現代英語でかかれたものである限り、どんな雑誌や小説でも英語であることを意識さえしないくらいに読みたい人は、 『上級学習英英辞典』 のどれか好みの1冊を全部覚える。

それ以上を求めると a vocabulary guru語彙マニア) の ― 「いわゆる不必要な」 / 趣味の / あるいは専門家の ― 世界に踏み込むことになるでしょう。

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語彙強化に関する発想の転換

英語にまじめに取り組むつもりなら、文法・構文及び音声そして日常会話 (いわゆる英会話) に関する限り、学習教材や手段は完璧にそろっています。 

そのためにわざわざ留学などする必要はさらさらない。 そんな時間やお金の浪費は実にもったいない!

留学は、英語はマスターした後で、英語で何かを学ぶためにあるいは英語で何かのスキルを身につけるためにするのが得策でしょう。

さて、語彙の強化

このための学習教材や手段が完璧にそろっていると思う人は稀です。 みなさん、熱心な人ほど、語彙強化はきりがないと感じている。市販の教材をあれこれ試してみてもとてもじゃないが満足できるレヴェルには達しない。 いつまでたっても、語彙不足のために、英語の本を日本語の本のようには読めない。 辞書なしではまともに理解できない。 永遠に、 「やさしいものをたくさん」 読み続ける人もいる。

そんな手詰まり感を払拭するためには、語彙強化に関する発想の転換が必要です。

1 まず、「語彙強化なら語彙強化教材」 という発想を捨てて、「語彙強化なら学習辞書」 という発想に転換すること。 実際、学習辞書を超える語彙強化教材はない。 宝の山(CD-ROMも含む)です! ほとんどの人が気づいていないだけです。

2 次に、数ヶ月や1年ぐらいで満足な語彙強化ができるという実は幻想に過ぎない発想を捨てて、ましてや「ある14の英単語に含まれている34の word parts の意味を学習することで、14000以上の英単語の意味を推測する手がかりが得られる ( 3ヶ月トピック英会話2007年7月号の記事より )」 などいうとんでもない研究とやらは当然信じないようにして(34のパーツで14000語の意味がわかる日本人など、そんな研究を紹介している人も含めて、誰もいませんよ!!!)、真の語彙強化には年単位の時間が必要であるという発想に転換すること。 毎日10時間内外英語に接しているネイティヴ・スピーカーでさえ成人の語彙レヴェルに達するのに20数年かかるのです。

市販の単・熟語教材をそれこそ早急に卒業して、上記の2つの発想の転換を果たし、 「学習辞書」  ― その内あるいは実力に応じて最初から 「学習英英辞典」 ― を暗記するようになれば、それに打ち込むようになれば、「語呂合わせ(弊害が無く便利なときのみ利用)」や「聴覚に訴える方法」や「視覚に訴える方法」や「書いてみること」や「しっかり声を出すこと」や「特に意識しなくても辞書に書いてある語源の利用」や「図を添付すること」や「英英の説明と和訳を併記すること」などなどなど・・・・は Googleの利用などインターネットの活用や日程・時間配分も含めて、どんどん有効な方法を工夫している自分に気づくでしょう。 それこそ独自の方法(=最強の方法) の誕生です。 

辞書を、たとえば 『ジーニアスG4』 を、ときどき読むだけでも、市販の語彙強化教材ばかりをこなしているよりはるかに有意義であることを痛感しますよ。

旧来の発想を転換して、「学習辞書」 と 「年単位の暗記・復習計画」に目覚めること。 そうすれば、「やさしいものをたくさん症候群」 を克服することができます。大人の知性にふさわしい読書が可能になります!

Happy learning !


