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アンチ・バベルの塔の基本思想(1)

「塔」 を支えるいくつかの基本思想があります。

1 英語のネイティヴ・スピーカーは、あらゆる言語のネイティヴ・スピーカーと同様、無限の語彙を持っているわけではない

2 英語のネイティヴ・スピーカーの語彙数は、通常は、上級学習(英英)辞典の収録語彙数 (5万超) を超えることがない。 

なお、この語彙数に関して細かい議論をする意味はないと考えている。 何を1語と計算するのかについて確定した基準が皆無だからである。 

英語のネイティヴ・スピーカーの語彙数は上級学習(英英)辞典の収録語彙数 (5万~10万) を超えることがない」 という認識だけで実際上何の不都合もないし事実にもほぼ合致する。 どうしても気になる人は、上級学習英英辞典の見出し語と太字で印字された語彙のすべてをひとつひとつ数えたらいい。 

また、このブログにおいて、「ネイティヴ・スピーカーの標準的な語彙数は5万語ぐらいである」 などということもあるが、その場合も趣旨は上記の記述と同じである。

さらに、個々のネイティヴ・スピーカーの語彙数を念頭においているわけでもない。 彼らの語彙数は実にバラバラだからである。 

3 語彙とは単に単語だけではなくイディオムやスラングやその他すべてのチャンク表現も含むものとする。 どんな表現も同様に重要だからである。

4 英語の十分な語彙とは 「日本語の本を読むのと同様に英語の本が読める語彙」 のことであり、それはつまり上級学習(英英)辞典の語彙である

5 大量の語彙暗記は意識的でなければ不可能であり、カードの利用が最善の方法のひとつである。 いわゆる多読は情報収集や娯楽などのためであり、語彙獲得の手段とするにはあまりにも効率が悪く、獲得できる語彙数も極めて少なくなる。

6 大量の語彙を維持するためには半永久的な(習熟すれば毎日の復習時間は 30分前後 の )復習 が必要である

これは 「ネイティヴ・スピーカー (アメリカ人の場合) は平均すると1年間で、3304時間何かのメディアに接していて、その内、TVを 1578時間 (毎日4時間超 ) 映画を12時間見て1100万語の語彙に接し、新聞・雑誌・本を 354時間 (毎日約1時間) 読んで (ネイティヴ・スピーカーの平均読書スピードは毎分200~250語だから ) 約500万語の語彙に接する。つまり、テレビや読み物で年間に接する語彙数は1600万語に達する。 これを1冊400ページ ( 1ページ400字 ) のペーパーバックに換算すると約100冊分の語彙数に匹敵する。また、1日に話す単語数はだいたい1万6000語(ペーパーバックで40ページ)に及んでいる」 という事実を見ても当然なことである。

7  十分なあるいは本格的な語彙の獲得には、人によって、数年~5年~10年~20年かかるのが実際である。 

これは、6 に述べたような言語環境にあるネイティヴ・スピーカーでも5万超の語彙を獲得するのに20年を超える年月を要することを考えても納得できることである。 

ただし、「母語である日本語の場合未知語彙の習得 = 未知概念の既知化になる。 他方、 外国語である英語の場合未知語彙の習得 = 既知概念の英語化になる。ここに、母語の語彙獲得と英語の語彙獲得の大きな違いがある。 いちいち概念の理解から学ぶ必要がないから、語彙蓄積のスピードが速くなる。 

だから、少なくとも認識語彙に関しては、ネイティヴ・スピーカーの数分の1のスピードで英語の語彙を蓄積できる」 という有利な事情もあるので、人によっては、必要年数を大幅に縮小できる。

8 だれでも十分な語彙をつまり上級学習(英英)辞典の収録語彙をすべて覚えるべきであるなどとはハナから考えていないが、十分な語彙とは上級(英英)学習辞典レヴェルの語彙であることは事実である。 

そんなことをするのはバカげていると思ったり時間がなかったり何の価値もないと考えたり他にするべきことがいっぱいあったりする人のほうがむしろ圧倒的に多い。

「塔」 は、奇異に感じる人たちもたくさんいて当然だし、価値観に優劣は絶対にないし、他人に強く薦められるような気楽なプロジェクトでもない。

しかし、十分な語彙とは上級(英英)学習辞典レヴェルの語彙であるという事実を認めることは、英語学習をする上で、欠かせない前提条件だと思う。

そして、十分な語彙レヴェルに接近すればするほどおもしろくなることも確かである。

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