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コメントにお答えする(14/2007)

JT さんへ。

たいへんユニークなコメントをありがとうございました。 いつも関心を寄せていただきうれしい限りです。

最近ブログを更新する頻度が下がった理由はお察しの通りです。 また、語彙強化に関する私の考え方もほぼ書きつくしたという思いもあります。 今年後半はもろもろの身辺雑事に追われていたこともあります。 しかし、「塔」 は私の分身でもありますから、やがてまた活性化させるつもりです。 

> ・・・日常使う仕事言語として英語とフランス語、生活言語としてアラビア語 (場合によってはペルシャ語)、そして自国語の日本語と、常に4~5ヶ国語に接した毎日を送っていることです。

JTさんの高度な多言語生活は、英語だけに拘泥してこのざまである私には、とうてい手の届かない別世界に思えます。 若いころはポリグロットたらんと思ったこともありましたが単なるあこがれに終わりました。 JTさんはすごいです! 

> 仮に5万~10万語の「塔」が完成したとして、淀みなく、辞書の頼りにもならずにその言葉で言語生活が送れるのでしょうか?例えば、自分の場合の日本語での言語生活を顧みるに、晦渋な文章を精読しなければならない場合、昭和初期以前の小説を読む場合、古典文学を参照した現代エッセイを読む場合など、今でも日本語の電子辞書を手許に置いてじっくり読んでいます。即ち、日本語ですら場合によって辞書は手放せないのに、レアリアに欠け政治、宗教、大衆文化、マスメディアといった特定言語で営まれる社会現象に疎い外国語の語彙を5万~10万暗記したところで、やはり辞書・事典が手放せない事実には変わりはありません。それならば、5万~10万語を暗記する莫大な努力は放棄して、1万~2万語の習得語彙と、残りは辞書の助けでもって善しとしようという考え方もある訳で、そのほうが忙しい現代人には現実的に思えてなりません。この点において、「塔」の完成は語彙の壁の克服と、ネイティブレベルの言語生活の実現を必ずしも意味しません。

JT さんに異論を唱える人はいないと思います。 まったくおっしゃるとおりです。 

ただ、このブログで何度も述べてきましたように、「塔」建築の目的は、英語でも ― できるだけ日本語の場合と同様に ― 「ごく普通に」 読書などを楽しめるようにすることです。 

そして 「ごく普通に」  ということは 「辞書・事典が手放せない事実には変わりはありません」 ということと何ら矛盾することではありません。 私も日本語を読み書きするときに辞書・事典を手放せないことは言うまでもありません。 それが 「ごく普通」 のことだと思います。 日本語の辞書・事典を読むことはときには悦楽でさえあります。

「塔」 建設の目的は、英語の語彙水準を その 「ごく普通の状態」 にするための営為です。 「学習事典 (ネイティヴ・スピーカーにとっては未成年のレヴェル)」 ではなく、ネイティヴ・スピーカーの成人用の辞書・事典 (日本語の場合であればたとえば 「広辞苑」 その他の辞書・事典 )を 「普通に」 利用できる水準に英語の語彙レヴェルを高めるための営為でもあります。 

日本語で5万語前後の水準は成人では 「ごく普通」 のレヴェルであり、それを前提としてはじめて、現代の新聞や小説を ― くつろいであるいは娯楽でまたは急いで ― 読むときにいちいち辞書を引かなくても読める状態になります。 そして、そのことと成人用の辞書・事典が手放せないこととはまったく別のことです。 

そのことに関しても何度かこのブログに書きました。 たとえば次のような記述です。

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― あなたは覚えなければならない語彙数(=日常必要な語彙数「学習英英辞典」の収録語彙数)を認識していますか? また、それは記憶可能な数だということを知っていますか? ―

「アンチ・バベルの塔」の話しをしていてなかなか理解してもらえないことがいくつかあります。

そのうちのひとつが「アンチ・バベルの塔」が最も効率のよい語彙強化法だということです。

ほとんどの人はこの方法を最も効率のよい語彙強化法だとは考えないのです。

ほとんどの人が「辞書暗記」など途方もないことだと勘違いしているのです。

その原因は、前にも述べましたが、 ① ネイティヴ用の辞書(日本語であれば『広辞苑』、英語であれば『The American Heritage Dictionary of the English Language』のような辞書)と ② 非ネイティヴ用の学習辞書を同一視しているからです。

①は、日常使われる5万語超の語彙をはるかに上回る語彙を収録していて、とてもじゃないが普通の人が暗記できるものではありません。また、暗記する必要もありません。

しかし、②は日常使われる5万語超の語彙しか収録されていないのです。普通の人でもその気になれば充分暗記できる・すべき範囲の語彙しか収録されていない。

この①と②の本質的な違いがなかなか理解されない!