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語彙強化の究極目標と知的正直(2)

前回に、「英語の認識語彙レヴェルを自分の日本語の認識語彙レヴェルに近づけること上級学習(英英)辞典を暗記すること」 が語彙強化の究極目標だと書きました。

ところで、私は、以前に「真の語彙強化(3)」 という記事を書きました(下記参照)。

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真の語彙強化(3)

「アンチ・バベルの塔」 でいうネイティヴ・スピーカーとは 「コーパス人」 あるいは 「ホモ・コルプス」 のこと。

前回に、「生身の人間を念頭に置く限り、語彙力強化の基準にできるようなネイティヴ・スピーカーは存在しないことになります。しかし、それでは 「アンチ・バベルの塔」 の建設が不可能になってしまいます。 問題の突破口を見つけなければなりません」 と書きました。

「問題の突破口」 とは 「過不足ない語彙を持つ人」 を仮定することです。 

生身のネイティヴ・スピーカーの語彙は各人バラバラでどの人の語彙も私たちの語彙強化の目標にはなりえないから、 「過不足ない語彙を持つ架空の人」 を1種の理念型として想定するわけです。

理念型と言えば、ご存知の方も多いでしょうが、元来はイデアルティプス ( idealtypus ) の訳語です。

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イデアルティプス Idealtypus <理念型> もしくは <理想型> と訳される。 ドイツの社会科学者マックス・ヴェーバーが社会科学で用いられる諸概念の特質をいいあらわすために提唱した言葉である。ヴェーバーによれば、経験的にあたえられる現実態は無限に多種多様であるから、これを社会学的に認識しようとする場合には、どうしても、研究者が自己の関心をもつ一定の観点 (認識理念 ) にもとづき、これに関係ある側面だけを思考によって抽象し、そこにまとまった一つの意味をもつ思想像をつくり、この思想像を用いて現実態の理解をすすめてゆくほか仕方がない。このようにしてつくられた思想像がイデアル・ティプスである。たとえば、経済史などで用いられる <都市経済> という概念をとってみれば、それは、観察された歴史上のすべての都市のうち、あるところには多く、あるところには少なく、ところによっては全くないというように散在する個々の現象を、まとまった一つの意味をもつ思想像に結合するところに成立する一つのイデアル・ティプスである。ヴェーバーが社会科学の研究をすすめる上に用いた諸概念、たとえば資本主義、伝統主義、カルヴィニズムなどは、すべてイディアル・ティプスである。自然科学の研究で用いられる諸概念が現実態の一般的法則的な側面を抽象してつくられるのにたいして、イデアル・ティプスは現実態の個性的な側面を純粋に表明するためにつくられるという点に特徴がある。

『世界大百科辞典 (平凡社 1955年版)』 より引用

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私は、「アンチ・バベルの塔」 を体現する理念型を 「コーパス人」 と命名することにします。

英語では 不可算名詞の Corpus Man ラテン語風にして Homo corpus = ホモ・コルプス としておきましょう。

冗談ですが、ホモ・コルプスの始祖が私です。

(以上、1部変更)

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つまり、語彙強化の究極目標はホモ・コルプスになることです。

そして、ホモ・コルプスになるためには、コーパス準拠の必要語彙をごまかさずに妥協せずに全部覚えること、つまり知的に正直であることが必要です。

知的に正直でない限り、いつまでたっても大人の読書が可能になりません。

渡部昇一著 『知的生活の方法』 のジャケットには ― 英語には、「知的正直(インテレクチュアル・オネスティー)」 という言葉がある。知的正直というのは簡単に言えば、わからないのにわかったふりをしない、ということにつきるのである。ほんとうにわかったつもりでいたのに、それがまちがいだった、ということはある。それはあてずっぽうのまちがいとは違うから、そういうまちがいなら、まちがうたびに確実に進歩する。しかし傍(はた)から見ていたのでは、あてずっぽうでまちがえたのか、ほんとうにそうだと確信しながらまちがったのか、その辺の区別はつかないのである。そこで「己に対して忠実なれ」という、シェイクスピアの忠告が生きてくるのである ― と書いてあります。

ホモ・コルプスの特性は知的に正直であろうとすることです。

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語彙強化の究極目標と知的正直(1)

私は「アンチ・バベルの塔」にたどりつく過程でだんだん語彙強化の目標を明確に自覚するようになりました。

その背景には、現代英語の必要語彙を ― 英語の非ネイティヴ・スピーカーのために ― プロが統計的に精査・選別して編纂したコーパス学習辞典の出現がありました。

そして、「英語の認識語彙レヴェルを自分の日本語の認識語彙レヴェルに近づけること上級学習(英英)辞典を暗記すること」 が語彙強化の究極目標になったわけです。

その目標は、私にとって、「日本語で読書するのと同様に英語で読書できるようになること」でもありました。

「塔」の完成によって上記の目標 (=真に役立つ語彙強化) は達成されました。

他の語彙強化法と比較した場合の「塔」の意義のひとつは、真に役立つ語彙強化を究極の目標に掲げたことだと思います。

私は、大学受験や各種資格試験のための語彙強化は真の語彙強化だとは考えない。

なぜか?

