« 語彙強化の究極目標と知的正直(3) | Main | 「塔」でカードに記載する語彙の選択について(1) »

「学習(英英)辞典」を暗記することが最善の語彙強化法である理由・続

前回に、「学習(英英)辞典」を暗記することが最善の語彙強化法である理由として: 

1 覚えるべき語彙数が限定されていて「いくら覚えてもきりがないという焦燥感」から開放されること

2 1 にいう 「覚えるべき語彙数」 に含まれる語彙の記述が、コーパスの活用に依るものであるため、実際に役立つ定義であること

3 市販の語彙集に比較して各語彙の記述の信頼性が格段に高いこと

とい3つの点をまず指摘しておきました。

換言すれば、「学習(英英)辞典」を暗記すること」 が語彙強化のダントツに安全・確実で効率的な方法だということです。

「いわゆる多読」 による語彙強化 (私は5000語を越えるあたりからほとんど効果がなくなると思いますが) などとは比較にならない効率を発揮します。

「学習(英英)辞典」 は ― 専門や趣味にかかわる語彙及び業界用語などは除いて ― 無限に広がる語彙の大海の中から普通の人が普通に話をしたりものを読んだり聞いたりするさいに必要にして十分な語彙をプロチームが客観的に取捨選択して正確に編纂・記述した、英語学習用のみならず暗記の対象としても、最高水準の語彙集です 。

私たち個人が 「学習(英英)辞典」 に匹敵する質・量の語彙を膨大な語彙の海から自分で取捨選択して必要十分な語彙集を作成することなど ― だれが考えても ― 不可能です

いったい、「学習(英英)辞典」 の編纂者たちが掲載語彙渉猟の対象とする語彙の大海とはどれほどすごいヴォリュームを備えたものなのか?

Alvin & Heidi 著 『 Revolutionary Wealth 』 に ― ・・・ " the average American spends 3304 hours per year with one or another kind of media. " Some 1578 hours are spent watching TV, another 12 in front of movie screens - which adds up to about 11million words. Another 354 hours are devoted to newspapers, magazines and books ・・・ The result ・・・ is that " in 70 years of life you would be expected to around six gigabytes of ASCII. " ・・・(省略は k.y.) ― という1節があって、米国のコンピュータ科学者・Michael E. Lesk 氏の調査結果の一端が紹介されています。

平均的なアメリカ人は、1年間で、3304時間何かのメディアに接している。

その内、TVを 1578時間 (毎日4時間超 ) 映画を12時間見て1100万語の語彙に接し、新聞・雑誌・本を 354時間 (毎日約1時間) 読んで (ネイティヴ・スピーカーの平均読書スピードは毎分200~250語だから ) 約500万語の語彙に接する。

つまり、平均的なアメリカ人がテレビや読み物で年間に接する語彙数は1600万語に達する。

これを1冊400ページ ( 1ページ400字 ) のペーパーバックに換算すると約100冊分の語彙数に匹敵する。

他方、「学習(英英)辞典」 が依拠するコーパスは広範な分野にわたる3億5000万語前後の語彙数をカヴァーしている。 

これは、Lesk 氏の調査に基づくと、平均的なアメリカ人がおよそ22年かけてテレビや読みもので接する語彙数に相当する。

非ネイティヴ・スピーカーで素人の日本人が、しかも各自独力で、こんな語彙の宇宙から必要十分な語彙を取捨選択して語彙集を作成することなどできるわけがない。 

だから、「学習(英英)辞典」 (またはそれに準じるもの) の語彙をすべて覚えるのが、最も安全確実で効率も極めて高い語彙強化法であることはだれも否定できないでしょう。

たとえそのために2~5~15年人によっては20年かかっても、効率が悪いとは決して言えないと思います。

そして、「学習(英英)辞典」 にさえ不要な語彙があると思うなら、自己責任で、そんな語彙は無視すればよい。 

話しは変わりますが、上記の Lesk 氏の調査結果はおもしろいですね。 日本人の場合も実体はさほど変わらないでしょう。 

人生70年として、テレビや読みものを通じてペーパーバック換算で7000冊に匹敵する語彙に接し、10万時間超もテレビを見る! 何語を問わずネイティヴ・スピーカーの語彙活動は、やっぱり、桁違い!

さて、そのテレビですが、4時間を1時間にして残りの3時間を他の活動に充当するとしたら、10年間で何と1万時間を越える! 

その1万時間があれば、たとえ 「上級学習英英辞典」 は無理でも、 『Longman Dictionary of American English (約1000ページ)』 の「塔」 は立派に建設可能です。

私の妄想でしょうか?

|

« 語彙強化の究極目標と知的正直(3) | Main | 「塔」でカードに記載する語彙の選択について(1) »

Comments

いつものことながらk.y.さんの説得力とそれを裏付ける情報の収集力には敬服いたします。テレビの視聴時間を4時間から1時間へ減らして、残り3時間を英語学習に充てることができたら…。本当にその通りだと思います。時間への意識は非常に重要な視点だと思います。

私事ですが、今から4年ほど前に廃棄して、テレビのない生活を送っています。英語学習の時間を増やしたかったからです。テレビ視聴に消えていた時間は読書等に取って代わり、われながら知的に充実した日々を過ごせるようになったと思っています。でも肝心の英語学習はあまり増えていないような…。

Posted by: cosa | July 12, 2007 at 02:28 AM

cosa さん、こんにちは。

> 時間への意識は非常に重要な視点だと思います。

まさにおっしゃるとおりなんですが、一般には事実上無視されている視点でしょう。

ほとんどの英語学習法の本その他は「効率」だけを追求して「必要学習時間」への言及がありません。

これは、「学習すべき質・量」の認識の欠如のためだと思います。

「効率」を求めるのは当然として、どれだけのことを学習すればどれだけ有効なのかという議論がないのです。

たとえば、必要十分な認識語彙の質・量は「上級学習(英英)辞典」の質・量です。

そして、その必要十分な認識語彙を獲得するのに必要な時間数は、個人差が大きいのですが、通常は1万時間を越えるでしょう。

「他にすべきこと楽しみたいことがいっぱいあるのに1万時間も語彙学習に割く価値はない」と言う立場もあります。

それはそれでりっぱな見識です。

しかし、1万時間なら○○、8000時間なら○○、5000時間なら○○、3000時間なら○○、1000時間なら○○というような時間意識がなければ、いつまでたっても進歩しないまま行きつ戻りつうろうろするだけになってしまいます。

Thank you.

Posted by: k.y. | July 16, 2007 at 12:33 PM

k.y.さん、レスをありがとうございます。
学習時間という視点についてですが、
CELソリューションズという英語学校で
英検準1級レベルから英検1級レベル到達まで
2,000時間かかると聞いて衝撃を受けた覚えがあります。
そのときは英語の勉強方法を模索していた時期でしたから、
学習「時間」に対する意識がまったくありませんでした。
学習時間や語彙数を意識して英語学習に取り組んでいきたいです。

またの更新を楽しみにしております。
これからもぜひ参考にさせてください。

Posted by: cosa | July 17, 2007 at 01:20 AM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/47849/15727307

Listed below are links to weblogs that reference 「学習(英英)辞典」を暗記することが最善の語彙強化法である理由・続:

» 英語の人気情報商材もあります! [在宅ビジネスのすすめ]
アフィリエイト及び外国語に関する人気情報商材を紹介しています。内容を確認したものやレビューサイトで比較的高い評価を受けている情報です。 [Read More]

Tracked on July 12, 2007 at 11:28 AM

« 語彙強化の究極目標と知的正直(3) | Main | 「塔」でカードに記載する語彙の選択について(1) »