私たちは、日常の生活に関する限り各人あるいは各世代の間のコミュニケーションにひどく困ることはありませんし、新聞・雑誌・本などの活字媒体を読むのに困ることもありません。

なぜか?

みんなが普通に話しをしたりものを読んだりするのに必要な範囲の語彙を共有しているからです。

②は、英語で普通に話しをしたりものを読んだりするのに必要な範囲の英語の語彙だけを収録し、非ネイティヴ・スピーカーの学習上の盲点を知悉したエキスパートたちが編纂した非ネイティヴ・スピーカー用に特化した(ネイティヴ・スピーカーが利用する場合もありますが)辞書なのです。

だからこそ、②(現代英語に必須の語彙集)の中から各人の未知語彙だけを選択して覚える「アンチ・バベルの塔」が最も効率の高い語彙強化法になるわけです。

②の省略ヴァージョンにすぎない(だから質・量ともに極めて不十分な内容の)市販の単語帳をはしごしたり、とにかく多読して語彙を増やそうと暗中模索したりするのに比較したらはるかに高効率の語彙強化法なのです。

ただ、②の中にある各人の未知語彙の数があまりにも多いために、ほとんどの人が「アンチ・バベルの塔」を非効率な方法だと誤解してしまう。

絶対的に必要となる学習時間の多さにたじろいで効率が悪いと勘違いしてしまう。そして、従来の方法でやっていたら生涯を費やしても絶対に達成できないことを2年~10年で達成できる効率の良さに気付いていない。

さらに、従来の方法は、どの語彙が(客観的に見て)必須の語彙なのか判断することができないので、そもそも語彙強化の基盤を欠いていることにも気付いていない。

残念です! 

未知語彙が多いことと語彙強化法の効率とは何の関係もありません。未知語彙をすばやく発見できるか否かこそ語彙強化の効率を決定付ける最大の要素です。

また、②を読んで(学習辞書に不要な語彙は客観的には皆無ですが)「こんな語彙は不要だろう」と思う人があればその人はその不要だと思う語彙を無視すればよい。その場合でも、客観的に見て不要なのか必要なのか分からない語彙群から取捨選択するよりはるかに効率がよい!

くれぐれも自分の未知語彙の多さに圧倒されて語彙強化の効率を誤解しないようにしてください。

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> それに、ネイティブレベルの語彙力を得る莫大な努力と、それを維持する為の莫大な時間 (覚えた後の残り人生全て) を考えると、個人の好みと判断で辞書の丸暗記を実践するには何ら構いませんが、人に勧めるには余りにも過酷な修行である ( しかも失敗する確度が極めて高いことについては塔主殿も異論がないでしょう )  と思うのですが、この点如何お考えでしょうか?

これについてもあまり異論はありません。 一般論として 「失敗する確度が極めて高い」 ことは否定できません。 並みのプロジェクトでないことはこのブログの当初から言及してきていることです。 

ただ、莫大な時間と言っても たとえば 「Longman Dictionary of American English 」 を例に取ると約5000時間 (個人差大!) であり、毎日2時間すれば8年間ぐらいで達成可能です。 その後の復習は毎日30分程度です。 また、過酷な修行であるとは断定できません。 楽しいことも多々あるからです。 

さらに、たとえ10%であるいはたとえばAの項目だけで挫折したとしても、決して無駄にはなりません。 学習事典を精読し未知語彙を転記ししっかり覚えることの成果は ― たとえ少しだけであっても ― 実に実り多いものです。 そのことを実感されている方も増えつつあります。 「塔」 の小さな1部を体験するだけで英語学習の新たな道に開眼する可能性も充分あると思います。 ( 挫折に瀕している人たちへ: その状態で一旦休止してやったところの復習だけを実行するのも得策ですよ。 やった部分だけでも貴重な宝です! また、復習が1段楽すれば、心が落ち着いて、さらに前進する意欲が湧いてくることも多いです )

「塔」 を読むことだけで何かのヒントを得ていただけることもあるはずです。

私は 「塔」 建設が非常に効率的で究極の語彙強化法のひとつであることを確信しています。 そのことに気づいていただきたいために 「塔」 のことを語ってきました。

しかし、「塔」 の実行・利用は、良識ある大人の まさに 「個人の好みと判断」  に依るしかありません。

> ・・・数万語の辞書を丸暗記しようとする試みは考えていません。それは余りにも長く、険しく、そして退屈な道程です。そして辿り着いた時、やはり未だ先がある (語彙の壁から解放された言語生活を送れない) のでは、費やした時間が余りにもモッタイナイと思うのです。それよりも、1~2万語程度の選別された語彙とあとは辞書という生涯の友人を伴って言語生活を送ることの方が楽しく、有意義だとさえ思っています。

