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「万能図書館」と「塔」の構築

「塔」が知的生活に及ぼす波及効果は、実感しないと分かりにくいでしょうが、たいへん大きなものです。 

おおげさな表現で恐縮ですが、「自動車産業」が各種業界に及ぼす波及効果のようなものです。

たとえば「万能図書館」への入館資格を取得することができます。

私はこの週末に、梅田望夫著 『ウェブ時代をゆく―いかに働き、いかに学ぶか(ちくま新書)』 を読みました。 

若い人たちにとっても私のような団塊世代にとってもこの先の生き方を考える上でまことに示唆に富む新書です。

梅田氏が描く近未来のウェブに大きな期待が膨らみ、そこで展開されるであろう豊穣な知的世界に浸りたい、できればささやかでも参画してみたい、と強く思いました。

今回は、この新書の中の英語に関する部分、特に 10年後の英語の世界 に関する部分に注目しつつ「塔」とからめて記述したいと思います。

梅田氏によれば、あるいは知っている人も多いでしょうが、グーグルは「世界中の情報すべてを整理しつくす」というプロジェクトの一環として ― ハーバード大学、スタンフォード大学、ミシガン大学、カリフォルニア大学、テキサス大学、プリンストン大学、マドリード・コンプルテンセ大学、慶應義塾大学の各図書館、ニューヨーク公共図書館などと組んで ― 過去の書物をすべてスキャンして無料公開する事業を強力に推進中で、この「古代アレキサンドリアの万能図書館」に比すべき構想が、少なくとも英語圏では、10~20年後には現実のものとなる。そして、『このまま10年が経過すると、英語圏に生まれ育つことの優位性がこれまで以上に増幅されてしまうのではないかという危惧すら抱く。ひとりの個人として「英語圏ネット空間の知的充実」という現象を眺めれば、「英語力を徹底的に磨くことこそがこれからの知的生活の充実に必要不可欠だ」という結論にたどりつく(原文のまま引用・太字 k.y.)』。

「万能図書館」をできるだけ楽しみたい、10年後が待ち遠しい、という人は私も含めてずいぶん多いと思います。

梅田さん曰く「知的生活を送りたい人にとって最高の環境」が10年後には必ず整う。実にわくわくすることです!

そこで心得ておきたいのは「万能図書館」を利用するために必要な英語力です。

それは ― 文法・構文・音声に問題がないとしたら ― ずばり「語彙力」です。

英検1級やTOEIC高得点~満点程度の語彙力ではまだまだ不足。具体的にはたとえば「アンチ・バベルの塔」の完成です。

『Longman Dictionary of American English』 あたりはなんとしてもマスターしたい。 できれば「上級学習英英辞典」で「塔」を構築したい。 

この際 「ではいったい何語必要なのか?」という(何をもって1語とするのかについて共通の見解が皆無な現況での)不毛な議論は時間の無駄でしかないただ、「塔」の構築に励めばよい。あるいは、それに匹敵・代替する他の方法で語彙増強を図ればよい。

『Longman Dictionary of American English』のマスターに5000時間必要(ただし個人差大!)だとして、毎日90分学習すれば10年間で「塔」が完成する。 決して不可能な企てではない! 

そして、そのころには「万能図書館」が開館する!  

もちろん、私たちには「日本語」という由緒ある母語があります。この母語を粗末にする手はありません。「日本語」は日本文化の源泉であり、私たちの心の故郷です。 また、「日本語」の充実に努めることこそ「英語」の充実に直結することは日々実感されることです。

英語だけの人たちの「万能図書館」と「日本語」を原点にする私たちの「万能図書館」とでは、同じ図書館から受ける心象風景でもかなり異なったユニークなものになり、その心象風景の差異具合は 「日本語と英語の充実度」 に左右される。

やや脱線しますが、今年『新潮日本語漢字辞典』が出版されて大きな反響を呼び起こしています。編集代表の小駒勝美氏は、四歳で親に漢和辞典をねだったほどの漢字好きだったが、小さな出版社に入社した際に「秋桜(こすもす)」「吃驚(びっくり)」などの和製漢字が漢和辞典に載っていないことに驚き、そうしたものも全部出ている辞書作りを転職先の新潮社で着手し、用例は夏目漱石から村上春樹まで近現代文学から収集し、10年かけて、中国とはまったく異なる漢字文化を育ててきた日本人の漢字字典を完成させた。解字の解説は(私も敬愛してやまない)白川静氏の説を主としている。かくして、日本語を学習する強力な武器がまたひとつ加わったことになります。