真には役立たないからです。

子供用の、あるいは非ネイティヴ・スピーカー用に加工された、英文しか読めない。「やさしいものをたくさん式読書」 は必要不可欠です。しかし、それしかできない。生涯それしかできない!

各種の資格試験に合格しても、日本語ではスラスラ読める本を英語では読めない。辞書がないと読めない。

私は、そんな語彙強化は真に役立つ語彙強化だとは考えません。

もちろん、一足飛びに真の語彙強化を行うことはできない。

段階を順に登るのが現実的です。

たとえば ― 当面必要なら資格試験用単・熟語集などもやりながら、下記のような順番 (まったくの1例に過ぎません。各自の現在の能力その他の条件に応じて調整されたし!) で、2~5~15~20年のスパンを考慮において ― :

1 『ジュニア・アンカー英和辞典(760ページ)』
2 『Longman Study Dictionary of American English (782ページ)』
3 『ニューヴィクトリーアンカー英和辞典 (1695ページ)』
4 『Longman Dictionary of American English (1055ページ)』
5 『Longman Dictionary of Contemporary English (2081ページ)』

ちなみに、ネイティヴ・スピーカーでも3~4レヴェルあるいはそれ以下の人たちが多くいてそれなりの読書を楽しむ人もいます。だから、3~4のレヴェルで終了にしても、ご本人が納得であれば、何も問題はありません。そもそも、語彙力など人と比較して論じるべきものではないし、読書などにまったく興味がない人もおられる。

他方で、本や雑誌も多種多様であることも事実です。もしどんな読み物でも日本語と同じように読みたいのであれば5まで登らないと生涯不満が残るでしょう。

5までせめて3や4までは登りたい。しかし、いろいろな事情で登れない人は非常に多い。それは仕方ないと思います。そういう人の場合は次善の策としてできるだけ辞書を引いたり読んだりしたらいい。かなり効果があります。

いずれにしても、自分の要求レヴェルを素直に認めることごまかさないこと。 

まともに考えれば明らかに過小だと分かる語彙数を掲げて 「○○語で十分」 とか 「究極の英単語」 などと宣伝するあるいは勘違いしているメッセージを信じないこと。

自分で不満を感じる語彙数ならそれは誰が何と言おうと過小な語彙数です

ごまかさない限り知的に正直である限り、少しずつでも勉強するでしょうし、そうすればいくらかでも確かな成果があがります。

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若いときはよく覚えられたのに!と嘆いているひとたちへ

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(2007年6月4日・日経夕刊の記事より)

世の中にはすごい人がおられるものです。

普通の人なら100歳ともなれば歩いているだけで注目されるところですが、この方 ― 教育学者・昇地三郎さん(100歳) ― は「行動する百歳児」。

ここ数年 ”世界一周講演旅行” を続けておられて、「この秋からも中国やロシア、欧州、中南米の各国への講演行脚を計画、その準備に余念がない」 し、また、私財で開設した障害児のための通園施設「しいのみ学園」の園長を続けること半世紀以上!

子どもたちと話すため、講演するため、学問のためなどに習得した外国語は、英語、ドイツ語、中国語、ハングル。

目下、ロシア訪問に備えてネイティヴ・スピーカー(九州大学へ留学中の女子学生)から 「百の手習い」 でロシア語の個人教授を受けておられる。

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英語の勉強に限ってみても、肝心なことは 「うまずたゆまず努力すること」 だと思います。

3日坊主は言わずもがな数ヶ月や1年くらいで嫌になることなしに5~10~15年計画で取り組めば雄大な地平が開けてくる。 

英検1級だのTOEIC950点だのは通過目標にして、最終的にはもっと楽しくて役に立つ実力の養成を目標にしましょう。

そういう希望だけでも持ち続けましょう。

徐々にコツコツとあせらずに

気がつけば100歳!?

Happy learning.

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