これは ― 何度かこのブログでも触れてきたことですが ― しごく妥当な見解だと考えています。 JT さんのように外国語習得の何たるかをよくご承知の方がおっしゃることであればなおさらのこと反論できることではありません。 

私の場合は、2万語の語彙では満足できなかった。 日本語との格差に、すなわち「語彙の壁=「ごく普通」 の語彙力に達しないこと」 に、我慢できなかったということです。

なお、繰り返しますが念のため、私の言う 「語彙の壁」 突破は 「(学習辞書ではない)成人用の辞書」 まで不要になることを意味しません。 あくまで、普通の語彙力養成を意味します。 もちろん、「(学習辞書ではない成人用の) 辞書」 を友とする楽しみを放棄する気など毛頭ありません。

参考にしていただきたく、以下に過去の記事をもうひとつ掲げておきます。

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「語彙強化」の要・不要は、一般的に論じられるようなことではなくて、すぐれて個人的なものだと思います。

「学習辞書を覚えるのが最善の方法ですよ」というと、必ず、「ネイティヴ・スピーカーは、そんなに、5万語も6万語も、知っているの?」という声が聞こえてきます。

いつもいうことですが5万語内外の語彙力はあくまで平均的な人たちの語彙力であって、その水準に大きく外れる人はそれこそゴマンといます。

特に下向きの外れかたはかなり大きくなります。日本語のネイティヴ・スピーカーの場合でも事情はまったく同じです。

語彙力が2万語前後の人だって珍しくありません。

だから、たまたま自分の知り合いのネイティヴ・スピーカーの語彙力が「びっくり!」するほど低くても、実は、びっくりすることでもなんでもなくて、そんな例はいくらでもあるわけです。

周囲のネイティヴ・スピーカーの語彙力などどうでもよいことです。

あなたが日本人だとしてあるいは日本語を native tongue とする人だとして、それなりの新聞や雑誌や小説を理解でき、いろいろなことをそれなりに聞いて理解したり話したりできる人であるなら、あなたの日本語の語彙力は明らかに5万語前後であるかあるいはそれを越えています。それだけの語彙力があってはじめてそれなりの言語生活が営めるのであって、2万語前後の語彙力ではとうてい無理なはなしです。

ところが、「それなりの・・・」というようなことにはまったく無頓着なひとにとって、語彙力などどうでもいいことでしょう。

「語彙強化」の要・不要は、一般的に論じられるようなことではなくて、すぐれて個人的なものだ」という所以です。

一方、日本語でそれなりの言語生活を営める人が英語でもそれなりの言語生活を営みたいとしたら、英語の語彙力も5万語以上でなければなりません。

なぜ、英語の非ネイティヴ・スピーカーの私にそんなことが分かるのか?

役に立つ英語の辞書の語彙レヴェルを意識すればはっきり分かります。

英語の語彙力が数千~1万語内外の人が、『Newyorker』 や 『The Ancestor's Tale』 などを読んでそれなりに理解したい場合、当然辞書が必要になります(圧倒的に語彙不足の人が分からない語彙をすっとばして読むなど論外です!日本語の読書で分からない語彙があっても気にならないのは日本語で5万語以上の語彙力があるからです)。 

そんなときに役に立つ辞書は、見出し語が5~6万語を超える辞書です。中学生用の辞書(日常の会話では少なからず役に立つ語彙レヴェル)ではまったく役に立ちません。

必要になるあるいは役に立つ辞書の語彙レヴェルが即必要な語彙レヴェルです。

日本語のネイティヴ・スピーカーが日本語で書かれたものを普通に読む場合いちいち 『広辞苑 = いわゆる辞書』 などをひいたりしません。 『広辞苑』 ほどの語彙レヴェルは通常は不要だからです。

必要なレヴェルは、5万語超のレヴェル、英語で言えば「上級学習英英辞典(非ネイティヴ・スピーカー用)」のレヴェルであり、その程度の日本語は私たちの頭にビルト・インされています。

その語彙レヴェルを達成する実行可能な方法が、「学習辞書(いわゆる辞書ではなく、学習辞書!)暗記」 なのです。

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以上、長々とした饒舌を容赦くださいますように。

これからもなにとぞよろしくお願い申し上げます。

Thank you.

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