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暗記法と復習 (1)

従来の暗記法の利点と欠点

世に喧伝されている いろいろな 「暗記法」 にはそれぞれに利点があります。

その利点は大いに活用すべきだしそうしている人も多い。

英語の語彙に関しても 「語呂合わせ」 とか 「イメージ法」 とか 「語源利用」 などがあってそれらに関する教則本もふんだんにあります。

ただし、どれをとっても万能な暗記法ではない。 

たとえば 「語源利用」 はずいぶん強力な方法のように言われ続けているが万能にはほど遠い。 一定の利用価値は確かにある。 しかし、実際に語彙暗記に取り組めばわかることだが、その筋で言われているほどの効果はない。

森鷗外も大いに語源を利用したぞと言う人がいる。 しかし、鴎外も、利用できる場合 (1例として、医学用語の記憶に語源は実に強力な武器) に利用しただけである。 鴎外が外国語にも堪能であったのは、抜群の頭の良さと人並みはずれた驚くべき勤勉の賜物である。 

語源以外の暗記法も場合によってはたいへん重宝する。 たとえば rook という単語の場合、私は3つの意味を覚えている。 ひとつは 「ミヤマガラス」、ふたつは 「城塔形の駒 (チェス)」、そして3つは 「金をだまし取る」 という意味である。 私はこの3つを 「カラスがチェスをして金をだましとる」 というイメージにのせて記憶している。 

要は、臨機応変に様々な暗記法を駆使するのが賢明なやりかただし、懸命に暗記に励んでいれば自然にそうなってくる。

さて、次に欠点です。

その1 3万語あるいは最終的には5万語超の語彙を暗記する方法自体が ― 実証的・具体的なものとしては ―  「塔」 以外に存在しない。 そもそも5万語を習得することなど不可能だと考えられてきた。 ( 塔が完全だなどと決して思っていませんよ! 欠点だらけでしょう。 もっといい実証済みの方法があれば、ぜひ、教えてください!)

その2 暗記した語彙を永久に維持する実証的・具体的な方法に言及した暗記法もない。 覚える方法ばかりを強調して、覚えたものを生涯忘れない方法を実証的かつ明確に示したものがない

この2つが、従来の語彙暗記法の欠点です。

1 については何度も述べたことがあるので、今回は 2 に的をしぼります。

暗記法と暗記の持続に関連して、中田達也さんは、NHKの 『新3ヶ月トピック英会話 英単語ネットワーク~めざせ10000語~ 8月号』 に、「8月のテーマ・単語カードの効果的な活用法」と題された記事を書いて ― ・・・近年の研究では、単語カードによる暗記は非常に効果的かつ効率的であることが示されています。研究によれば、多読のみによって100語を学ぶには、10万~20万語ものテキストを読む必要があるといいます。また、多読のみで2000語を学ぶには、約29年かかるという推計もあります。多読による英単語の学習は、残念ながらそれほど効率的ではないようです・・・ 「暗記による学習は短期的には効果が見られても、長期的な保持には結びつかない」 と批判されることがありますが、正しい方法で行えば、暗記の効果は数年間持続することも示されています (省略 k.y.) ― と述べています。 

私は、「暗記の効果は数年間持続する」 という部分が気になります。 数年間だけではあまり意味がないからです。 

一旦覚えた英語の語彙は生涯何十年でも忘れないようにしないと意味がない。 そうしなければ、膨大な手間隙をかけて達成したことが生かされない。

「アンチ・バベルの塔」 は (自分なりにあらゆる暗記法を動因して) 覚えた必要十分な英語の語彙を、復習を繰返すことによって永久に忘れないようにする方法です。

その方法を実践して 「強固な塔」 を維持・管理する人がアンチ・バベリストです。

ところで、世の暗記法はなぜ 「復習」 にあまり言及しないのでしょうか? あるいは、言及しても、具体性を欠くのはなぜでしょうか?

それは、復習を半永久的に実行している人などいないからです。 あるいは、半永久的に復習しないと忘れてしまうほどの質・量の語彙を覚えた人がほとんどだれもいないからです。 

たいていは、忘れても数ヶ月からせいぜい1年もかけて覚えなおせば取り戻せる程度のまことに不十分な語彙しか覚えたことがない人がほとんどだからです。 

もうひとつの理由は、復習はそんなに時間がかかるものではないという事実をだれも認識していないことです。

私の経験上、完璧に覚えた語彙なら、1時間もあれば2000語の復習が可能です。 これは最初覚えるときに要する時間のおよそ100分の1です。 市販の単語カードのような単純極まりないものを覚える場合と同等視しないで下さい。 多義語もあれば多様なチャンク表現もある。 それでも、復習は、最初覚えるときの100倍の速度で実行できる。 人により場合によって50倍~200倍というべきかもしれませんが、100倍といっておきます。

この時間数は ― 「塔主の進化」 によってさらにもっと縮小する可能性があります。

私の塔に積まれた語彙数は2万語。 1日2000語復習すれば10日で2万語。 毎日、30分であれば、20日で2万語。 10日や20日で忘れてしまうことはもはやありませんし、毎日30分や1時間の復習時間の確保も困難だと言える人もあまりいないと思います。 

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