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英語の発音(1)

記憶(7) https://app.cocolog-nifty.com/t/app/weblog/post?__mode=edit_entry&id=4417002&blog_id=48616の記事の最後でも触れたことなのですが、脳科学者の池谷裕二さんは 「日本人には英語の発音はできない http://gaya.jp/eng/」 という持論を持っておられる。

昨日(2007年12月19日)の日経夕刊にも 「英語のカタカナ術」 というコラムを書いて 「・・・すべての音韻は母国語のいずれかの音に引き込まれる。マグネット効果である・・・私のように十代になってから英語を習い始めた人間には、正確な発音はほぼ絶望的。どうしてもカタカナ英語になってしまうのだ・・・」 と述べ、ならばそのカタカナ英語に工夫をしてたとえば can I have... は ケナヤブ (通じるかもしれないがとんでもない音声です!) と発音することを薦めておられる。 

脳科学の俊秀にそんなことを言われたら、英語の音声が苦手な人ほど、 「そうかやっぱり日本人には無理なんだ。カタカナ英語でいいのだ」 と納得してしまうかもしれません。 

しかし、いかに池谷さんの説といえど 「日本人には英語の発音は不可能」 論にはまったく賛成できません。 日本人にも英語の発音は充分に可能です。 

私だって十代から英語を習いましたが発音で苦労したり通じなかったりしたことはまったくありません。「Where in the United States are you from ?」 とアメリカ人に聞かれたりすることもあります。 日本人で特に若い女性の場合実にきれいな発音をする人も珍しくありません。 

日本語の発声を見事にこなす英語のネイティヴ・スピーカーも複数知っています。 彼らも10代後半ないしは20台になってから日本語を習い始めた人たちです。

日本人が英語の発音に弱いとしたら、その原因は中学や高校の英語の先生のほとんどが発音を苦手にしていてましてや生徒に教えることなどできないからです。 日本を代表するような私立の進学校の英語の先生が decide を平気で ディッシャイド と教えたりしています。 生徒が忠実にその発音を引き継いでいて、いくら訂正されても ディッシャイド と発音する癖がなかなか抜けません。 

最初にちゃんと習うことができたら何の問題もない。 しかし、教えることができる先生がほんとうに少ない。 文法と同じで、発音も発音の仕方など意識もしないネイティヴ・スピーカーに習うより発音の仕方を説明できる日本人に習ったほうがよくわかる。私も英語の発音はしっかり教えることができるが日本語の発音は教える自信がない。 

発音を教えられる先生が希少。 かくして、何世代にもわたって妙なカタカナ英語がしっかり継承され、生徒が受けるテストの英語の発音問題は何十年も同じ問題が出題されている。 英語の先生はその解答をするときだけ何とか発音して見せるが普段の授業では元の木阿弥に戻っている。 

最近は発音記号も教えない! 

日本の英語教育は決して悪くないのですが音声指導だけは大問題ですね。

その音声指導の欠如が 「そんな私の前に立ちはだかったのは、他ではない、語学の壁だった。研究室に到着したのはよいものの、相手の言っていることがまったく理解できないのだ。それどころか、自分の話している英語も相手に通じないのに驚いた。正しい文法で文章を組み立て、場面に応じた適切な英単語を使っているにもかかわらず、アメリカ人には聞き取ってもらえないのだ。これは受験英語しか勉強してこなかった私には大きなショックであった(池谷さんの上記サイトより引用 太字 k.y.)」 というような嘆きを生むことになる。

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Comments

いつも楽しく拝見させて頂いております。
私は、現在海外におり外国語で生活をしております。海外にいるので、池谷先生の記事を読んではおりませんが、池谷先生の言うところのマグネット効果というのを実感しております。というものの、正しい発音で言葉を話す事を諦めたわけではありません。そこで、塔主さんがどのようにして、英語の正確な発音を獲得したかを御教授していただけると大変ありがたいです。よろしくお願いします。
それでは失礼します。

Posted by: 小堀 | December 20, 2007 at 09:05 PM

k.y.さま

はじめまして。Kozoと申します。
「アンチ・バベルの塔」いつも楽しく拝見しております。
今日は、お礼と報告のため、筆をとりました。

先ずは少しばかり自己紹介を。私の専攻は化学なんですが、昔から、好きな英語を何とかモノにしたいと思い続けてきました。それなりの努力によってある程度の実力がついたと思う反面、まだまだ不全感というか、行き詰まりを感じております。これまで、英検・TOEIC向けテキストや、SSS方式の多読なども試してきました。最近は、辞書暗記に自分の求める答えがあるかも・・・と暗中模索していた時にこのサイトに出会い、砂漠のオアシスとなっております。まさにreal breakthroughで、感激のあまり辞書暗記を始めたところです。ありがとうございます。

ボキャビルは息の長い、地道な作業ですが、このブログが最高の道しるべになっております。他では決して得られない、記憶や英語学習についての話題が盛りだくさんですし、何よりも、k.y.様の流れるような日本語が何とも心地良いです。これまでずっと言葉を大切にしてこられたのが文面から伝わってきます。私はまだ30代ですが、このブログを励みにしながら今後もっと実力をつけていきたいです。