さて、「万能図書館と塔」の話しにもどります。

「万能図書館の入館許可証」は、「真のアンチ・バベリスト」であること、あるいはそれに匹敵する語彙力の持ち主であることだと思います(単なる私見に過ぎませんから反発を感じる方は適当に無視されたし)。

そして、真の「アンチ・バベリスト」にとって、梅田氏が上記の新書で自分の人生を振り返って述べている 「好きなことをやり続けたいという執念によってドライヴされた勤勉」 「こつこつと丁寧に細かなことを積み上げながら毎日を送ってきたこと」ということばはずしりと胸に響きます。

梅田氏の達成したことは「塔」どころのレヴェルではありませんが、その生活態度は、「塔」構築を支える支柱になるものです。

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Comments

こんにちは rikuriです
11月10日にやっとジュニアアンカーの転記が終了しました。
11.5階建てです。
やった。作り上げたぞ!という気持ちです
とても嬉しく大変に満足しております。

自分が作り上げた塔には非常に愛着が湧きますね。
絶対に覚えてやろうという気になります。
暗記したら直ぐに次の塔の建設に入りたいと思うので
2ヶ月、できれば年内中に全て暗記をしたいです。(無謀でしょうか?)

次の塔はニューヴィクトリーアンカーで建設する予定です。
(本屋で色々立ち読みした結果、一番ニューヴィクトリーアンカーが
合っている感じがしました)

1塔建設すると2塔目には抵抗を感じませんね
むしろ、楽しみです。
塔建設は面白いゲームです、しかも大変に大きな実をつけてくれます。
非常に有意義な時間だと思います。

「万能図書館」面白そうですね!私も存分に利用したいです。
もし、このペースで進められれば10年後には5万語を獲得出来るような気がします(笑)

今度は、塔を全部暗記したら報告致します!

Posted by: rikuri | November 13, 2007 at 04:47 PM

rikuriさん、こんにちは。

メールありがとうございます。

> 11月10日にやっとジュニアアンカーの転記が終了しました。11.5階建てです。

よかったです! 

転記完了が案外速かったと思いますし、11.5階まで達する人も決して多くありません。今まで経験したことのなかった学習の楽しさも発見されたことでしょう。おおきな自信になりますね。

> 自分が作り上げた塔には非常に愛着が湧きますね。

そりゃそうです。世界にひとつしかない完全に自分仕様の語彙集ですから。

> 絶対に覚えてやろうという気になります。

「絶対に覚えてやろうという気」があるのとないのとでは雲泥の差がでます。11.5階建ての塔が与えてくれる気概はたのもしい。

ただし、あせらずにあくまでも根気強くやりましょう。

> 2ヶ月、できれば年内中に全て暗記をしたいです。

学習時間に制限がなければ決して無謀だとはいえないでしょう。

しかし、くれぐれもあせらずに復習を繰返すこと。これが何よりも大事なこと。忘れることを恐れずに忘れてもいらいらせずに忘れたらまた繰返して覚える。繰り返し繰り返し繰り返し続けていくほど記憶は確実に定着していきます。

すぐに覚えて忘れなかったらいうことなしですが、それはあまり期待しないほうがいいです。期待すると落胆しますから。

それにやればやるほど記憶力の向上が実感できます。腹筋運動ならぬ脳筋運動?!

> 次の塔はニューヴィクトリーアンカーで建設する予定です。

正解ですよ。迷うことはありません。

> 塔建設は面白いゲームです、しかも大変に大きな実をつけてくれます。非常に有意義な時間だと思います。

Absolutely, yes!

> もし、このペースで進められれば10年後には5万語を獲得出来るような気がします(笑)

素晴らしい世界への入場資格です。

> 今度は、塔を全部暗記したら報告致します!

はい、ぜひお願いします。楽しみにしています。

Thank you.

Posted by: k.y. | November 14, 2007 at 01:16 PM

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