さてさて、1つ目の報告ですが、「アンチ・バベル」の塔をもっと多くの方に知っていただきたいと思い、去る2007年10月7日に、ミクシィ
http://mixi.jp/home.pl
で「英単語50000語習得」というコミュニティを立ち上げました。開始して2ヶ月半ですが、すでに460人を超えるメンバーに参加していただいております。「アンチ・バベルの塔」方式で、辞書暗記を開始される方も出てこられました。

2つ目の報告ですが、私独自のボキャビル法として、ささやかですが、「耳から50000語」という個人プロジェクトを開始しました。これは2つの柱から成り、「音声ファイル化」と「ルーズリーフに貼り付けた辞書へのマーキング」です(以下を参照ください)。これまでに「茅ヶ崎方式の4000語」をマスターしたので、現在の手持ち語彙は9000語くらいですが、目下、英検1級レベル~GRE(米国大学院入試)レベル(15000~17000語レベル)をターゲットにしています。

A.音声ファイル化
「ロングマン現代英英辞典」のCD-ROMから、単語と例文の発音を録音し、これと合わせて「ロングマン英和辞典」から単語の日本語訳を自分の声で録音しています。これをiPodに入れて耳からひたすら聴き、シャドウイングしています。音声は脳への強い刺激となるのと、通勤時間を利用して圧倒的な復習回数をかせげるのがメリットです。ポイントは、録音時に、語義と例文を丁寧に音読して「仕込み」をしておくことだと感じてます。1つの単語でも複数の語彙があるのが普通ですが、1語彙1ファイルに分割しています。ファイル名を単語名にしておくことで、iPodの画面上でスペルを確認できます。例文の付いてない語彙は、語義(英文)そのものを録音したり、「英和活用大辞典」から持ってきた例文を録音しています。

B.ルーズリーフに貼り付けた辞書へのマーキング
「アンチ・バベルの塔」方式でのカード化を参考にしつつも、あえて辞書を解体し、A5のルーズリーフに貼り付けています(100ページで1冊としています)。未知語の例文に蛍光ペンでマークします。理由はいろいろあって、携帯性・分離性を良くするため、転記の負担を軽減するため、1枚の絵のようなアナログ的視覚情報を持たせるため、そして、将来的なロングマン完全征服への見通しをたてるため、などいろいろあります。

まだはじめたばかりで報告するのも恐縮なんですが、今後ともよろしくお願いいたします。

Posted by: Kozo | December 22, 2007 at 12:21 PM

k.y.さま

昨年は私のコメントに対する丁寧なレスポンスをありがとうございました。本年もブログを楽しみにしております。

以下は、現代日本を代表する翻訳家の山岡洋一さんのメルマガです。日本語の明快さと美しさという点で素晴しい方だと思っております。古典新訳という新しい潮流を作られたり、注目すべき活動を展開されております。今月のメルマガは、辞書に関する話題でした。差し出がましいですが、お時間のあるときにでもご覧いただければと思います。
http://homepage3.nifty.com/hon-yaku/tsushin/bn/200801.pdf

Posted by: Kozo | January 06, 2008 at 11:23 PM

Kozo さんへ

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平成も既に20年目、21世紀も8年目をむかえました。早い!

私がネットになじむようになったのは、米国のE-Trade を使って夜中にナスダック銘柄のデイ・トレイディングに熱中しながら株仲間と掲示板で盛り上がっていた1997~9年のころでした。

英語圏の高価な投資ジャーナル渉猟し証券関係の米語ニュースに耳を傾けて売買の参考にしていました。

それがきっかけになって投資指南書を翻訳・出版しました。独訳・共訳あわせて3冊で内1冊はかなり売れ行き好調のようです。

したがって、実務翻訳にもたいへん興味があり山岡洋一氏にも関心があってその著作『英単語のあぶない常識(ちくま新書』も読みました。

山岡氏は英日翻訳に確固としたプライドを持ち優れた仕事(翻訳批評も含む)をされる方として注目しています。

山岡氏の新訳『国富論』もぜひ読もうと決めたまま半ば忘れてしまっていたのですが Kozo さんにコメントをいただいて「あっ、そうだった!」と思い出しました。

山岡氏の辞書データベースに対する熱意も尋常ではないようで「傑出した翻訳家であるのもむべなるかな」と納得させられます。

Kozo さんに知らせていただいた「翻訳通信(久しぶりに読みました)」の記事も辞書の話。気の遠くなるようなプロジェクト「理想の英和辞典」を企画しておられる。「真実を求める旅路」を着々と歩んでおられるようで正直に申しますと実にうらやましい! 

他方、山岡氏が指摘される現行英和辞典の限界は ― プロではない普通の人たちは ― 各種英英辞典と併用することでかなり補えると考えています。

また、英和辞典も徐々にではあれ確実に進化しています。たとえば insight についても『アンカーコズミカ英和辞典』などには山岡氏の要求をある程度満たし得る記述があります。

さらに、己の日本語と英語を磨くことも、優れた辞書に依ることに劣らず ― ものを正しく読み解くために欠かせない要素だと思います。

そして、山岡洋一氏や芝山幹朗氏などの抜きん出た翻訳家たちの翻訳を原文と併行して読むことも妙案に違いありません。

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おもしろい記事を紹介いただいたおかげで楽しいひと時を過ごすことができました。ありがとうございました。

ことしもよろしくお願いします。

k.y.

Posted by: k.y. | January 08, 2008 at 03:11 PM

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